ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」63話「黒砂糖のキッス」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】63話のネタバレです。

あらすじ

暢子(黒島結菜)は愛(飯豊まりえ)とも話して、料理に改めて専念することを宣言。和彦(宮沢氷魚)への思いを断ち切る決意をしていた。だがそんなやさき、あまゆで和彦と暢子は二人で時間を過ごすことになってしまい…。一方、沖縄やんばるでは、教師としての壁にぶつかっている良子(川口春奈)が、久しぶりに別居中の夫・石川(山田裕貴)の元を訪ねる。

63話ネタバレ

石川家
玄関前

石川「は~い。 どうした?」

良子「…」

リビング

良子「誠が 許してくれないのも 当たり前さぁね。 結局 うちは 子供の時から成長してない。 自分は 人よりできる 誰よりも正しいと思い上がったまま 大人になって…。]

良子「今度は 誰より子供の気持ちが分かる 教師だと うぬぼれてた。 自分本位では いけないと 教えていた私が 誰よりも エゴイストだった。 こんなうちに 教師の資格なんて…。」

石川「俺も そんなふうに考えてたよ。 何回も。『友達は大切に』と教えてるい俺が 大事な家族すら 大切にできてない。 こんな自分が 子供たちを導けるのかって…。 だけど このごろ それも思い上がりだなって思ったわけ。 俺たちは 教員免許は持ってるけど 人としては まだまだ不完全。]

石川「これからも たくさん失敗すると思う。 だから 上から目線で 子供たちと向かうんじゃなくて もっと 子供たちの話を聞いて 子供たちから 教わっていけば いいんじゃないかって。 立派な教師には なれないし ならくてもいい。 そう考えたら 気持ちが楽になった。]

石川「これから先 何年もかけて 俺は どんな教師になれるかなって 考えたら ワクワクしてきた。 変かねぇ?」

良子「ううん。 それ聞いたら うちも 何か ちむどんどんしてきた。 昔みたいに。」

石川「やっと笑った。」

良子「うん。 ちゃんと泣いたら スッキリした。 ずっと泣けなかったから。」

石川「晴海は? 元気にしてる?」

良子「うん。 歌子とお母ちゃんに懐いて 毎日大騒ぎ。」

石川「そういえば 飯食ってない。 久しぶりに ラーメン 一緒に作ろうか。」

良子「うん。」

台所

良子「ありがとう…。」

石川「戻ってきてくれないか?」

良子「それとこれとは 別さぁ!」

石川「アイエー厳しい。 あっ! あっ…! ハムは 盛りつけてからさ。」

良子「一緒に 煮た方が おいしいんじゃないの? アイエー! アイエー こぼれてる! あっ…。」

山原小中学校
教室

良子「おはよう。 教えてくれない? 先生 ぶきっちょだから あや取りが下手くそさ。 ほうき どんなしたらいい?」

誠「ここ。 こんなして こんなやって…。」

良子「すごっ 出来た!」

誠「簡単さ。」

良子「誠 この前は ごめんなさいね。 先生を 許してくれる?」

誠「うん。」

良子「ありがとう。」

夏が近づき 鶴見では エイサーの練習が始まっていました。 エイサーとは お盆に祖先の魂を送るために踊る 沖縄の盆踊りのようなものです。 今日は 本番さながら 衣装を着けての練習です。

(合いの手と指笛)

沖縄料理店・あまゆ

(ドアが開く音)

