【 連続テレビ小説「ちむどんどん」108話のネタバレです。
あらすじ
暢子(黒島結菜)は、和彦(宮沢氷魚)と相談し、思うように客が入らない店を一旦休み、矢作(井之脇海)とともに店の味やメニューを見直すことにした。和彦は二ツ橋(高嶋政伸)や田良島(山中崇)とともに、ちょうど海外より帰国したフォンターナのオーナー・房子(原田美枝子)から暢子へ何か助言をしてほしいと考え、食事会を企画する。だが実現した食事会は、意外な人たちの訪問で話は思わぬ方向に。
108話ネタバレ
沖縄料理店・ちむどんどん
暢子は 営業を停止して お店を立て直すべく 料理の味や メニューを 見直すことにしました。
暢子「出汁は 料理の基本。 そばは もちろん ほかの料理にも使える味 メニュー全体の基本の味を 考え直したいんです。」
矢作「当たり前だと思ってたことから もう一度 見直す…。 そういうことだよな?」
暢子「そのとおりです。」
矢作「うん。」
レストラン・フォンターナ
ホール
二ツ橋「暢子さんを励ます お食事会?」
和彦「名目は 房子オーナーの帰国を 祝う会ってことで どうでしょうか?」
田良島「うん…。 まあ オーナーなら 何か いいアドバイスをしてくれるかも。」
二ツ橋「しかし オーナーは基本的に 独立した従業員に アドバイスしたり 手助けすることは 一切…。」
田良島「だからこそ あくまで 帰国を祝う会 ってことで どうでしょうか。」
和彦「是非 お願いします。」
二ツ橋「分かりました。」
お食事会
二ツ橋「乾杯!」
一同「乾杯!」
二ツ橋「お帰りなさい。」
房子「ありがとうございます。 今日は 心行くまで お料理とおしゃべりを楽しみましょう。」
田良島「はい。」
二ツ橋「頂きます。」
一同「頂きます。」
房子「暢子さん 話は 二ツ橋さんから聞いてる。 最大の問題点は 何だと思う?」
暢子「ん~… 東京の人の口にも合うように いろいろ 工夫はしているんですけど…。」
房子「どんな店にも 共通して言えることは…。」
(ドアベル)
二ツ橋「矢作さん。 私が お呼びしました。」
房子「久しぶり。 元気ですか?」
山辺「今更 どの面下げて…。」
矢作「あの… いろいろ ご迷惑をおかけしました。」
玄関前
賢秀「ここ! この間 清恵と来たんです。 もしかしたら また来てるかもしれないし。 あっ! 大事なこと忘れてた。 今日の俺たちは 投資関係の会社の社長と社員です。」
寛大「と… 投資関係? うん。」
賢秀「くれぐれも『豚』とか 口に出さないでください。 いいですか。『豚』駄目! あれ…。」
ホール
(ドアベル)
賢秀「おお… 和彦 智まで…。」
智 和彦「賢秀!?」
暢子「ニーニー どうしたわけ?」
賢秀「暢子 今日は ちょっと…。 うちの社長のお供で。 ヘッヘ…。 うまそう…。」
暢子「社長さん?」
和彦「どういった関係の?」
賢秀「決まってんだろ 投資関係。 ですよね?」
寛大「いっ… いかにも。」
房子「今日は 内輪の集まりなんですけど よろしかったら ご一緒にどうぞ。」
賢秀「ありがとうございます!」
和彦「あの…。 証券会社ってことですか?」
田良島「会社は… 兜町ですか?」
賢秀「ああ ああっ…。 お手洗い ご案内します。 社長! 社長 社長 社長…。 お手洗い… お手洗い あちらです! あちらです!」
寛大「無理だ。 もう帰ろう。」
賢秀「いいですか? 俺は もう 腹が減って 腹が減って…。」
和彦「店を休んでることは 賢秀には 絶対に ないしょにした方がいい。」
智「開店したお店は順調 何の問題もないことに。」
暢子「嫌だ。 ウソは嫌い! うち ウソとかつきたくない。」
和彦「いい? 暢子。 賢秀が 本当のことを知ったら 必ず 暢子を助けようとする。」
智「また 余計なことをするに決まってる。 何するか分からんよ。 子供の頃から何回も。」
暢子「であるね。 ウソつこう! お店が うまくいってないことは 絶対に 秘密。」
二ツ橋「そちらに どうぞ。」
賢秀「あっ 社長。 頂きます! 暢子 店は うまくいってるか?」
暢子「ああ… デージ順調さ。 ねえ うん。」
賢秀「俺も早く 食べに行きたいな。」
二ツ橋「ところで この前 一緒に いらっしゃった女性は 恋人ですか?」
賢秀「恋人? あ~ あれは こちらの社長さんの娘さん。 ねっ。」
寛大「また 来ました?」
二ツ橋「いえ あれ以来 一度も。」
寛大「そうですか…。」
賢秀「来てないか…。」
和彦「何かあったの?」
