ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」2話「シークワーサーの少女」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】2話のネタバレです。

あらすじ

1964年、まだアメリカ統治下だった沖縄。本島北部のやんばる地域が舞台。小学生の比嘉暢子(稲垣来泉)はおいしいものが大好きで、東京から来た転校生・青柳和彦(田中奏生)から、東京のおいしいものの話を聞きたくてたまらない。母(仲間由紀恵)と父(大森南朋)も共に、和彦の父・史彦(戸次重幸)との交際が始まるが、肝心の和彦はやんばるの暮らしが楽しくなさそうだ。暢子は何とか和彦の心を開かせようと試みるが…。

2話ネタバレ

1964年(昭和39年)

本土復帰直前の沖縄。 本島北部のやんばる地域の とある村で暮らす暢子は おいしいものが大好き。

暢子「東京においしいもの食べた~い! 食べた~い!」

比嘉家

良子「ニーニー 起きて! 暢子 ニーニー起こして!」

暢子「ニーニー! よいしょ。 ニーニー 起きれ! ニーニー 起きれ!」

賢秀「暢子 うるさい…。 もう 眠らせれ。」

暢子「起きれってば! 起きれ! 起きれ! ニーニー!」

賢秀「父ちゃん 毎朝 何をお祈りしてるわけ?」

賢三「お願いしたいことと 謝らないといけないことがあるわけさ。」

良子「どんなことよ。」

賢三「お願いは 家族みんなが幸せに暮らせますように。」

暢子「謝らないといけないことは?」

優子「うちら 畑に行くから みんな お願いよ。」

暢子「豆腐 行ってくるね。」

優子「うん。」

砂川とうふ店

暢子「おはよう 智。」

智「呼び捨てにするな。 何回言ったら分かるわけ? 俺は中学生 お前は小学生。」

暢子が毎朝買いにくる沖縄の豆腐は 薄い塩味で独特なものです。

型に入れて固める前の ゆし豆腐も 人々に愛され 沖縄の食卓に欠かせない存在です。

暢子「頂きま~す!

