ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」100話「青いパパイアを探しに」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」100話のネタバレです。

あらすじ

暢子(黒島結菜)は矢作(井之脇海)に、自分の店で働いてほしいと望んでいるが、矢作は頑(かたく)なに拒む。暢子は三郎(片岡鶴太郎)の協力で、姿を消していた矢作を見つけると、かつて働いていたフォンターナに連れていく。矢作は以前にさんざん迷惑をかけてしまったオーナーの房子(原田美枝子)と気まずい再会を果たす。房子はそんな矢作のために、意外な準備をしていた。

100話ネタバレ

レストラン・フォンターナ

矢作「謝る気ありませんから。」

暢子「矢作さん。」

矢作「警察に突き出すなり 好きにしてください。 そのつもりで呼んだんですよね?」

房子「これ。」

矢作「何ですか?」

房子「あなたの退職金。」

矢作「退職金?」

房子「独立したいと思った時点で ちゃんと相談してほしかった。 私も反省してる。 オーナーとしての人徳に 欠けていたって。 そのことも ちゃんと謝りたかった。」

矢作「謝る?」

房子「私自信 何度も店を出して 何度も失敗してきた。 店を守ることしか 考えられなくなって お金のことで 良心に反することをしたこともある。」

房子「自暴自棄になったこともある。 だけど 最後の一線を越えずに 踏みとどまれたのは 亡くなった両親や妹 大切な人のことを考えたから。 あなたも 大切な人のためなら いくらでも やり直せる。」

矢作「女房とのことは もう終わったことです。」

房子「佳代さんは そうは思ってない。」

矢作「女房と会ったんですか?」

暢子「どうぞ。」

矢作「佳代…。」

佳代「よかった…。」

矢作「何で…。」

佳代「やり直そう もう一度。 頑張って 私のために。 あなた自身のいために。 勝手に こんなもの置いて いなくならないで。」

佳代「あなたが どれだけ料理が好きか 私が 一番よく分かってる。 もう一度 料理人になってください。」

矢作「オーナー 申し訳ありませんでした!」

房子「あなた まだ若い いくらでも やり直せる。」

矢作「ありがとうございます。」

二ツ橋「お久しぶりです!」

矢作「シェフ…。」

二ツ橋「まずは 食べましょう。 暢子さんの 沖縄そばです。 私も お手伝いしました。」

佳代「沖縄のそば?」

暢子「はい。」

矢作「頂きます。」

佳代「おいしかった。 ごちそうさまでした。」

矢作「まあまあだな…。」

佳代「あなた。」

矢作「カツオと豚の出汁は悪くないが 麺は もうちょっと細い方がいい。 俺なら あと1ミリ いや2ミリは攻める。 昔 初めて食べた時よりは いくらかマシかな。」

暢子「覚えていてくれたんですね あの時に味。」

回想

暢子「沖縄のそばです。」

矢作「沖縄?」

長山「これが そば…。」

矢作「うめえ!」

回想終了

暢子「あの時 一番最初に おいしいって言ってくれたのは 矢作さんでした。 矢作さん うちが お店をやるためには お店の味を任せられる 料理人が必要です。 矢作さんは 料理が好きで好きで まっすぐに向き合える人です。 うちには 矢作さんの力が必要なんです。 一緒に 働いてください。」

矢作「俺は…。 でも もう…。」

二ツ橋「矢作さん。 包丁 見せてください。 いつも 持ち歩いていますよね。」

矢作「軽蔑してますよね シェフも。」

二ツ橋「あなたが 悪い人間でないことは オーナーをはじめ みんな よく知っています。 だけど あなたは 料理人として道を誤り 信頼を失ってしまった。 その重たい荷物は あなたが 料理人を続けていく限り ずっと 背負い続けなければなりません。 その覚悟を 持てますか? その覚悟を持てるなら いつか きっと 失った信頼を取り戻せるはずです。」

矢作「オーナー シェフ…。 このお礼は いずれ必ず。」

房子「待って。 長い間 ご苦労さまでした。」

(ドアベル)

二ツ橋「暢子さんの言うとおり 矢作さんの包丁は きちんと研いで 手入れされていました。 料理人を諦めていなかった証拠です。」

暢子「三郎さんが言っていました。 矢作さんは 鶴見に来てからも 何軒も飲食店を回って…。 だけど 身元を保証してくれる人も いなかったから どこも雇ってくれなかったそうです。」

回想

矢作「下働きでも何でもします。 もう一度 料理がしたいんです!」

回想終了

房子「何もかもなくして プライドを捨てても 包丁だけは 捨てられなかったのね。」

沖縄料理店・ちむどんどん
店内

暢子「よし。」

(戸が開く音)

暢子「矢作さん!」

矢作「今から言う条件をのんでくれなきゃ 俺は働かねえ。」

暢子「どんな条件ですか? 何でも言ってください。」

矢作「休みは週1日 残業はしない。 それから…。」

暢子「分かりました! 条件は 何でものみます!」

矢作「まだ 全部言ってねえよ。 給料は…。」

暢子「矢作さんが決めてください。」

矢作「いや この辺りの相場でいい。 ただし 給料が遅れたり きっちり全額もらえねえなんてことが あったら 即辞める。 それも 大事な条件の一つ。」

暢子「もちろんです。 一緒に 働いてくれるんですね?」

矢作「いつからだ? 明日か? あさってか?」

暢子「ちょうど 今 パパイアイリチーを いろいろ作っていて ちょっと 手伝ってもらえませんか?」

矢作「パパイアイリチー? 何だ それ? えっ 今から?」

暢子「青パパイアは 沖縄では大事な野菜。 妊娠中は 食べない方がいいとも言うんですけど。『イリチー』は 炒め物という意味。 歯応えを よくしたいので まず これを全部 4ミリくらいに千切りにしてください。」

矢作「うん。」

暢子「あっ…。 手が かぶれる人もいるので よかったら 軍手使ってくださいね。」

矢作「分かった。」

(青パパイアを切る音)

玄関前

暢子「お店 やろうね。 お母ちゃんと み~んなと一緒に。 ちむどんどんするよね。 フフッ…。 フフフッ。」

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