ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」29話「はじまりのゴーヤーチャンプルー」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】29話のネタバレです。

あらすじ

暢子(黒島結菜)は大城房子(原田美枝子)がオーナーを務めるレストラン「アッラ・フォンターナ」の就職試験に一度落ちてしまう。しかし、シェフの二ツ橋(高島政伸)の口添えのおかげでなんとか再試験の機会を得る。母・優子(仲間由紀恵)との電話で閃(ひらめ)いた暢子が作った料理とは…。そして鶴見の沖縄県人会の会長・平良三郎(片岡鶴太郎)の後見で、暢子の新しい暮らしが始まることに。

29話ネタバレ

レストラン・フォンターナ

山辺「2番様 オーダー入りました。 B ドゥーエ。」

スタッフたち「はい。」

二ツ橋「5番様 もう前菜 出せますか?」

長山「あと少しです!」

二ツ橋「急いでください。」

長山「はい。」

江川「1番様のパスタ あと5分で上がります。」

長山「5番様 前菜行きます。」

スタッフたち「はい。」

暢子「(心の声)『小麦粉 あと かん水の代わりに 重曹は入れたから 麺は大丈夫なはず。 豚は 骨付きも 三枚肉もないから さっきもらった豚肉を代わりに…。』」

矢作「お客に出す用のを渡したのか?」

桃木「あっ いえ。 賄い用のくず肉と あと パンチェッタを少し。」

暢子「(心の声)『残り40分ぐらい? 麺を切り終えたら ゆでて ざるにあげて 油をまぶしておく。 豚の出汁をとって カツオの出汁をとって 味を調えて…。 これ 本当においしい?』」

