【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】1話のネタバレです。
あらすじ
ヒロイン比嘉暢子(黒島結菜)とその家族の物語が始まる。1964年、まだアメリカ統治下だった沖縄。本島北部のやんばる地域が舞台。明るい母(仲間由紀恵)と優しい父(大森南朋)。そして兄妹たちに囲まれのびのびと暮らす小学生の暢子(稲垣来泉)は、美味(おい)しいものが大好き。ある日、村に東京からの転校生・青柳和彦(田中奏生)がやってきた。暢子にとって、生まれて初めて見るヤマトンチュだった
1話ネタバレ
シークワーサーの木
1971年(昭和46年)
暢子「ん~!」
7年前
1964年(昭和39年)
暢子「んっ。 んっ。 アガッ。」
賢三「ハハハハ…。 暢子! ここのシークワーサーは 一番おいしいからな。」
暢子「世界で一番! うちは 世界中のおいしいものを 全部食べたい。」
賢三「だけど小学生には まだ 無理ヤサ。」
暢子「6年の男子には 取れる人もいるよ。」
賢三「暢子は まだ5年生の女の子。 ほれ。」
暢子「学校では 女らしくないって 言われてるんだのに。」
賢三「言いたいやつには 言わしておけばいいさ。 暢子は 暢子のままで上等。 自分の信じた道を行け。 まくとぅそーけー なんくるないさ。 正しいと信じて筋を通せば 答えは 必ずみつかるからよ。」
賢秀「お~い!」
良子「暢子!」
歌子「暢ネーネー。」
優子「豆腐は?」
暢子「じゃ~ん! ゆし豆腐!」
賢秀「暢子 おうちまで勝負!」
暢子「アイッ インチキ! お願い。」
優子「はいはい。」
良子「豆腐は 暢子の仕事でしょ!」
歌子「うちも!」
優子「あっ 歌子 駄目よ! まだ熱下がったばっかりでしょ。」
賢秀「待て! 小学生に負けるか!」
良子「暢子 ニーニー 待ちなさい! もう…。」
これは 沖縄本島北部 『やんばる』と呼ばれる地域の ある家族の物語です。
賢秀「待て 暢子!」
良子「もう 待って~。」
比嘉家
優子「はい… はいはい。 はいはい お待たせ~。」
一同「お~!」
賢三「よし 頂きます。」
一同「頂きま~す!」
暢子「どいて!」
賢秀「押すな!」
良子「あっ インチキ!」
暢子「ん~!」
子供の頃 家族と食べたおいしいもの 共に過ごした思い出は きっと その後の人生に 勇気を与えてくれるはずです。
暢子「ん~ おいしい!」
豚小屋
賢秀「どいて。 いくぞ。 よく食べるなあ。 アベベもあババも。」
良子「何であババなわけ?」
賢秀「アベベは知ってるだろ? はだしのマラソン選手。 最高に格好いいから。 大事な大事な こいつの名前に したわけさぁ。」
良子「アババは?」
賢秀「こいつは アベベの友達だから アババ。」
比嘉家
賢秀「餌はあげた!」
優子「賢秀は偉いねえ 毎日 ちゃんと世話してからに。」
良子「豚の世話だけ。 あとは何もしない。 お母ちゃんは ニーニーに甘すぎなわけよ。」
暢子「お母ちゃん! 晩ごはん うち フーチャンプルーがいい。」
優子「じゃあ 暢子も手伝って。」
暢子「うん! 手伝う。」
賢秀「だからよ。 目当てはつまみ食い。 暢子は 食い意地が張ってるから。」
賢三「まだ熱っぽい顔してるね。」
優子「えっ? もう下がっているさ。」
賢三「おうちで休んでいるか?」
歌子「今日は行きたい。 音楽の授業があるのに。」
賢秀「待って まだ準備が!」
良子「早くして。 今週は当番だから 遅刻できないからね。」
善一「おはよう。」
優子「善一さん まもるちゃん おはようございます。」
賢三「おはようございます。 どうしたんですか 朝からネクタイ締めて。」
善一「今日 この村に ヤマトンチュの親子が来るって。」
賢秀「ヤマトンチュ?」
善一「うん。 東京の大学の先生が 中学生の息子を連れて。 あり もう行かないと。 あっ また またあとでヤ! まもるちゃん まもるちゃん はよ いい… まもるちゃん。」
沖縄本島北部は 山が多く やんばる地域と呼ばれます。 物語の舞台は やんばるの とある のどかでひなびた地域です。
子供たち「行ってきま~す!」
暢子「おはようございます。」
新垣「おはよう。 おはよう。 はい 行っといでね~。」
西山原のバス停
(クラクション)
善一「青柳先生 お迎えに上がりました 前田善一です。」
史彦「よろしくお願いします。」
暢子「あれがヤマトンチュ?」