賢秀「いや 別に。」
寛大「帰ろう。」
暢子「ニーニーは 社長さんのお嬢さんと仲良しなわけ?」
智「やっぱり 恋人関係?」
賢秀「まさかやー。 あいつと俺では『豚に真珠』。」
寛大「賢秀。」
賢秀「アキサミヨー。 自分で『豚』と言ってしまった! だからよ 強情な女で 何を言っても『豚の耳に念仏』なわけ。」
寛大「馬。」
賢秀「えっ?」
寛大「『豚』じゃなくて『馬』。」
賢秀「シーッ『豚』は禁句です!」
寛大「お前だよ!」
暢子「どうしたわけ?」
賢秀「だからよ。 俺は いつ 暢子の店に行けばいいわけ?」
二ツ橋「ポルケッタが参りました。」
田良島「お~!」
房子「イタリアの 伝統的な豚肉料理です。」
賢秀「豚!?」
暢子「お~ おいしそう。」
田良島「いい香りですな。 頂きま~す。」
賢秀「うまい! デージマーサンヤー! …で 暢子の店は?」
和彦「オーナー 以前 イタリアには イタリア料理はないと 聞いたことがあります。 イタリア料理は イタリア各地の郷土料理の集合体だって。」
寛大「郷土料理のい集合体?」
房子「イタリア全20州 それぞれが その土地の風土や 歴史が作り上げた食文化を 大切に守っています。 その土地の その食べ物に込められた 人の思いを大事にして 初めて 魅力的な料理になると 私は思っている。 日本も同じです。 イタリアと日本の食文化には 共通点が多い。」
暢子「例えば?」
房子「イタリア南部では 豚を捨てるところなく大事に食べる。 それは 沖縄とも似ているでしょ。」
暢子「うん…。」
和彦「ウチナーンチュは 昔から 豚肉の食べ方に知恵を凝らして 鳴き声と ひづめのほかは 全部おいしく 食べてきたっていわれてますよね。」
二ツ橋「命を大切に頂く。 すばらしい精神ですね。」
寛大「沖縄と豚を語る上で 忘れてはならない話が 実は ハワイにもあるんです。」
暢子「ハワイ?」
智「アロハ~の?」
寛大「ハワイの養豚業は ある時期 沖縄移民が支えていたとも言えます。」
暢子「えっ そうなんですか?」
寛大「私の両親は 貧しい農家で 戦前に 出稼ぎでハワイに渡り 沖縄移民の人がやっている養豚場で 働いていたんです。」
智「証券会社の社長さんですよね?」
寛大「『海から豚がやってきた』という話を ご存じかな?」
和彦「知らないよね。」
暢子「うちも。」
寛大「沖縄の養豚は 沖縄戦で全滅の危機に陥った。 戦前には 10万頭もいた豚が 数えられるほどにまで減ってしまった。 それを知った ハワイの沖縄移民たちが アメリカのネブラスカ州で 大量の豚を買い入れた。」
寛大「何人かの有志が 豚と共に船に乗り込み オレゴン州のポートランドから出港。 嵐の恐怖にも負けず 長い長い航海を経て 沖縄に 550頭もの豚を送り届けた。」
暢子「すごい…。」
寛大「彼らの願いは ただ一つ。 食糧難に苦しむ ふるさと 沖縄を助けたかった。 そんな命懸けの航海があったからこそ 今でも 沖縄には おいしい豚肉料理が 根づいているんだろうと。 いや ハハハ…。」
田良島「いい話 聞けたな。」
和彦「はい。」
暢子「何か つかめそう…、 さっきのオーナーの話 今の 海から来た豚の話 何か…。」
(テーブルをたたく音)
賢秀「親父さん! なんて いい話なんですか!」
智「親父さん?」
賢秀「これを聞いて 泣かないやつは 人でなしヤシガ! 今の話は 養豚やってる人間からしたら…。」
暢子「養豚?」
智 二ツ橋「養豚?」
田良島 和彦「養豚?」
賢秀「社長 次の予定が。 こちらも そろそろお開きのようですし。 ねっ ねっ ねっ。 御一統さん ごめんなすって。 はい 行きますよ。 早く 早く 早く!」
(ドアベル)
玄関前
(ドアベル)
暢子「オーナー 今日は ありがとうございました。」
房子「どんな店にも共通して言えることは 一番の強みは 同時に 弱みでもあるということ。」
暢子「同時に 弱み…。」
ホール
二ツ橋「矢作さん。 よかったら 飲み直しませんか?」
矢作「ありがとうございます。 でも これから店に戻って 出汁の確認を。」
二ツ橋「ずっと 見てましたよ。 今日は よく こらえましたね。」
(ドアベル)
沖縄料理店・ちむどんどん
和彦「矢作さんには 給料が払えないって 正直に言うしかないと思う。」
暢子「であるよねえ…。 矢作さんにも 都合があるよね。」
和彦「やっぱり 辞めてもうらうしか…。」
暢子「矢作さんに 申し訳なくて…。 うちが もっと しっかりしていたら…。」