ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」12話「悩めるサーターアンダギー」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】12話のネタバレです。

あらすじ

本土復帰も近づく1971年。沖縄本島北部、やんばるの比嘉家では、素行がよくないことで地域で有名な長男・賢秀(竜星涼)の起こしたいざこざから波紋が広がり、母・優子(仲間由紀恵)の頭を悩ますことに。折から就職活動をしている暢子(黒島結菜)に思わぬ影響が起こり、将来に暗雲が漂い始める。姉・良子(川口春奈)、そして妹・歌子(上白石萌歌)もそれぞれに家族に言えない想いを抱えていて…。

12話ネタバレ

暢子「社会人か… どんな生活になるのかね。」

善一「暢子ちゃんの就職…。」

暢子「うちの就職?」

善一「なかったことにしてくれって。」

暢子「えっ? ええっ?」

砂川とうふ店

歌子「ん~! おいしい!」

智「お代わりするか?」

歌子「うん ありがとう。 学校行く前に寄って得した。」

智「つまり 賢秀が殴った相手が 暢子の就職先に社長の息子だったわけ?」

回想

「うっ!」

賢秀「俺様が かの有名な沖縄の一番星。 やんばるの… あっ 比嘉賢秀ヤサー!」

(拍手)

賢秀「お~っ ハッハッハ!」

回想終了

智「筋金入りのぽってかす。」

歌子「とことん積極的な性格 少し分けてもらいたい。」

智「暢子の就職 なしになるのか? この辺では 女子の働き口は少ないし 眞境名商事は 給料いいって評判だのに。」

歌子「今 暢ネーネーが謝りに。」

智「賢秀は 一緒に行かなかったわけ?」

比嘉家

賢秀「何で 俺が謝るわけ? 悪いのは 向こうさ。」

良子「やっと決まった就職先なんだよ?」

賢秀「行かなくていい! あんなやつが偉そうにしてる会社。」

良子「もうちょっと 大人になって。」

賢秀「俺は 大人さ。 子供が 3人相手に勝てるか?」

良子「じゃあ 聞くけどニーニーは 仕事もしないで どうんなやって暮らしていくわけ?」

賢秀「だからよ 良子。『ウォーキングアップ』って言葉 知ってるか?」

良子「ウォ ウォーキング…?」

賢秀「今は 足慣らし。 準備運動中!」

良子「それを言うなら『ウォーミングアップ』!」

賢秀「…であるわけさぁ。 これから バーンと 一山当てて がっぽり稼いで みんな楽させてやるから。」

良子「どうやって? 何の仕事で?」

賢秀「それを考える期間のことを ウォー… キング?」

良子「話にならないさ。」

賢秀「おい!」

西山原バス停

暢子「ありえん。 何で うちが謝りに行くわけ? 学校休んでまで。」

優子「ちゃんと話せば 分かってもらえる。 賢秀だけが悪いわけじゃない。 一緒に行ってあげたいけど 今日は どうしても休めないから。」

(クラクション)

眞境名商事

眞境名商事は 暢子たちの村から バスで40分ほど行った やんばる地域では 一番大きな 名護の町にあります。

専務「社長 こちら 例の男の妹です。 何 見てるの?」

暢子「あっ 面接の時は会議室だったから 実際の職場って こんな感じかって ちむどんどんしてました!」

専務「何を のんきなことを。」

暢子「あっ アイッ…。 この度は 本当にすいませんでした。」

社長「うちのも バカ息子だから。」

専務「お兄さん 反省してる?」

暢子「はい。」

専務「じゃあ 何で来ないの? お兄さん本人が 正式に謝罪に来るように。 分かったね?」

暢子「はい…。」

専務「秀樹君! こちら 例の男の妹さん。」

秀樹「ああ…。」

専務「えっと 名前は? あれっ?」

暢子「比嘉暢子です。 よろしくお願いします。 あの うちは どんな仕事を任されるんでしょう? 出張もあると聞いたんですけど 那覇とか 東京に行くこともあるんですかね? 自慢じゃないけど 体力だけには自信があるので どこへ行けと言われても大丈夫です。」

秀樹「ハハハハハ…。」

専務「何 言ってるの?」

暢子「はい?」

専務「君の仕事は この事務所の雑用と お茶くみ。」

暢子「えっ それだけ? 担当は?」

専務「担当は 給湯室。」

暢子「きゅうとうしつ?」

専務「給湯室の清潔を保ち おいしいお茶をいれ 笑顔でお出しする。 だから より 女性らしい人が望ましい。 はい。」

暢子「でも 面接では いろんな仕事を 覚えてもらうことになるって。」

専務「電話に出る 掃除をする 郵便物の整理。 時には 上司の話し相手になったり 肩もんだり。 うん 不満なの?」

暢子「いえ…。」

専務「本土復帰も決まって 我が社は どんどん忙しくなる。 だから みんな うちで働きたがる。 つまり 君の代わりはいくらでもいる。」

社長「もちろん 女性でもベテランになれば 商談に同席することもあるかもしれない。 もうすぐ 本土から ウーマンリブも押し寄せてくるからな。」

(笑い声)

