ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」48話「あの日、イカスミジューシー」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】48話のネタバレです。

あらすじ

暢子(黒島結菜)の勤めるフォンターナのシェフ、二ツ橋(高嶋政伸)は、とうとう退職願を房子(原田美枝子)に渡した。店がどうなってしまうのか、暢子は心配でたまらない。そんなとき、沖縄やんばるから、優子(仲間由紀恵)が歌子(上白石萌歌)を連れて上京してくる。相変わらず原因のはっきりしない発熱が続く歌子を、東京の病院で検査をうけさせるためだった。大都会に驚くばかりの歌子だったが…。

48話ネタバレ

東京・銀座

優子「アキサミヨー。」

歌子「人がたくさん。」

智「行きましょう。」

優子と歌子が 上京してきました。 2人にとって 初めての東京です。

智「何か食べていきます? 洋食なら カツカレーのうまい店も知ってるし チャーシュー麺のうまい ラーメン屋も知ってます。」

歌子「智ニーニー 一段と格好よくなったね。」

優子「本当 すっかり都会の人みたいね。」

智「仕事で出入りしてる店 知ってるだけ。」

(女性たちの話声)

歌子「みんな おしゃれだね。」

智「歌子も負けてないさ。 その洋服 似合ってるよ。」

歌子「良子ネーネーのお古。」

和彦「智!」

智「お~!」

優子「あっ… はっさ もしかして 和彦君?」

和彦「おばさん 歌子ちゃん お久しぶりです。」

優子「アイエナ。」

歌子「アキサミヨー。」

智「びっくりするよね あの和彦が 今や新聞記者。 美人の婚約者までいるんだよ。」

歌子「婚約者?」

和彦「いやいや まだ婚約までは。 歌子ちゃんも 社会人になったんだよね どう? 仕事には慣れた?」

優子「会社 辞めたわけ いろいろあって。」

和彦「あっ… ごめん。」

歌子「ううん…。」

沖縄料理店・あまゆ
店内

優子「皆さん 暢子が いつもお世話になっております。 今日は お集まりいただいて ありがとうございます。 気持ちだけなんですけど サーターアンダギーを 少し持ってきましたので…。 後で 皆さんで 召し上がってください。」

「ありがとうございます!」

田良島「手作りですか? 手作りですか? えっ いいんですか? やった~!」

歌子「比嘉歌子です。 よろしくお願いします。」

三郎「拍手。」

(拍手)

健男「よっ 歌子ちゃん!」

(拍手)

智「ヤサ! 暢子 一人紹介忘れてる。」

暢子「ん?」

智「立って 立って!」

暢子「えっ? 何?」

智「こっち こっち。 皆さん 注目 この女性こそ かの 一流レストラン フォンターナで もうすぐ 花形のストーブ前を 任せてもらえる 最高の料理人 比嘉暢子さんです!」

(拍手)

暢子「あっ… まだ 決まったわけじゃないから。」

智「絶対 決まるって!」

暢子「そのためには お店の新しい看板メニューを 考えないと。」

健男「よっ 看板娘!」

(笑い声)

智「ストーブ前というのは レストラン 肝心要の大仕事。 皆さん 後で 暢子の新メニューの試食に つきあってください!」

(拍手)

順次「楽しみヤッサ!」

(拍手)

智「肝心要の 看板娘!」

暢子「あっ もう うるさい!」

智「アガッ やめれ! 看板娘!」

暢子「黙って ぽってかす!」

智「待って 待って 待って 看板娘だから  我慢するよ! 何なん それ。 どういうこと? 必殺技?」

智「えっ 怖い 怖い 怖い。 何? 暢子 何するの? ちょっと… うわ~!」

玄関前

(戸の開閉音)

優子「あの 暢子から いつも聞いています。 本当に 何から何まで お世話になってしまっているようで。」

三郎「いえいえ 気にしないでください。 どうぞ。」

三郎「暢子ちゃんのこと みんな 見てるだけで楽しいんですよ。」

優子「賢三さん… あの子に父親も 昔 お世話になったそうで。」

三郎「比嘉賢三…。」

優子「はい。」

三郎「最後に賢三と会ったのは… 戦争前 大昔の話です。」

優子「あの人の叔母にあたる方が 暢子のレストランのオーナーさん 房子さんだと知って びっくりしました。 賢三さん… あの人は 昔 房子さんとの約束を 破ってしまったんです。」

三郎「人づてに。 そんなうわさも 聞きましたかね…。」

優子「房子さん きっと 怒っていらっしゃるでしょうね。」

店内

(笑い声)