和彦「ただいま」

暢子「お帰り。」

和彦「あれ まだ来てない?」

暢子「愛さん? まだかも。 うちも さっき帰ってきた。」

和彦「そっか。 企画の相談に乗るって 約束してたんだけど 取材が 長引いちゃって。 おっ 何作ってるの?」

暢子「明日届ける仕出しに手伝い。 今日は エイサーの練習で 誰もいないから。」

和彦「もう そんな時期か。 こっちの盆踊りみたいなものだもんね。」

暢子「うん。」

和彦「暢子に 聞きたいことがあるんだけどさ。」

暢子「もしかして 愛さんと話した?」

和彦「えっ?」

回想

暢子「うち…。 和彦君のことが好き。 好きって 分かってしまったわけ。」

回想終了

和彦「暢子は…。。 両親から 沖縄戦の話は聞いてる?」

暢子「沖縄戦?」

和彦「うん。 特集記事の企画を考えてるんだけど 戦争を絡めた話を 提案してみようと思ってて。」

暢子「あっ ああ…。」

和彦「ん?」

暢子「あっ ううん…。 ん~… お父ちゃん お母ちゃんから 戦争の話は 聞いたことがない。 村のおじぃ おばぁも 誰も 戦争の話はしなかった。」

和彦「そっか…。 いや 沖縄で遺骨収集の活動をしている 嘉手刈さんというご老人がいてね。」

暢子「遺骨収集?」

和彦「南部の洞窟とかには 沖縄戦で 亡くなった方々の遺骨や遺品が 今でも そのままになってるそうなんだ。 それを掘り出して 分かるものは家族のもとに返す。 20年くらい前に うちの記者の誰かが記事にした。」

和彦「戦争を知らない世代が増えた今 改めて 話を聞きたいんだ。 ただ この記事が出たあとは 一切 取材を受け付けていないらしい。 那覇支局の同期も 何度か アタックしてみたけど いつも門前払いだって。 まあ 僕は 諦めないけどね。」

♬~(『いちゅび小節』)

暢子「近づいてきたね。」

♬『いちゅびぐぁや なぢち たしままてぃ かゆてぃ あばぐぁ しぬぶんてぃ』

和彦「エイサーってさ 沖縄の中でも 地域によって微妙に違うんだよね?」

暢子「あ~ フフッ。」

和彦「いつか 見てみたいな。 沖縄で。」

暢子「うちも久しぶりに見たいさぁ。 沖縄で。」

和彦「一緒に 行ってみる?」

暢子「うちと 和彦君が? 愛さんと行ったらいいのに。」

♬『イヤーサーサー』

♬『(アイヤー イヤーサーサー)』

♬『いちゅびぐぁや なぢち たしままてぃ かゆてぃ』

和彦「暢子は いつか沖縄に帰るの?」

暢子「今は こっちで仕事したい。 でも 昔より 今の方が やんばるのよさも 分かる気がする。 フフッ…。」

和彦「そうなんだ。」

暢子「和彦君のお父さんが そんなこと言ってたさ。」

和彦「うん…。 僕の父は 戦時中 沖縄の部隊にいたんだ。」

暢子「まさかやー。」

和彦「米軍が上陸する前に 配属が かわったから生きて戻った。 首里城の美しさが忘れられない。 沖縄の文化を 後世に語り継ぎたいって…。 僕は っ父の思いを 引き継ぎたいと思ってる。」

和彦「目の前の事件を 追うだけではなく 今の僕らの暮らしが どういう物語があって 成り立ってるのかを伝えたい。 東京中心ではなく 地域からの視点で 沖縄からの視点で伝えたい。 だから…。 いずれは 新聞社を辞めると思う。」

暢子「全然 知らなかった。 和彦君が そんな夢を持っていたなんて。」

和彦「あっ…。 懐かしい…。 暢子。」

暢子「うわあ…。」

和彦「不思議だね。 子供の頃に 沖縄で出会った僕らが 今は 鶴見で同じ下宿で暮らして エイサーを聴いてる。」

暢子「でも 和彦君は もうすぐ 鶴見とお別れだね。 引っ越しは いつ?」

和彦「夏が終わるまでには。」

暢子「であるわけねぇ…。 そうだ 引っ越す前に 海行こう。」

和彦「海?」

暢子「うん。 うち こっちに出てきてから まだ 一度も行ってない。 沖縄では 毎日見てたのに。」

和彦「行こう 夏が終わる前に。」

暢子「うん。 最後に パ~ッと騒ごう。 みんなで。」

和彦「2人でも いいけど。」

暢子「えっ? アガッ!」

和彦「大丈夫?」

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