良子「初めて見たさ。」
歌子「うちも。」
善一「3か月間 よろしくね 和彦君。」
賢秀「お~い! ヤマトンチュ! こっち向け~!」
賢秀「逃げれ!」
時は 1964年9月。 まだ沖縄はアメリカの統治下で 車は右側通行 お金はドルが使われています。」
東京では このころ カラーテレビ クーラー 自動車が 一般家庭にも普及し始めていましたが この集落には まだ電気が通ったばかり。
山原小中学校
校庭
小学校は 中学校と一緒になっていて 全校生徒は100人余り。
賢秀「ヤマトンチュ見たよ!」
「まさか?」
「しんけん?」
「ヤマトンチュ どんな人?」
賢秀「靴下はいてる。」
「まさか!」
さて この物語の主人公 暢子は どんな子かというと…。
「チバリヨー!」
「暢子行け~ 暢子~!」
(声援)
(ホイッスル)
早苗「よかった~ 暢子と同じチームで。」
暢子「うちは シークワーサー食べれば無敵さぁ。」
「おてんば!」
「女は女らしくしれ!」
暢子「べー!」
教室
「『ゴーシュは 町のかつどう写真館で セロをひく係りでした。 けれども あんまり上手でない という ひょうばんでした。 上手でないどころではなく 実は 仲間の楽手の』…。」
先生「おい。」
暢子「頂きます!」
(笑い声)
先生「これは?」
暢子「うちの宝物…。」
先生「『おいしいものノート』?『サーターアンダギー』。『お母ちゃんのフーチャンプルーは フーに味がしみこんで でーじあまい 卵もフーも フワッフワだから』…。」
暢子「おなか すいた…。」
山原村共同売店
村に 一軒だけの日用品を扱う店は 共同売店 地域のみんなが お金を出し合って作ったお店で 利益が出たら みんなで分配する仕組み。 郵便や電話の取次ぎなど いろんな役割を兼ねています。
新垣「もう ありがとうねえ。」
安室「うちも畑に出たいけど もう 腰が痛くて ちゃーならんさあ。」
優子「いつでも手伝うよ。 困った時は お互いさまだからね。」
賢吉「優子さんは 相変わらずのお人よしヤッサー。」
賢三「この前も 優子が困っていた人に 野菜あげてしまって 気が付いたら うちのおかずが何もない。」
(笑い声)
賢吉「そのうち 誰かにだまされるよ~。」
早苗「ただいま~。」
善一「お帰り~。」
賢三「お帰り~。」
善一「早苗 遊びに行く前に宿題やれよ。」
早苗「分かってる。」
歌子「おばさん ラジオつけてもいい?」
キヨ「いいよ そこに座って聞きなさい。」
歌子「ありがとう。」
♬~(ラジオ)
良子「このノート買って! もっと勉強して 必ず先生になるから。」
暢子「うちのアンダギーが先! サーターアンダギー。」
良子「うちのノートが先。」
暢子「アンダギー。」
賢三「分かった分かった 買ってあげるから。」
良子 暢子「やった~!」
善一「払いは またツケでいいよね。」
賢三「すいません。」
賢秀「あった! ついに沖縄にも上陸した! マグネット・オーロラ・スーパーバンド 一番星! こんなして頭に巻きつけたら 宇宙磁石のパワーでどんどん頭がよくなる 魔法のバンドさぁ!」
良子「…なわけないさぁ。」
賢秀「これで俺は 沖縄の一番星になるわけさ!」
賢三「賢秀 そんな無駄遣いじゃなくて 何かもっと ほかの…。」
優子「新しいズックが欲しいって…。」
賢秀「ズックは我慢するから スーパーバンドを買ってください!」
優子「しょうがないねえ 今回だけだよ。」
賢三「えっ 買ってあげるわけ?」
(笑い声)
暢子「おいしい~! フフッ。」
海
このころ やんばるの子供たちにとって 山や海で『遊ぶ』というのは 『食べる』ということでした。
賢秀「わっ デージおいしい!」
良子「さすが暢子。」
歌子「あっ…。」
暢子「これ あげる! 食べたら おいしすぎて ちむどんどんするよ!」
和彦「ちむ どんどん…?」
暢子「うん。」
和彦「ちむどんどんって 何?」
暢子「ちむどんどんは…。 ここが どんどん。」
良子「心が ドキドキするっていう意味。」
賢秀「『少年ダッシュ』ちょっと借りよう。」
和彦「駄目だよ まだ全部読んでないから。」
賢秀「アキサミヨー。」
暢子「ねえ 東京には どんなおいしいものがある? いつも どんなもの食べてる?」
和彦「やっぱり 沖縄になんか来るんじゃなかった。」
賢秀「何か あれ。」
良子「何か 傷ついたね。」
暢子「悔しい。 や~っ。 東京のおいしいもの 食べた~い! 食べた~い!」