ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」3話「シークワーサーの少女」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】3話のネタバレです。

あらすじ

沖縄のやんばる地域で暮らす食いしん坊の小学生・比嘉暢子(稲垣来泉)は、東京から転校してきた青柳和彦(田中奏生)が気になって仕方(しかた)がない。山に出かけたふたりは思わぬアクシデントに見舞われることに。そして和彦は、徐々に比嘉家の兄妹に親しみを感じていき、ある夜、食事に招かれて暢子たちの家を訪れる。暢子は父・賢三(大森南朋)や母・優子(仲間由紀恵)と精いっぱいの料理を作って待ち受ける。

3話ネタバレ

山原小中学校

暢子「東京のおいしいものの話 聞かせて。」

暢子「諦めないからね。」

休み時間

暢子「『アメリカ』?」

和彦「何?」

暢子「一緒に山に行かない?」

和彦「山?」

和彦「虫 虫が…。 どこまで行くんだよ?」

暢子「あっ ギーマ! こっちも! おいしい。 食べる?」

和彦「要らない。 まだ行くのか?」

暢子「うん。 もうちょっと行けば ミンジャイグサがある。 歌子が また熱出したから。」

和彦「ミンジャイグサ? 野生児。」

暢子「この辺には 熱冷ましに効く ミンジャイグサが たくさん生えてるわけさ。」

和彦「沖縄についてきて 損したぜ。 テレビもない 映画館も遊園地も 楽しいこと 何もない。」

暢子「ねえ 今度 東京のおいしいものの話 聞かせて。 うちに来て ごはん食べなら。 すごく楽しいよ。」

和彦「何で?」

暢子「みんなで食べるからさ。 東京にいた時は お父さん お母さんと一緒に 食べたんでしょう?」

和彦「帰る。 あっ!」

暢子「危ない! あっ あっ… あっ!」

(川に落ちる音)」

比嘉家

賢秀「あ~っ。 熱い! 良子 熱いよ! 熱いよ 熱い!」

良子「…なわけないでしょ スーパーバンドがあるんだから。」

賢秀「あっ… 熱い! 熱い…。」

(雷鳴)

優子「遅いねえ…。」

賢三「ちょっと 見てこようかね。」

史彦「すいません!」

賢三「青柳さん。」

史彦「和彦 お邪魔してません?」

(雷鳴)

暢子「ごめんね~ 重かったでしょ。 この小屋まで来れば すぐ帰れるから。  ちょっと休んでいこう。 アガッ うっ…。」

和彦「ごめんな。」

暢子「大丈夫。 なんくるないさぁ。」

和彦「仲悪いんだ。 父親と母親 食事の時は いつもケンカ。」

暢子「まさかやー。」

和彦「僕の進路のことや 成績のこと。 ほかにも いろいろ もめてて。」

暢子「例えば? どんなこと?」

和彦「うまく言えない。」

暢子「じゃあ 手紙! 手紙 書いてちょうだい。」

和彦「手紙?」

暢子「うん。 学校で文通が はやってるさ。 うちもしてみたいと思っていたわけさぁ。」

和彦「いや 小学生と文通なんか。」

(戸が開く音)

賢三「暢子!」

史彦「和彦!」

暢子「お父ちゃん! ねっ ポスト作って。」

賢三「ポスト?」

暢子「うん。」

比嘉家

優子「じゃあ 今晩 2人で来てくれるわけ?」

恵三「日曜だし 歌子も元気になったし 暢子を助けてもらったお礼に。 お父ちゃんが そば作るか?」

暢子「えっ ええっ!」

良子「やった!」

歌子「やった!」

賢秀「よ~し!」

暢子「やった~! ねえ うちも作る!」

賢三「うん うん うん。」

暢子「やった~!」

そば作り

恵三「ほれ 暢子もやってみろ。」

暢子「うん。」

恵三「あれ? ん~…。 うわっ!」

暢子「わっ! フフフッ。」

恵三「暢子~!」

暢子「ハハハハハッ。」

(笑い声)

