ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」27話「はじまりのゴーヤーチャンプルー」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】27話のネタバレです。

あらすじ

暢子(黒島結菜)は東京で身を寄せるはずだった兄が、失踪してしまったことを知って呆然自失。その上兄は多額の借金を不義理に残していて、母・優子(仲間由紀恵)、姉・良子(川口春奈)、妹・歌子(上白石萌歌)が残った実家はまた経済的困窮に立ち戻ってしまう。暢子は兄の立ち回り先を探して横浜市の鶴見にやってくるが…。暢子に救いの手を差し伸べたのは鶴見の沖縄県人会の会長・平良三郎(片岡鶴太郎)だった。

27話ネタバレ

横浜・鶴見

暢子「このあと どんなするかねえ…。 あっ…。」

(雨の音)

暢子「まさかやー。」

♬~(三線)

♬~(『てぃんさぐぬ花』)

平良家

暢子「お父ちゃんが好きだった…。 平良… 沖縄の名前!? すみません。 ごめんくださ~い!」

多江「は~い。」

暢子「初めまして 比嘉暢子といいます。 今日の朝 東京に着きました。」

♬『親や 我んどぅ 目当てぃ』

多江「あなた。 今朝 東京に着いたばかりの 比嘉暢子さん。」

暢子「初めまして!」

多江「表で 雨宿りしてたら 三線が聞こえたんですって。」

暢子「うちのお父ちゃんも よく歌ってたんです。『てぃんさぐぬ花』。 お二人は ウチナーンチュですよね?」

三郎「俺たちは 二世。」

暢子「にせい?」

三郎「ああ 親が 沖縄から出稼ぎに来て 俺たちは こっちで生まれた沖縄二世。」

三郎「沖縄には 住んだこともねえし 島言葉も しゃべれねえが 今は ここ 鶴見の沖縄県人会で 会長をやれせてもらってる。」

多江「だから この家には あなたみたいな人が しょっちゅう いろんな相談をしに来るの。」

暢子「うちの相談にも乗ってもらえます?」

(おなかが鳴る音)

暢子「あっ…。」

三郎「まずは 腹ごしらえだな。」

サンセットバーガー

良子「里美先輩が婚約?」

石川「うん。 大きな貿易会社の御曹司と 見合いしたらしい。 玉の輿って喜んでたって。」

良子「お金のために 結婚を?」

石川「結婚は 家と家の 経済的な結び付きという面もある。 ある程度 打算的な決断をしたとしても それを 頭ごなしに 批判することはできないよ。」

良子「じゃあ もし… もし私が 家族のために 打算的な結婚すると言っても?」

石川「それは… 君が望むなら。」

良子「反対しないんですか?」

石川「君自身の 人生の重大な決断を下すのは 君しかいない。 そうだろ?」

良子「そうですね。」

平良家

暢子「んっ…。 ん~!」

三郎「沖縄のそばとは 全然違うだろ。」

暢子「デージマーサン!」

三郎「つまり 料理人になりたくて 東京に出てきたら 頼りのニーニーが 借金抱えて 行方不明。 友達にも 電話がつながらねえと。」

暢子「うん…。 んっ…。 間違い電話って言われて。」

三郎「ん~? あっ こりゃ無理だ。」

暢子「何で?」

三郎「市外局番 書いてねえな。」

暢子「しがいきょくばん?」

三郎「うん。 まあ 今夜は もう こんな時間だし 泊まっていきな。 風呂でも入って 温まって寝ろ。」

暢子「ありがとうございます。」

三郎「沖縄は 本島か?」

暢子「山原村です。 父の名前は 比嘉賢三。 母は 優子です。」

多江「やんばるの 比嘉賢三さん?」

暢子「はい! あ~ 8年前に 病気で死んでしまったんですけど。」

三郎「お父さん 若い頃 鶴見にいなかったか?」

暢子「本土で働いたことがあるとは 聞きましたよ。 父のこと 知ってるんですか?」

三郎「山原村なら 知り合いがいる。 今からでも 電話すりゃ お母さんに 知らせてくれるだろうよ。 ねっ。」

暢子「あっ はい!」

比嘉家
風呂場

良子「鶴見の県人会に 拾ってもらったから よかったけど。 しょうがないね。 だけど まさか お世話になった ボクシングジムの会長さんに 借金したまま逃げるって ある?」

