ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」38話「再会のマルゲリータ」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】38話のネタバレです。

あらすじ

暢子(黒島結菜)は、房子(原田美枝子)に送り込まれた新聞社のアルバイト仕事で、新聞記者になっている和彦(宮沢氷魚)と再会。その上、和彦は暢子と同じ下宿に引っ越してくることに。新聞社の上司・田良島(山中崇)、和彦の同僚で恋人の愛(飯豊まりえ)とも出会う。暢子は和彦の、とある料理絡みの取材を手伝うことに。沖縄では歌子(上白石萌歌)が、暢子の励ましも受けて歌手のオーディションを受けるが…。

38話ネタバレ

沖縄料理店・あまゆ
玄関前

和彦「本当に 一人で大丈夫?」

愛「うん。 運転手さんが そこまで 迎えに来てくれてるから。 じゃあ お休みなさい。」

和彦「お休み。 気を付けて。」

愛「うん。」

和彦「あっ…。」

三郎「和彦君は 沖縄の記事を書くために この町に来たんだろ?」

和彦「三郎さん…。」

三郎「新聞記者が 何の目的もなく わざわざ 鶴見に住まねえだろ。」

和彦「僕にとって 沖縄は ライフワークなんです。 亡くなった父が やり残した仕事でもあるし。」

三郎「力になれることがあったら いつでも言ってくれ。 沖縄のこと 俺たちのことを 語り継いでもらうことは 大事なことだから。」

和彦「ありがとうございます。」

三郎「じゃあ お先に。」

和彦「はい。 お休みなさい。」

暢子「よいしょっと…。」

和彦「おっ 手伝うよ。」

暢子「大丈夫。 慣れてるから。 愛さんは 恋人だよね?」

和彦「うん。 新人研修の時に知り合って。」

暢子「デージお似合いだと思う。 フフフッ…。」

智「和彦~! エリート新聞記者は どこ行った~!」

和彦「ハハッ。 呼ばれてる。」

暢子「早く 早く。 フフッ。」

東洋新聞
学芸部

暢子が ボーヤさんを始めて 半月がたちました。

田良島「『我が生涯最後の晩餐』を?」

和彦「僕に 書かせてください。」

田良島「青柳 あれが どういう企画か…。」

和彦「分かってます。 著名人が 人生最後に食べたい 思い出の食について語る 我が 東洋新聞きっての 人気企画です。」

田良島「そんな記事を 学芸部に来たばかりの…。」

和彦「最近の『晩餐』は 単なる成功者の 美食自慢になっていると思います。 もっと『食は文化』という視点に 立って 読者に共感を得られる 深い記事を書くべきだと思います。」

田良島「それで これか。」

和彦「アレッサンドロ・タルデッリは 故郷 ミラノの地域色を生かした 有名な料理人で ちょうど 今 製粉会社主催の イタリア料理講習会のために 来日しています。」

田良島「三ツ星レストラン チリエージョ・タルデッリ オーナーシェフか。 だが 大のマスコミ嫌いで 相当偏屈だって うわさだ。」

和彦「やらせてください。 しっかり取材して 単なる美食礼賛ではない 新しい『我が生涯最後の晩餐』を 書いてみせます。」

田良島「分かったよ。 そこまで 言うんなら やってみろ。」

和彦「ありがとうございます。」

田良島「大野 サポート入れるか。」

愛「はい。」

田良島「『新聞を読んで 新聞を好きなろう大作戦』どうかな? 少しは 面白くなってきた?」

暢子「あっ…。 やっぱり うちには 料理の方が向いてるかと。」

田良島「料理も新聞記事も 同じ。 料理は 一番食べてもらいたい誰かを 思い浮かべて その人のために作るだろ。」

暢子「うん。」

田良島「新聞も 一番伝えたい 誰かに向かって書く。 今 この記事を この思いを 誰に伝えたいか。 それが 一番大事。 読みやすい記事から読んでみる。 例えば う~ん…。 ああ ここ。」

暢子「『投書欄』?」

田良島「書いた人の気持ちになって 読んでごらん。」

暢子「書いた人の?」

オーディション会場

一方 やんばるでは 新人オーディションの予選が 行われていました。

「♬『私の私の彼は 左きき……』ありがとうございました。」

鈴木「はい 踊りも かわいくて よかったです。 ありがとうございました。 え~ じゃあ 次。」

鈴木「112番 比嘉… 歌子さん。 へえ~ 歌子さんっていいじゃない。 ねえ ほら いいっすよねえ いいっすよねえ。 ハハハ…。 歌が好きなのかな? ちょっと緊張してる? ああ… 大丈夫 大丈夫よ。 それじゃあ お願いします。」

♬~(ピアノ)