智「うまそうに食べるな。」

暢子「おいしい。」

旭「ニーニー たまには豆腐じゃないもの食べたい。」

智「ぽってかす! 芋もあるだろ。」

サチ子「毎日 豆腐と芋ばっかりさ~。」

智「母ちゃんは寝ておけ 俺がやるから。」

玉代「暢子ちゃん 智を学校に誘ってやって。 いくら言っても 全然行こうとしないさぁ。」

智「学校行くより 俺は人より先に商売覚えて いっぱい金を もうけるからよ。」

客「おはよう。」

智「おはようございます。 いつもありがとね!」

客「明日もお願いね。」

山原小中学校

暢子「おはよう。」

和彦「おはよう。」

暢子「東京で いつもどんなもの食べてるわけ? おいしいもの たくさんあるんでしょ? お菓子の種類もたくさんある? 東京のおいしいものの話 聞かせて。」

暢子「諦めないからね。」

ウージ畑

優子「サチ子 旭!」

賢三「ハイサイ。」

優子「はい 食べて。 おいで。」

サチ子「頂きます。」

旭「頂きます。」

賢吉「お人よしも いいかげんにせ。 食わずに働けるか!」

優子「すみません。」

智「サチ子 旭! こんにちは。 何やってる!」

賢三「智も アリ。」

智「俺は大丈夫です。 ありがとうございます。」

サチ子「ありがとう。」

旭「ありがとう。」

智「行くよ。」

優子「またね。」

賢吉「砂川とうふの子だろ?」

和恵「やんどー。」

賢吉「父親に死に別れて 去年 おじぃを頼って こっちに流れてきたのに そのおじぃも すぐに死んでしまって。」

和恵「母親も病気で 寝込んでるんだよね。」

優子「えっ いつから?」

賢吉「余計なことを教えるな。 分かってるよな。 お前たちも借金抱えて 4人の子供を育ててるんだから。」

優子「はい…。」

比嘉家

暢子「おいしそうだよ~。」

賢秀「アイヤー おいしそう。」

賢三「善一さん所から お裾分け。」

賢秀「これ 俺の! 俺は長男だから。」

暢子「勝手に決めないで。 これはうちの!」

良子「みんなで公平に分けよう。」

賢秀「俺の!」

暢子「うちの! うちの!」

良子「ニーニー!」

賢秀「何で。」

暢子「うちの。」

賢三「何でか?」

優子「これ… 砂川さんの家に…。」

暢子「えっ?」

賢秀「智の家?」

賢三「やっぱり そう来たか。」

優子「智の家は今 お母さんが病気で とっても困っているよね。」

良子「そしたら うちらの晩ごはんは?」

賢秀「こんなごちそう めったに食べられないのに!」

暢子「うちも… これは 食べたい。」

優子「でもね… もし もしも お父ちゃんとお母ちゃんが 病気になって働けなくなったら みんなも 同じように困るんだよ。」

暢子「行こう! 冷めないうちに!」

賢秀「アキサミヨー。」

砂川とうふ店

玉代「本当に ありがとうございます。」

智「ありがとうございます。 おい もう一回 お礼言え。」

旭「ありがとう。」

サチ子「おいしい。」

玉代「いつものですけど うちには これしかなくて。」

優子「ありがとうございます。 いつも おいしく頂いていますよ。」

賢三「じゃあ 行こう。 食事の邪魔だから。」

優子「失礼します。」

賢秀「早く学校に来い。 ヤマトンチュに すもう習わそう。」

智「俺より弱いくせに。」

賢秀「何ぃ?」

暢子「じゃあね。」

智「さよなら。」

玉代「さよなら。」

比嘉家

♬~(三線)

『名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子のの実ひとつ 故郷の 岸を離れて 汝はそも』

暢子「歌子 三線上手になったね~。」

良子「お父ちゃんは 歌子に甘すぎる。 女の子に 三線まで教えなくても…。」

『汝はそも 波に幾月 旧の樹は 生いや茂れる 枝はなお 影をやなせる われもまた 渚を枕 狐身の 浮寝の旅ぞ』

史彦「夜分に突然すいません。 失礼かと思ったんですが ご挨拶に。」

賢三「ああ。」

史彦「三線ですよね?」

賢三「あっ はい。」

史彦「そちらは手作りですか?」

史彦「はい そうです。」

優子「これはまた わざわざ ご丁寧に。」

賢三「まあ どうぞ。」

暢子「お父ちゃんが 暢子のために作ってくれたんだよ。」

史彦「ああ そうなんだ。 あっ あの これ よかったら皆さんで。」

暢子「えっ お菓子?」

良子「暢子。」

暢子「まさかやー! 東京のお菓子?」

優子「ちゃんと お礼言いなさい。」

暢子「ありがとう!」

良子 賢秀「ありがとうございます。」

賢三「すいません。」

史彦「あの そちら 糸作りですか?」

優子「あっ はい これが芭蕉布の着物になるんです。」

史彦「あの… 写真を撮っても?」

優子「どうぞ。」

和彦「僕 もう帰っていい?」

史彦「えっ?」

史彦「あの すみません。 ちょっと 難しい年頃で。」

暢子「マーサンヤー! 東京のあんこは サラサラしておいしいさぁ。 何か ちむどんどんする!」

史彦「じゃあ 戦後は横浜の鶴見に?」

賢三「ええ 親戚が闇市で 食堂やってたものですから。」

史彦「闇市ですか… 今となっては懐かしい思い出です。」

優子「先生の民俗学というのは どんな学問なんですか?」

史彦「昔の人の生活や しきたり 文化や芸能を調べたり 聞き集めて未来に伝えていく。 まあ そんなところです。」

優子「それで 今回は沖縄に?」

史彦「戦時中 陸軍の幹部候補生で 沖縄の部隊にいたんです。 でも 米軍が上陸する前に 配属替えになって。 あの時 もし ここに残っていたら 今の私は いなかってでしょう。」

賢三「自分は 中国をあっちこっち…。」

史彦「今でも時々 申し訳なく思うことがあります。 生き残ってしまったことを。」

賢三「自分も生きている限り 謝り続けないといけないと思っています。」

史彦「私は子供に そのまた子供にと 沖縄のことを語り継いでいく。 それが 生き残った私の使命です。 戦争で焼け落ちる前の首里城を 忘れられまえん。 本当に美しかった。」

優子「首里城は 何度も親に連れていかれて。 うち 実家 那覇なんです。」

史彦「じゃあ19年の空襲で?」

優子「はい…。」

史彦「すみません 立ち入ったことを。」

優子「いえ…。」

史彦「じゃあ 私はそろそろ すいません 遅くまで。」

賢三「こちらこそ お構いもできず。」

史彦「いえ ごちそうさまでした。」

優子「お休みなさい。」

史彦「では。」

(優子のすすり泣き)

暢子は 何か見てはいけないものを 見てしまったような気がしました。

(優子のすすり泣き)

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