智「なっ?」

暢子「ねっ いや それで 毎朝 智の豆腐を タダで タダで食べていたわけ!」

(笑い声)

智「いや 一度だけのつもりだったのに 毎日だよ!」

暢子「だって デージおいしかったんだのに。 ねえ?」

智「であるけど。」

暢子「ゆし豆腐 みんなにも食べてほしい。 砂川とうふの ゆし豆腐。」

智「優しい。 もっと もっと言って 暢子。」

優子「どうしたわけ? 大丈夫?」

歌子「部屋で休んできてもいい? ネーネー ごめん。 ちょっと 疲れたから。」

暢子「いいよ。 先に休んでて うちも すぐ 上がるから。」

優子「じゃあ 歌子 行こうか。 すいません。 先に 上がりましょうね。」

歌子「一人で大丈夫。」

暢子「歌子 よくないの?」

あまゆ2階・ゴーヤー

回想

智「俺にとっては 歌子が1等賞。」

回想終了

優子「歌子。」

(ドアを開ける音)

歌子「お母ちゃん 下で 夕ごはん食べてきたら。 ほとんど食べてないでしょ? うちは 一人で大丈夫。」

優子「お母ちゃんも ちょっと休もうかね。 あっ… 後で暢子が イタリア料理 持ってきてくれるってよ。」

沖縄料理店・あまゆ

智「わ~! 頂きま~す!」

田良島 和彦「お~! おいしそう。」

暢子「今夜の試作品は ボロネーゼビアンコです!」

順次「ぼろねーぜ?」

暢子「ボロネーゼは イタリア北部 ボローニャの伝統的なパスタ。 鶏肉と 刻んだ香味野菜を炒めて 白ワインで煮込んだソースと パスタを あえたわけ。 普通のボロネーゼは 赤ワインと牛肉だけど こっちの方が 軽く おいしく食べられると思う。」

田良島「なるほど。」

愛「おいしそうだね。」

暢子「とにかく 食べてみてください!」

智 ヒロシ 健男「頂きます!」

健男「ヒロシ いっぱい食べろよ。」

三郎「うまい。」

多江「おいしい。」

智「マーサンヤー!」

多江「お母さんと妹さんに 持っていこうか?」

暢子「あっ 後で うちが持っていきます。」

(戸が開く音)

健男「お前…!」

暢子「どうしたんですか?」

二ツ橋「昨日は… すみませんでした。」

三郎「お前さんも 一緒にどうだ?」

暢子「シェフ 新しいメニュー まだ候補ですけど 味見をお願いします。」

二ツ橋「しかし… 私は 間もなく 店を去る人間ですし…。」

暢子「シェフの感想を 聞きたいんです。 お願いします。」

二ツ橋「では 一口だけ。」

暢子「うん。」

暢子「どうですか?」

二ツ橋「食感を考えると 肉や野菜の切り方 歯ごたえの計算は 悪くありません。 でも… いまひとつです。」

暢子「どこが駄目ですか?」

二ツ橋「このボロネーゼは 材料の色みが単調。 もっと 彩りを加える工夫を した方がいい。」

暢子「やっぱり 見た目が大事ってことですね。」

二ツ橋「そのとおり。」

三郎「お前さん あの店 辞めるのかい?」

二ツ橋「はい。」

三郎「そうか…。」

あまゆ2階・ゴーヤー

(ドアが開く音)

暢子「ただいま。」

優子「お帰り。」

暢子「大きいお風呂 気持ちいいよ。 歌子も お母ちゃんと一緒に 行ってくれば?」

優子「歌子。」

歌子「…」

優子「じゃあ 行ってこようね。」

暢子「行ってらっしゃい。」

優子「うん。」

暢子「少しでも 食べておいたら? 明日 検査が終わるまで 何も 食べられないんでしょ?」

歌子「検査 どうしても受けないといけない?」

暢子「ん?」

歌子「沖縄に帰りたい。 今すぐ帰りたい。 検査の結果 もし 手術や入院だったら また お金が…。」

暢子「歌子が 元気になるのが 一番大事。」

歌子「暢ネーネーが 羨ましい。 東京で みんなに かわいがられて 好きなことをして 生き生きしてる。 良子ネーネーも 暢ネーネーも 夢をかなえた。 うちだけ 同じ所を ぐるぐる回ってる。 子供の時から 1ミリも成長してない。」

暢子「そんなことないよ。」

歌子「この先も きっと同じ。 仕事も 恋愛も 結婚も 何にもできないまま 死んでいくと思う。 そういう運命だはず。」

暢子「歌子…。」

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