鈴木「はあ…。 はいはいはい いいです いいです いいです。 はあ…。 5分あげるから 外で緊張ほぐしてきなさい。」

歌子「あっ すっ… すっ すいません!」

鈴木「あっ 出口あっち。 そっち トイレだから。」

歌子「すいません。」

鈴木「それじゃあ 次 いってみよっか。 え~…。」

東洋新聞
学芸部

暢子「今 オーディションの会場なわけ?」

歌子「下宿の人に 番号を教えてもらって。 そこは どこね?」

暢子「えっ あっ ここは… 知り合いの…。 それで どうしたわけ?」

歌子「ネーネー うち 歌えない。」

暢子「何でかねぇ。 手のひらに『人』という字を…。」

歌子「30回書いて 飲み込んでみた。 だけど やっぱり無理。」

暢子「あっ そうだ。 歌子 うちの話を よ~く聞いて。」

歌子「何?」

暢子「歌も料理も 同じ。」

歌子「どういう意味?」

暢子「料理は 一番食べてもらいたい人を 思い浮かべて作る。 今 この料理を 誰に食べてもらいたいか。 それが 一番大事。 歌も 同じ。 一番聴いてもらいたい人を思い浮かべて その人のために歌う。 分かった?」

歌子「ネーネー すごい! その言葉 ネーネーが考えたの?」

暢子「あっ…。 うちも 東京で もまれて 大人になったわけさ。」

歌子「ありがとう。 うち 頑張ってみる。」

暢子「うん。 チバリヨー!」

オーディション会場

♬~(ピアノ)

歌子「♬『いま私の願いごとが かなうならば 翼がほしい この背中に 鳥のように 白い翼つけて下さい この大空に 翼をひろげ 飛んで行きたいよ 悲しみのない 自由な空へ 翼はためかせ 行きたい』」

沖縄料理店・あまゆ

愛「アレッサンドロ・タルデッリは イタリア北部のミラノ生まれ。」

暢子「これが タルデッリの料理か。」

愛「ミラノ風オッソブーコ ミラノ風カツレツ。 この『ミラノ風』って どういう特徴があるの?」

暢子「ミラノ風のことは うちも…。」

(戸の開閉音)

順次「いらっしゃい。」

暢子「アイ。」

愛「どうだった?」

和彦「うん タルデッリの代理人が 取材は 一切お断りだって。」

暢子「え? どうするわけ?」

(電話の呼び鈴)

順次「ん? はい もしもし。 あまゆ。 うん? ああ ちょっとお待ちください。 和彦君 東洋新聞の田良島さん。」

和彦「えっ…。 はい 青柳です。」

田良島「明日 うちで タルデッリの取材が できることになったぞ。」

和彦「えっ 明日ですか? 何で?」

田良島「まあ ちょっと ブレーンがいてな。」

和彦「ありがとうございます。」

暢子「丸?」

愛「丸? えっ!」

東洋新聞
学芸部

暢子「どうぞ。 プレーゴ。」

タルデッリ「どうも ありがとう。」

暢子「アイヤー 日本語?」

タルデッリ「取材 始めてください。 日本語で どうぞ。」

和彦「はい。」

(シャッター音)

和彦「まず イタリアは 世界の中でも特に『地方の郷土料理こそが 食文化の源である』という傾向が 強いと思います。 地元 ミラノに こだわって…。」

和彦「今日は いろいろと貴重なお話 ありがとうございました。 約束のお時間も過ぎておりますので 最後に 一つ『あなたが 人生の最後に食べた 思い出の料理は何ですか?』。」

タルデッリ「ピッツァ・マルゲリータ。」

和彦「どんな思い出があるんですか?」

タルデッリ「ありがとうございます。 楽しかった。」

和彦「ありがとうございました。」

一同「お~!」

愛「それが ピザ・マルゲリータです。」

暢子「デージちむどんどんする~!」

愛「冷めないうちに どうぞ。」

和彦「よし 頂こう。 頂こう。」

一同「頂きま~す!」

暢子「ん~ おいしい~!」

田良島「青柳。」

和彦「はい。」

田良島「これの どこが新しいんだ?」

和彦「えっ…? はい。」

田良島「イタリア北部 ミラノ出身の料理人が 何で ピザなんだ? ピザは イタリア南部の料理 北部出身のタルデッリが 強い思い入れを持つのは 何らかの理由でもないかぎり おかしい。」

暢子「イタリアでは 北と南で 食べるものが違うんですか?」

田良島「そんなことも知らずに取材したのか?」

和彦「すいません…。」

田良島「いつ どこで 誰とピザを食べたか なぜ 最後の晩餐にしたいのかは 聞いてるよな? 聞いてるよな?」

和彦「聞いたんですが 答えてくれなくて…。 時間も 超えていたので。」

田良島「それを聞きだすのが 俺たちの仕事だろ。」

和彦「そのかわり 料理と文化についての話は…。」

田良島「肝心なこと聞かなきゃ 意味ないだろ。 新聞は お前の意見発表の場じゃない。 この企画は まず アレッサンドロ・タルデッリとういう人間を 読者に伝えられるかどうかだろ! 追加取材を申し込め。」

和彦「はい。」

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