専務「社長 そろそろ。 じゃあ ノリコさん 頼むよ。」

暢子「暢子です。」

山原高等学校
音楽室

(ピアノの音)

英子「歌子だよね? ピアノ弾くの?」

首を横に振る歌子

英子「練習していい?」

♬~(ピアノ)

英子「音楽 好きなの?」

英子「何か 楽器できる?」

暢子「三線。」

英子「フフッ。 よかった。 ちゃんと しゃべれるさぁ。」

英子「ずっと そこで見てるわけ?」

暢子「ごめん…。」

下地「音楽は 魂の叫び。」

暢子「はい?」

歌子「し… 失礼します。」

山原小中学校

児童「良子先生 さよなら~。」

良子「さよなら。」

児童「先生 さよなら~。」

良子「さよなら~。」

児童「先生 さよなら~。」

金吾「じゃん! ハイビスカス! 君へのラブを表す情熱の色。 人生で大切なものは ラブと そしてピース! ピース ピース!」

良子「喜納金吾さん 学校には来ないで。 何度言ったら 分かるの? 製糖工場の仕事は? 待ち伏せなんかして 恥ずかしくない?」

金吾「恥ずかしくなんかありません。 愛があるから。 ピース! 社長の息子には 仕事とか あってないようなもんさぁ! 名護に ハンバーガーのお店が 出来たの知ってる? 今度 一緒に…。」

良子「行きません!」

金吾「もし ほかに交際してる男がいるなら…。」

良子「いません!」

金吾「ピース! じゃあ 俺にも可能性…。」

良子「ありません! 付きまとわないでって 何回も言ってるでしょう!」

金吾「きついところが また たまらんねぇ。」

サンセットバーガー

一同「乾杯~!」

マスター「はい お待たせ。 はい どうぞ。 博夫 今日は何?」

石川「大学時代の勉強会の仲間。」

マスター「勉強会?」

里美「はい。『明るい沖縄の未来を考える会』です。 ねえ。」

石川「うん。」

マスター「へえ~ じゃあ みんな 同じ那覇の大学の?」

里美「はい。 あっ 違う。 この子だけ短大。 ねっ。」

良子「はい…。」

石川「この店 最近出来たばかりだから また 一緒に来よう。」

良子「はい。」

マスター「お客様は 神様です。 ハハッ…。」

正次「しかし まさか 博夫と里美が 同じ学校に赴任って アッと驚く為五郎だな。」

里美「だからよ。 運命の赤い糸かもね。」

正次「那覇育ちの博夫には 名護は田舎に感じるだろ?」

石川「初めは いろいろ驚いたけど 今は 毎日 刺激的で楽しいよ。」

里美「ねえ どんな曲が入ってるか 見に行こう。」

正次「ああ!」

石川「手紙 ありがとう。 熱心に読んでくらたみたいで うれしいさ。」

良子「あの本 読んでみたかったから。 子供たちに接するとこも やっぱり 愛情という現象を ああいうふうに捉えるのな 大事だなって…。 感想を伝えたくて つい 手紙書いてしまいました。」

石川「あっ うん。 別の本も貸してあげようか?」

良子「本当ですか? うれしい。」

石川「プラトンと言う本当の教育とは哲学的問答法で これは 問う側が 自らの無知を自覚するとことによって…。」

里美「哲学的問答法? 博夫 好きだよね。」

石川「あっ うん。」

里美「アイ 良子なんね ちょっと目立つ ここ。 ほら これよ。」

良子「どうせ 子供たちに汚されるから 汚れてもいいものを。」

石川「食べよう。 あったかいうちに。」

良子「うん。」

正次「あっ あれ見た?」

石川「フォークダンス?」

里美「楽しそう! みんなで来よう!」

良子「学園祭のキャンプファイヤーで 踊りましたよね。」

石川「踊った 踊った。」

里美「良子も来てた? うちの学園祭。」

良子「はい。」

里美「もう社会人だし 思いっきり おしゃれして来よう! ねえ 良子。」

良子「うん…。」

里美「社会人は いいよねえ 自分で稼いだお金で 好きなもの買えるから。」

山原共同売店

早苗「担当は給湯室。 現実は 厳しいんだね。 だけど やんばるで ほかに条件のいい就職口は…。」

暢子「ないよね…。」

早苗「ねえ…。」

安室「帰ろうね。 はい。」

子供「バイバ~イ。」

暢子「バイバ~イ。 またね。

早苗「さよなら。」

安室「またアチャヤー。」

暢子「子供の頃は 気楽だったねぇ。」

早苗「仕事は 遊ぶことと 食べることだけだったからねぇ。」

暢子「早く社会人になって 働きたいと思ってたけど 今は ずっと 高校生のままでいいと思えてきた。 うちの青春 もう終わってしまうのかね。 第2章が始まると思って ちむどんどんしてたのに。」

(犬の鳴き声)

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