恵三「こんなやって踏んで 小麦粉と水をつなげる。」

暢子「ふ~ん… やりたい。」

恵三「うん。」

恵三「そうそう。」

暢子「どんぐらい?」

恵三「もうちょい もうちょい。 はいはい。 回って回って… そうそうそう。 上手 上手だ。」

暢子「何で お父ちゃんは そば作るのが上手なわけ?」

恵三「昔は いっぱい作ったからね。」

暢子「包丁 お父ちゃんの名前が書いてある。 何で?」

恵三「これは昔 世話になった人がくれた お父ちゃんの宝物さ。」

暢子「へえ いいはずー うちも欲しい。」

恵三「ハッハッハ。」

暢子たちが『そば』と言っているのは そば粉ではなく 小麦粉を使った 今でいう『沖縄そば』のことです。

暢子「このぐらい?」

恵三「ここから先は 暢子 自分で考えて これがおいしいと思ったものを 出しなさい。 自分を信じて作りなさい。」

暢子「ん~ 難しい~。」

恵三「ハッハッハ。」

山原村共同売店

キヨ「はい コーラ。 10セントね。」

和彦「これですか?」

キヨ「うん そう。 ありがとうね。」

智「お前が うわさのヤマトンチューか。」

賢秀「ちょっと来い。」

智「暢子にケガさせたってな。」

和彦「それは悪かった。」

智「悪かったで済むと思ってるのか!」

賢秀「智! ここは 沖縄の一番星に任せれ。」

賢秀「『少年ダッシュ』貸せれ。」

和彦「えっ?」

智「おい それでいいわけなぁ?」

賢秀「どんなか?」

和彦「あげるよ。 もう全部読んだから。」

賢秀「アイヤー!『少年ダッシュ』! 最新号! ハハハ…!」

智「それで許すのか?」

賢秀「今日の夜 必ず来い。 絶対に『少年ダッシュ』持って。 母ちゃんが ジーマミー豆腐に サーターアンダギー作ってくれるって! それによ 父ちゃんのそば!」

和彦「そば? ざるそば?」

智「何か それ。」

和彦「『少年ダッシュ』は 今度 学校に持ってくよ。」

賢秀「何でか。 絶対にの夜 持ってこい。 沖縄角力で勝負しよう。」

和彦「沖縄角力?」

賢秀「勝負の前に教えてやるさ。」

和彦「組み合った状態から始めるんだ。」

賢秀「コツつかむの早いな。」

智「普通 分かるだろ。」

賢秀「先に相手の背中を地面につけた方が勝ち。」

和彦「押し出しは? うっちゃりとか 寄り切りとか。」

賢秀「だからよ。」

沖縄角力とは 本土の角力と似ていますが 柔道着を着て取り組むなど 多くの独特の決まりを持った 競技です。 琉球王朝の時代から 数百年の歴史があるとも いわれています。

賢秀「はい。」

賢秀「お前は弱い。 弱すぎる。 しょうがないから 俺の一番弟子にしてあげるよ。」

和彦「嫌だよ。」

賢秀「山原中学校横綱の一番弟子だよ? うれしいだろ。」

和彦「うれしくない。」

智「待て 賢秀。 横綱は俺だろ。」

和彦「アキサミヨー 誰が決めた?」

智「ヤマトンチュ 審判やれ。」

和彦「僕?」

智「来い!」

賢秀「ニライカナイまで 投げ飛ばしてやるからよ。」

和彦「ニライカナイ?」

賢秀「海の向こうの そのまた向こうさ。」

和彦「ハッケヨイ ノコッタ? 何て言えばいいの?」

賢秀「背中をたたく!」

和彦「どっちの?」

智「どっちも。」

賢秀「早くしれ!」

和彦「始め!」

賢秀 智「アガッ!」

和彦「ごめん。 だって…。」

智「隙あり!」

賢秀「インチキ!」

和彦「あの。」

賢秀「何か。」

和彦「僕 もう帰っていい?」

賢秀「ありえん! マグネット オーロラ 宇宙磁石パワー!」

シークワーサーの木

暢子「せーのっ…。 てて…。」

史彦「暢子ちゃん?」

暢子「和彦君のお父さん。 今日の夜 和彦君と一緒に 食べ来るでしょ。」

史彦「うん。 足は もう大丈夫?」

暢子「うん。」

史彦「はい どうぞ。」

暢子「ありがとう。 本当は 自分で取れるようになりたい。」

史彦「あっ そうだったんだ。 ごめん ごめん。」

暢子「何してるの?」

史彦「うん 向こうのお墓を見てたんだ。 古いお墓や いろんな形のお墓があって とっても面白い。」

暢子「東京の方が面白いでしょ? 和彦君は 沖縄に来なければよかったって 言ってたよ。」

史彦「おじさんは 東京も好きだけど この村も好きだよ。 暢子ちゃんにとっては この村がふるさと。」

暢子「ふるさと?」

史彦「いつか 暢子ちゃんが大きくなって 今の暢子ちゃんみたいな子に シークワーサーの実を取ってあげる時が きっと来るから。 そしたら もう一度考えてみるといい。 この村が 本当につまらないかどうか。 じゃあ。」

暢子「夜 絶対来てよ! うち そば作った! お父ちゃんに教えてもらって 初めて作ったからさ! 和彦君にも食べてほしい! 絶対 おいしいはずよ!」

史彦「じゃあ 後で。」

暢子「バイバイ!」

史彦「バイバイ!」

比嘉家

暢子「見てくる!」

賢三「ハッハッハ…。」

優子「賢秀に話した?」

賢三「いや 話そうと思ったけど…。」

優子「ええっ?」

賢秀「豚小屋にアババがいなかったけど どこにいるのか?」

賢三「アリ… あの あれよ。」

暢子「ねっ 来た来た 来たよ~!」

史彦「こんばんは。」

賢三「お待ちしてました。」

優子「ようこそ。」

暢子「どうぞ。」

賢秀「父ちゃん アババは どこにいるわけ?」

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