ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」109話「豚とニガナは海を越えて」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」109話のネタバレです。

あらすじ

沖縄料理店「ちむどんどん」を一旦閉めて、再起へ向けて味の見直しなどの準備をしている暢子(黒島結菜)だったが、このままではやがて矢作(井之脇海)に給料が払えなくなってしまう、という事態を迎えていた。そして和彦(宮沢氷魚)とそのことを話しているときに、矢作にそれを聞かれてしまった。その頃、矢作は密かにある決意をしていた…。そして、お金をめぐるとある事件が、店で発生する。

109話ネタバレ

屋台

矢作「よう。」

桃木「矢作さん。 お呼び立てして すみません。」

「はい いらっしゃい。」

矢作「どうも。 桃木 あの時は 巻き込んで すまなかった。」

桃木「いや。 今 矢作さんは 沖縄料理屋で働いているそうですね。 お互い あのフォンターナで 修業した身じゃないですか。 何で 沖縄なんです? 今度 俺 独立するんですよ。 一緒に やりませんか? 俺と共同経営。」

矢作「共同経営?」

桃木「はい。 今の店の常連が大地主で 出資してやるから 洋風居酒屋をやってみないかって。」

矢作「条件は?」

桃木「俺と矢作さん それぞれ50万ずつ 都合つければ すぐにでも契約できます。」

沖縄料理店・ちむどんどん

裏子「じゃあ その40万は 信用金庫の坂田さんに?」

暢子「うん。 支払いついでに 追加融資を もう一度お願いしてみる。 ごめんね。 本当は 歌子にも バイト代を払わないといけないのに。」

歌子「何 言ってるの。 うちは もともと お金をもらうつもりとか。」

(戸が開く音)

矢作「おはよう。」

暢子 歌子「おはようございます。」

矢作「出汁の確認 今日もやるよな?」

暢子「あっ… 矢作さん。」

矢作「ん?」

暢子「あの…。」

和彦「暢子。 坂田さんとの約束。」

暢子「あ…。 すいません うちたち ちょっと出かけるので。」

矢作「分かった。」

暢子「じゃあ 行ってきます。」

歌子「うん 行ってらっしゃい。」

(戸が開く音)

暢子「ありがとう。」

封筒を見つける矢作

歌子「矢作さん。」

矢作「ん?」

歌子「ちょっと 買い物に。」

矢作「はいよ。」

歌子「行ってきます。」

矢作「うん。」

(戸の開閉音)

沖縄料理店・あまゆ

(戸が開く音)

坂田「あっ あっ… あっ… すいません! お約束の時間を 間違えてました。」

トミ「はい どうぞ。」

坂田「あっ ありがとうございます。 あっ はぁ…。」

暢子「坂田さん。」

坂田「はい。」

暢子「あの ご迷惑をおかけして すみません。」

坂田「いえ…。」

暢子「あの 今日は 直接お会いして 返済と あと 改めて お願いもしたいと思いまして。」

坂田「はあ…。」

暢子「あの あっ まず これ…。 あれ?」

和彦「どうした?」

暢子「忘れてきたかも。」

坂田「よっ… 40万を!? どこに?」

沖縄料理店・ちむどんどん

(電話の呼び鈴)

沖縄料理店・あまゆ

和彦「まだ 出ない?」

暢子「うん…。 あっ もしもし 歌子?」

歌子「うん どうしたわけ?」

暢子「カウンターの上に 封筒があるでしょ? お金が入ってる封筒。」

沖縄料理店・ちむどんどん

歌子「えっ ないよ?」

暢子「何で?」

歌子「うちも 今 買い物から帰ったばかりで。」

暢子「矢作さんは?」

歌子「矢作さん… は いないみたい。」

沖縄料理店・あまゆ

和彦「ない?」

暢子「歌子が 買い物から帰ってきたら 封筒がなくなっていて 矢作さんも いないみたい。」

智「矢作が盗んだ。」

暢子「まさかやー。」

智「あれには前科があるだろ。 暢子 行こう!」

暢子「あっ…。」

智「早く! すいません!」

坂田「えっ…。」

(戸が開く音)

暢子「すいません すぐに戻ってきます。」

坂田「あの… いや…。」

(戸が閉まる音)

沖縄料理店・ちむどんどん
店内

智「どこに置いたんだ?」

暢子「あっ… ない。」

智「ない…。」

暢子「どうしよう…。」

和彦「何でないんだ。」

智「あの男さ それしか考えられない。」

暢子「まさかやー。 矢作さんは そんな人じゃ。」

智「じゃあ 何でない?」

暢子「それは…。」

智「暢子は お人よしすぎる。 泥棒が そう簡単に改心するわけ…。」

暢子「そんな言い方 やめて!」

智「暢子 このお店が潰れる瀬戸際なんだよ。 どうするわけ 分かってるのか!」

暢子「分かってる! でも それとこれとは別さ! うちは 矢作さんを信じてる。 お金とか お店とかよりも そっちの方が一番!」

歌子「どうしたわけ?」

(戸が開く音)