矢作「自信なくして 手が動かない。 ああなったら もう終わり。」

暢子「(心の声)『今から 別のものを作る?』』

回想

賢三「自分を信じて作りなさい。 これがおいしいと思ったものを 出しなさい。」

暢子「アキサミヨー!」

賢三「ハハハハハッ…。」

回想終了

暢子「(心の声)『うちは おいしいと思うものを作る!』」

ホール

賄いの時間

「頂きます。」

暢子「お待たせしました~! 沖縄のそばです。」

矢作「沖縄?」

「これが そば…。」

房子「この麺は?」

二ツ橋「ご自分で作られました。」

房子「頂きましょう。」

江川「頂きます。」

スタッフたち「頂きます。」

「うめえ!」

暢子「本当ですか?」

「何これ。」

房子「三枚肉の代わりに パンチェッタを使ったのね。」

二ツ橋「この時間内で たった一人で 麺を打つところからやって この出来は 驚きですね。」

長山「出汁は カツオと豚肉?」

暢子「はい!」

「うまいな。」

山辺「これが 沖縄のそばか。」

「うまい…。」

暢子「どうですか?」

二ツ橋「ちょうど 一人 増やしてもいいかなと 相談していたところですし。」

房子「いいでしょう。 働いてもらいます。」

暢子「ありがとうございます! 頑張ります!」

房子「頑張るのは 当たり前。」

暢子「あっ あっ… これ。 よろしくお願いします。 一生懸命やります! よろしくお願いします!」

厨房

横浜・鶴見

暢子「あまゆ…? 沖縄の言葉?」

三郎「そう 甘い世の中 苦しいことのない世界。 この2階だ。 行こう。」

沖縄料理店・あまゆ

暢子「アイヤー! まるで沖縄に帰ったみたい!」

三郎「お~い 順次!」

順次「あっ 三郎さん。 お待ちしてました!」

トミ「あ~ この子ですか?」

暢子「初めまして。 比嘉暢子です。」

順次「すごいね。 いきなり県人会長に 保証人になってもらって。 よろしくね。」

暢子「よろしくお願いします。」

三郎「この店と 上の下宿のあるじ 金城順二。」

三郎「こっちが 娘のトミ。」

順次「娘と言っても出戻りだけどな。」

トミ「いいから そんなこと言わなくて!」

順次「ハハッ とにかく 部屋見てきたら?」

トミ「行こう こっち。」

暢子「はい!」

2階

トミ「こっち。」

トミ「布団 古いけど よかったら使って。 レストランで働くの?」

暢子「はい。 明日は休みで あさってからと言われました。」

トミ「そう。 驚いたでしょ あんまり狭くて汚いから。」

暢子「いいえ! 初めてです。 自分だけの部屋。」

沖縄料理店・あまゆ

三郎「あっ 来た来た来た。 おい みんな 今日から2階に下宿する 比嘉暢子ちゃん。 昨日 やんばるから出てきた新米だ。 よろしくな!」

平太「ゆーちゃんやー。」

栄吉「かわいいぐゎーだねぇー。」

伸吾「よろしくね。」

暢子「よろしくお願いします。」

トミ「暢子ちゃん 早速 手伝って。」

暢子「えっ? はい。 みんな ウチナーンチュ?」

順次「鶴見は リトル・オキナワさ。」

暢子「リトル・オキナワ?」

順次「ああ。 近くに京浜工業地帯があって 戦前から 鶴見 川崎 横浜に 日本中から たくさんの労働者が。 特に ウチナーンチュが多かったよ。」

暢子「うちのお父ちゃんも 毎年 那覇に 出稼ぎに行ってましたよ。」

順次「沖縄から 遠く離れて みんな不便なこと つらいこともあるけど 仕事のあとは 飲んでしゃべって ウチナーンチュ同志 助け合って暮らしてるわけ。」

暢子「その県人会の会長が 三郎さんなんですね。」

順次「うん。 三郎さんは 沖縄二世だけど ウチナーンチュの心を しっかり持ってる。」

トミ「お父ちゃん また手が止まってる。 フーチャンプルー 早くして。」

順次「アハハ… ごめんごめん。」

三郎「暢子ちゃん。」

暢子「はい。」

三郎「しっかり手伝えよ。 店 手伝う条件で 家賃 安くしてもらったんだからな。」

暢子「アイ そうなんですか?」

三郎「おう。」

トミ「聞いてなかった? これ お願い。

順次「はい。」

トミ「はい。」

三郎「おっ 来た来た来た。 お~ ありがとう。」

暢子「お待たせしました~。」

三郎「ああ そうやって働いてりゃ みんなに 顔覚えてもらえる。」

暢子「はい 頑張ります!」

栄吉「暢子ちゃん 家族は?」

暢子「お母ちゃんと ニーニーとネーネーと妹がいます。」

栄吉「はあ~。」

平太「俺も 4人きょうだいさ。」

暢子「おおっ!」

平太「みんな 読谷にいる。」

暢子「アイ。」

伸吾「俺は 石垣。 13人きょうだいの下から3番目さ。」

暢子「13人!?」

(戸が開く音)

(騒ぎ声)

健男「くぬ ぽってかす!

「やめれ!」

治「何が 組合か!」

健男「お前が 一番ぽってかすだ!」

ヒロシ「お父ちゃん やめれ!」

(騒ぎ声)

三郎「いいかげんにしろ! そのケンカ 俺が買った。 そこに座って 訳話せ。 何があった。」

健男「今日 組合の集会があって。 で 俺は これ迎えに行って 子連れで参加したのに 治はよ。」

治「集会とか 意味あるかよ。 いくら旗振り回して 大声出しても…。」

健男「諦めたら負け! 労働者の当たり前の権利 勝ち取るために 集会を開くんだろや。」

治「意味ない。」

三郎「ほれ 話は分かった! おめえが悪い!」

治「会長!」

三郎「会社の組合ってのは 県人会のゆいまーると同じ。 弱い者が助け合うためにある。 次から 必ず 集会に出ると約束しろ。」

治「だけど…。」

三郎「俺の言う事が聞けねえのか?」

治「いや それは…。 分かりました。」

三郎「よし! おい 酒だ。」

トミ「はい。」

三郎「この2人に 手打ちの島酒。」

トミ「は~い。」

三郎「健男 それでいいな?」

健男「ありがとうございます。」

三郎「ヒロシに 飯食わせてやれよ。」

暢子「三郎さん 格好いい!」

♬~(三線)

♬『(イヤーアッサ イヤーアッサ アッサ アッサ)唐船ドーヰさんてーまん 一散走ーえならんしや ユウヰヤナー』

(指笛)

♬『若狭町村ぬ サー 瀬名波ぬタンメー ハヰヤセンスル ユウヰヤナ』

一同「♬『(イヤーアッサ アッサ アッサ アッサ アッサ アッサ アッサ アッサ アッサ)』」

三郎「♬『イヤーアッサ イヤーアッサ アッサ アッサ アッサ…)』」

(合いの手と指笛)

賢三「♬『シンダン木 ユウヰヤナー 那覇に豊まりる サー 久茂地ぬほーい榕樹木 ハヰヤセンスル ユウヰヤナ』」

一同「♬『(イヤーアッサ アッサ アッサ アッサ アッサ アッサ アッサ アッサ アッサ)』」

三郎「♬『イヤーアッサ イヤーアッサ アッサ アッサ アッサ…)』」

暢子「リトル・オキナワかあ…。」

レストラン・フォンターナ

紹介状を読んでいる房子

房子「まさかやー…。」

沖縄料理店・あまゆ
玄関前

トミ「ありがとうね。また来てね。」

「ごちそうさま。」

「ごちそうさ~ん。」

店内

暢子「ネーネーが 喜納金吾と?」

優子「暢子は 金吾さん 嫌いなの?」

暢子「悪い人じゃないと思うけど。 ん~ 好きでもない人と結婚するとか。」

(電話が切れる音)

暢子「ん?」

優子「もしもし 暢子?」

暢子「はっさ! 電話代が高すぎるわけ。」

三郎「ネーネーに 縁談か?」

暢子「相手は 村一番の 製糖工場の息子さんで。」

順次「さっきの話だと ニーニーが こしらえた借金で 家族 困ってるんでしょ? ありがたい縁談じゃない?」

暢子「アイッ 忘れてた! うちは ニーニーを捜しに 鶴見に来たのに! 三郎さん 順次さん うちのニーニー 知りません?」

三郎「いや 会ったこともねえ人を 知らねえかって言われてもな。」

トミ「いらっしゃい。」

賢秀「おばちゃん やってる?」

トミ「あれ あんた この前 お勘定 払わないで帰った…。」

賢秀「お願い! 泡盛1杯だけ! ねっ!」

トミ「その前に この間のお勘定!」

賢秀「人違いさ。 ねっ はいはいはい。 お邪魔します。」

暢子「あの声…。」

賢秀「死にそうなわけよ なあ!」

トミ「待ってって!」

賢秀「泡盛1杯だけ!」

トミ「お金!」

暢子「まさかやー! ニーニー!」

賢秀「何で 暢子がいるわけ? えっ おっ…。 おお…。」

暢子「ぽってかす! 何 考えてるわけ? ジムの借金は? どうするわけ?」

賢秀「だからよ! 俺は ボクシングに向いてなかったわけ。 分かるか?」

暢子「分かるわけないさ。 ぽってかす! うちが どれだけ東京で… 一人で… 怖かったか…。」

賢秀「もう 大丈夫。 ニーニーがついてるからよ。」

暢子「ニーニー! ニーニー…。」

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