【 連続テレビ小説「ちむどんどん」106話のネタバレです。
あらすじ
暢子(黒島結菜)の沖縄料理店『ちむどんどん』がついにオープン。矢作(井之脇海)、歌子(上白石萌歌)がよく働き、店は入れ代わり立ち代わりの大賑わい。さらに雑誌に取り上げられ、暢子は「お客さんがまた増える」と喜ぶ。和彦(宮沢氷魚)の母・重子(鈴木保奈美)も店を訪れてくれる。その頃、沖縄やんばるでは、良子(川口春奈)が取り組む『うまんちゅ給食』が2度目の挑戦を迎える。給食室には強力な助っ人が登場する。
106話ネタバレ
ちむどんどん
玄関前
暢子「よろしくお願いします。」
ちむどんどんの売上は 落ち込む一方で 暢子の悪戦苦闘の日々は続いていました。
男性「豚足? 豚の耳?」
暢子「また よろしくお願います。」
男性「いや~ やめとこやめとこ。」
暢子「よろしくお願いします。」
ちむどんどん・2F
暢子「開店から2か月… このまま お客さんが来なかったら… 矢作さんに 給料が払えなくなる。」
ちむどんどん
智「食欲が落ちてる? あの暢子が?」
歌子「最近 お代わりを 全然しないわけさ。」
智「お代わりをしない。 暢子が? しんけん?」
和彦「お医者さんは 全て順調だって言ってる。 だけど このまま 食欲が落ち続けると おなかの子にも よくないんじゃないかって心配で。」
矢作「むちゃだったかもな 身重の体で独立は。」
智「暢子…。」
暢子「智 遅くなってごめんね。 これ 先月分。」
智「うちは 後回しでいいよ。」
暢子「あっ 駄目 受け取って。」
智「俺と暢子の仲だのに。」
暢子「それとこれとは 話が別さ。」
矢作「休憩時間。 ラーメン 食いに行ってくる。」
智「店が困ってるのに ひと事ですか? いいアイデア ないんですか?」
矢作「それを考えるのは 経営者の仕事。」
智「矢作さんにも 問題あるんじゃないですか?」
矢作「あ?」
暢子「矢作さんは きちんとやってくれてるさ。」
矢作「問題があるとすりゃ 厨房の外のこと。」
智「じゃあ 歌子のせいか?」
矢作「そうは言ってねえよ。」
暢子「歌子は 何も。」
矢作「慰め合ってる暇があったら もっと根本的な解決策 考えろ。」
智「暢子は 毎日 一生懸命…。」
矢作「一生懸命は 誰でもできる。 客商売は 結果が全てだろ。 早めに閉店した方が 傷は浅くて済むんじゃねえか?」
暢子「何があっても このお店は閉めません!」
矢作「結果が出せなきゃ 潰れちゃうの。」
暢子「うちは 矢作さんとは違います!」
和彦「暢子…。」
矢作「約束 覚えているよな? 一日でも給料が遅れたり きっちり全額 もらえねえなんてことがあったら 俺は 即辞める。」
暢子「分かってます。」
矢作「俺は この店と心中するつもりはねえから。」
(戸を閉める音)
ちむどんどん・2F
歌子「さっきのは ちょっと言い過ぎと思う。 イライラしてしまう気持ちは分かるけど 何もかも 一人で抱え込まないで。 はい。 お昼ごはん。」
暢子「ごめん 今は ちょっと…。」
歌子「大したことできないけど うちは 暢ネーネーのためなら 何でもするから。 はい。 少しでも食べてね。」
暢子「歌子…。 ありがとう。」
歌子「うん。」
(ドアの開閉音)
ちむどんどん
暢子「さっきは ごめんなさい。 つい カッとなってしまって 大変失礼なことを言いました。 本当に ごめんなさい。」
矢作「大したもんだ。 俺は 自分の店が傾き始めた時 客が来ねえのは 全部 天気や不景気 従業員のせいにして 周りに当たり散らした。 謝ることができるお前は 大したもんだ。」
暢子「本当に 申し訳ありませんでした。 今後も よろしくお願いします。」
養豚場
寛大「ご覧いただいたとおり うちは 大規模な養豚場ではありませんが その分 一頭一頭に 目が行き届いております。 どうぞ。 どうぞ どうぞ。」
ホテル社員「失礼いたします。」
ホテル「社員「失礼します。」
寛大「どうぞ。」
ホテル社員「では 失礼いたします。」