暢子「矢作さん。」

智「金 返せ!」

矢作「ああ 現金入りの封筒 置きっ放しにしてただろ? 不用心だと思ったから レジの中 入れといたぞ。」

矢作「…ったく 金を雑に扱う人間は 経営者失格。」

暢子「ありがとうございます。」

智「さっき その…。」

矢作「全部 聞こえてたけどな。」

智「すいません 正直 俺は…。 だって…。」

矢作「疑って当たり前。 別に 謝ることはねえよ。」

数時間後

暢子「ただいま…。」

矢作「帰る。 お疲れさん。」

暢子「とても 言いにくいこと なんですけど…。 今月分のお給料 少し待ってもらえませんか? 信用金庫に追加融資をお願いしたけど どうしても…。」

暢子「約束を破ってしまって ごめんなさい。 来月も ちゃんと払うことが できないかもしれません。 うちの甘い見通しのせいで 矢作さんを このまま 引き止めることはできません。 本当に ごめんなさい。」

矢作「店が傾いたら人件費を削る。 当たり前だ。 店を立て直すのに 俺は要るの? 要らねえの?」

暢子「矢作さんが辞めてしまったら お店を立て直すことも 営業することも無理だと思います。」

矢作「なら 辞めねえ。 この店に残る。」

暢子「でも お給料が…。」

矢作「必ず もらう。 遅れた分は 延滞金も上乗せして きっちり 払ってもらうから帳面につけとけ。 俺は 明日からも ここで働く。」

暢子「矢作さん…。」

矢作「ただし 一刻も早く店を立て直すこと。 もちろん 俺もできることは何でもやる。 こっちも 生活かかってるからな。」

暢子「はい ありがとうございます。」

矢作「お疲れ。」

玄関前

智「ごめんなさい! 疑って すいませんでした!」

矢作「おい あっ 人が見てるぞ。」

智「すいませんでした!」

矢作「あっ 顔上げろって なっ。 えっ ちょっ… おい。」

屋台

智「独立の誘い?」

矢作「ああ。 ゆうべ しつこく言い寄られたけど 今日 断った。」

智「だけど 暢子の店と 心中はしないって。」

矢作「もう二度と 恩をあだで返すような まねはしたくねえ。 一度 乗りかかった船 その船が沈まねえように できることをやる。 それが きっちりできなきゃ 自分の船は持てねえと思って。 頼りねえ船長だけどな。」

智「確かに 暢子は無鉄砲で 危なっかしいところもあるけど 自分より 相手のことを考える人間です。 決して 仲間を 海に放り出すようなことはしません。」

矢作「知ってるよ。 言っただろ 全部聞いてたって。」

回想

智「泥棒が そう簡単に改心するわけ…。」

暢子「そんな言い方 やめて!」

智「暢子 このお店が潰れる瀬戸際なんだよ。」

暢子「うちは 矢作さんを信じてる。 お金とか お店とかよりも そっちの方が一番!」

回想終了

矢作「うれしかったよ。 絶対に辞めねえ。 いつか あの店を必ず はやらせてみせる。」

智「今日は おごらせてください。」

矢作「駄目だ。 俺は あの店の料理長。 お前は 単なる出入りの業者。 俺の方が 立場は上。 親父 いくら?」

智「俺が払いますよ。」

矢作「いいよ 離せよ。」

智「離しません。」

矢作「離せ。」

智「あっ あっ ちょっと あっ ちょっと…。 矢作さん。」

矢作「やめろ。 親父 いくら?」

智「親父さん いくらですか?」

沖縄料理店・ちむどんどん

矢作「う~ん… 分っかんねえな。 いや これが悪いとか まずいとかじゃねえんだけど… 何て言うのかな。」

暢子「う~ん 分かります。 軸っていうか 目指すところが はっきりしないから… 完全に 迷子になっていますね。」

矢作「そうなんだよな…。」

暢子「フォンターナの会で 何かヒントを つかめた気がしたんですけど…。」

歌子「暢ネーネー ちょっと休んだら?」

暢子「だからね。」

(戸をたたく音)

歌子「はい。 どうぞ。」

(戸を開く歌子)

歌子「ん?」

優子 良子「わっ!」

歌子「はっ…。」

暢子「わっ!」

歌子「えっ!?」

暢子「お母ちゃん!」

歌子「良子ネーネー!?」

良子「ドッキリ大成功!」

優子「来てしまったさぁ。」

暢子「アキサミヨー。」

優子「アイ すごいね。」

暢子「元気だった?」

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