歌子「うちは ちょっと安心したよ。」

良子「何で?」

歌子「ニーニーに 殴り合いは似合わない。 お母ちゃんも ボクシングをやめたら ケガする心配もないって 喜んでたさぁ。」

良子「お母ちゃんも歌子も お人よしすぎる。 叱らないといけない時に ちゃんと叱ってこなかったから ニーニーは いつまでたっても 甘えん坊だわけさ。」

歌子「ネーネー 何かあった?」

良子「うちは ただ 早く家族が お金の心配をしないで 暮らせるように なればいいなと思ってるだけ。」

居間

優子「はぁ~…。」

優子「ありがとうね。 良子も 毎日忙しいでしょ? 早く眠りなさいね。」

良子「うん…。」

平良家

多江「暢子さん。」

暢子「あっ…。」

多江「これ お水。 お手洗いは 分かる?」

暢子「はい。 ありがとうございます。」

多江「じゃあ お休みなさい。」

暢子「あっ あの…。」

多江「ん?」

暢子「何で こんなに 親切にしてくるんですか?」

多江「うちの人 困ってるウチナーンチュを 放っておけないの。」

暢子「県人会の会長さんだから?」

多江「苦労してきたからね。 沖縄二世として。 お休みなさい。」

暢子「お休みなさい。」

暢子「はあ~。 上等さ…。」

夜中

暢子「お父ちゃん うち 一人で沖縄を出てきたよ。 お母ちゃん ネーネー 歌子…。 会いたい。」

暢子の激動の一日が 終わろうとしています。 この日は 暢子が 18年間生きてきて 初めて たった一人で眠る日でもありました。

暢子「ニーニーでも いいから…。」

東京・銀座

三郎「俺が知ってる限り 東京で 一番の西洋料理店だ。 修業ってのは 何事も 最初が肝心だからな。」

暢子「本当に ありがとうございます。 就職先まで 紹介してもらって。」

暢子「ん? アリ! ここ! まさかやー! ありえん! あのお店で働けるんですか?」

三郎「雇ってもらえるかどうかは まだ分からねえ。 これが 紹介状。 オーナーに渡せ。」

暢子「はい!」

三郎「うちの住所と電話番号は控えてあるな。」

暢子「はい!」

三郎「当たって砕けろで行ってこ~い!」

暢子「はい。 えっ!? 一緒に来てくれないんですか?」

三郎「俺の出番は ここまで。 うちで待ってるよ。」

暢子「行ってきます。」

三郎「うん。」

レストラン・フォンターナ

(ドアベル)

矢作「すいません 営業はまだ…。 あっ!」

二ツ橋「昨日の…。」

暢子「今日は お客じゃありません。 ここで 働かせてください。 これ 紹介状です。 オーナーさんに渡してください。」

矢作「まさかやー。」

暢子「アイッ やっぱり 東京でも言いますよね。 まさかやー。 よろしくお願いします。」

(ノック)

房子「はい。」

(ドアが開く音)

二ツ橋「失礼します。 昨日の まさかやー様が これを…。 紹介状だそうです。」

房子「この人と どういう関係?」

暢子「昨日 初めて会って ごはん食べさせてもらって で おうちに泊めてもらって このお店を。 あの… オーナーさんは?」

房子「私が オーナーの大城房子。」

暢子「大城? アイ オーナーも ウチナーンチュ? だから 三郎さんと お知り合いなんですね。」

房子「ここでは 関係ない。 どこの出身とか 誰の紹介とか 一切 関係なし。 どこの店にいたの?」

暢子「うちは まだ 働いたことがありません。」

二ツ橋「まさかやー。」

暢子「今年 高校を卒業して 本土復帰の日に 初めて沖縄を 船で出ました。」

矢作「ずぶの素人かよ。」

山辺「それで この店に?」

暢子「あっ… でも おうちでは ずっと 料理担当してましたよ。」

二ツ橋「ご両親が レストランを 経営してらしたとか?」

暢子「父は キビ農家。 母は 村の共同売店で働いています。 姉は 小学校の先生。 妹は 高校生。 兄は 世界チャンピオンに なるはずだったんですけど…。」

房子「もういい。 一応 テストはしてみます。」

暢子「テスト? アイ どんなテストですか?」

房子「二ツ橋さん いつもの。」

二ツ橋「はい。」

房子「出来たら また呼びに来て。」

暢子「テスト…。 テスト!?」

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