ホテル社員「いや~ 私どものホテルの料理長が どうしても こちらの豚を仕入れたい というので お邪魔したんですが 確かに この環境なら 品質も信頼できます。」
賢秀「大切に育てた豚だから 命に きちんと感謝して 内臓 骨や皮まで 残さず きれいに届けたいんです。」
ホテル社員「いや~ 立派な息子さんじゃないですか。」
賢秀「息子? いや 俺 いや ぼ… 僕は…。」
清恵「あっ いや…。」
寛大「あの 私の娘はこっちで。」
ホテル社員「あ~ お婿さん。 いいですね。 娘さん夫婦が跡継ぎなら頼もしい! ハハハハハッ…。」
清恵「いや…。」
ホテル社員「これは もう こちらで決まりだね。」
ホテル社員「だね。」
清恵 賢秀「ありがとうございます!」
ホテル社員「では 契約の件 最後に いくつか 確認だけ お願いいたします。」
涌井「猪野さ~ん。 こんちは~。」
寛大「涌井…。」
清恵「何で…。」
涌井「これのおかげで やっと たどりつけたぜ。」
清恵「帰って。」
涌井「すぐ帰るよ。 慰謝料さえもらったら。」
賢秀「いしゃりょう?」
涌井「お前は 一方的に 円満な夫婦関係をぶっ壊した。 俺は お前との離婚で 精神的苦痛を味わった被害者。」
賢秀「りこん?」
涌井「何にも知らねえの?」
清恵「やめて!」
涌井「だったら 払うもん きっちり払え!」
ホテル社員「お取込みのようなので 本日は。 また ご連絡さしていただきます。」
寛大「いやいや 違うんです。」
ホテル社員「失礼します。」
寛大「違うんです ちょっと待ってください 待ってください!」
涌井「これで 最後の手切れ金ってことでよ。」
清恵「放して。 帰って!」
涌井「清恵! なあ!」
寛大「おい。 放せ。 話は あっちで。」
(衝撃音)
数時間後
賢秀「親父さん… さっきのホテルから電話で 取り引きは 白紙に戻させてくれって。」
清恵「ごめん 私のせいで。」
寛大「お前は 悪くない。」
寛大「すまん。」
賢秀「何があったんです? あの男と。」
寛大「結婚してたんだ 清恵。 18で家出して 二十歳の時だ。 ひどい目に遭ってた。 俺が見つけ出して 金を渡して別れさせた。 こっちの身元も 連絡先も明かさずに そのあと 一切連絡を絶った。」
賢秀「じゃあ 俺のせいで… とうとう 見つかってしまったわけですか?」
寛大「だが 今 きっちり話をつけた。 こんなこともあるかと思って 俺なりに あちこちに手は打ってあった。 だから これで 完全にあの男とは 縁が切れた。 ちょっと疲れた。」
ちむどんどん
和彦「何か いい打開策は ありませんかね。」
二ツ橋「必要経費を 見直した方がいいと思います。 例えば 仕入れ原価を抑えるとか。」
暢子「仕入れの質を落としたら もっと お客さんが来なくなるんじゃ…。」
二ツ橋「暢子さん ちょっと聞いていただけますか。」
暢子「はい。」
二ツ橋「私は 昔 レストランを開いて 潰したことがあります。 私なりに 地獄を見ました。 最後は 息をするのも苦しくなり 誰も 信じられなくなりました。」
二ツ橋「飲食業は どんな高級店でも 所詮は 水商売と 呼ばれることもあります。 水商売の語源は 江戸時代。 芸者さんの仕事のことを『泥水商売』と呼んだことから 始まったという説があります。」
暢子「泥水?」
二ツ橋「一見 華やかに見えるけど 実態は 泥水にまみれるような 大変な仕事。 流れる水のように不安定で 大雨が降れば 流されてしまう。 日照りが続けば 干上がってしまう。 うまくいかない時に 目をつぶって 耳を塞いで ただひたすら頑張るのは 私は 反対です。」
二ツ橋「しゃにむに突き進むより 失敗を認めて やり直す方が 勇気が必要で 難しいことです。 私は それが できませんでした。 うまくいかない時は たとえ悔しくても 悲しくても やめてもいいんです。 一度 止まって 休んでもいいんです。 あなたは 飲食店で成功するために 生きているわけではありません。 幸せになるために 生きてるんです。」