【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】65話のネタバレです。
あらすじ
愛(飯豊まりえ)は、新聞記者として大きな特集記事を書くチャンスをつかむ。念願のファッションについての企画記事だ。だが愛は、上司を納得させられる企画書を上手(うま)く作れずに苦しんでいた。追い詰められた愛は、暢子(黒島結菜)、和彦(宮沢氷魚)、智(前田公輝)に協力をお願いする。それぞれに複雑な思いを秘めたまま、四人は一晩、力を合わせて企画を考えることに…。そして四人の関係に大きな変化が…。
65話ネタバレ
東洋新聞
学芸部
田良島「流行の時系列を 追っただけ。 単なる歴史説明記事を書きたいのか?」
愛「違います。」
田良島「思い入れの強い企画で よく陥るパターン。 自分の知識を ここぞとばかりに詰め込んで 整理が 追いついてない。 読者に 何を 一番伝えたいか。 そこを もう一回 突き詰めて考えてみろ。」
愛「分かりました。」
田良島「明日いっぱいだ。 それ以上は 待てないからな。」
愛「はい。」
沖縄料理店・あまゆ
店内
暢子「うちたちの意見?」
愛「分からなければ 分からない 退屈なら 退屈 つまらなければ つまらないって 遠慮なく 言ってほしい。 よし。」
暢子「へえ~…。」
愛「まず 第一にやりたいことは『20世紀のファッションの歴史と 社会の変化について』。 ファッションの流れを 私なりの解釈でまとめて 私あんりのメッセージで伝えたい。」
暢子「アイヤー うち 歴史は あんまり得意ではないわけよ。」
智「俺なんか 寝てたよ 歴史の授業。」
愛「でも 昔の話は 今につながってるんだよ。」
暢子「どんな意味?」
愛「例えば 智君が はいてるジーンズ。 かつては 不良が はくものだと言う人もいた。」
智「まさかやー。 このジーパンが?」
愛「うん。 もともと ジーンズは 労働のための服だった。 ある時から 大人や社会に抵抗する若者たちが ふだん着として着るようになった。」
暢子「今では 女の人も はいてるよね? 愛さんも。」
愛「う~ん でも 私は 会社には はいて行けない。 ジーンズはもちろん ズボンもね。」
暢子「何で? そういう決まりだわけ?」
愛「決まりではないけど 東洋新聞では 女性の社員は みんなスカートなのが現実。 でも 10年 いや 何年か先の未来には きっと変わってる。 労働服だったジーンズが 時代を代表する ファッションになったように これからもっともっと 新しい時代の波が 押し寄せてくると思うから。」
智「『男性服 女性服の移り変わり』大量生産の発達』。」
暢子「『アメリカンカジュアル』『エキゾチックの趣味の台頭』。 若者文化のムーブメント』『ジャンルの多様化』。」
智「洋服のことだけじゃなくて 商売や外国の文化も知らないと 整理できないわけか。」
暢子「う~ん うちたちにとっては 難しいかも。」
愛「う~ん…。」
和彦「ちょっと休んだら? 5分休憩。 お茶いれたよ。」
智「おう。」
愛「ありがとう。」
暢子「う~! 黒砂糖 食べよう! 頭の疲れが 取れるかも。」
暢子「う~ん! おいしい。」
智「俺の やんばる土産。 これは 上物さ。」
暢子「うん。 子供の頃から これは大好き!」
和彦「おいしいものは 何でも好きなんだろ?」
暢子「フフッ…。」
愛「暢子ちゃんは 子供の頃から ズボンを はいてたの?」
暢子「ニーニーのお下がりで 昔から。 走りやすいし 海でも山でも 動きやすいから。 愛さんは どうして ファッションが好きなわけ?」
愛「うん… 変身させてくれるから。」
暢子「変身?」
愛「うん。 好きな服を着た時は うれしくて いつもと違う自分に なれたっていうか。」
暢子「自分の好きな服を着たら 元気になるよね。」
愛「うん。 その元気な気持ちって 自由なんだと思う。」
暢子「自由?」
愛「うん。 ちむどんどん。」
暢子「ハハハッ…。」
智「暢子は 昔から自由ヤサ。 一人だけ ズボンはいてて 誰に何を言われても 気にしてなかったからな。 ハハハッ…。」
愛「昔は 国によって 女の子が ズボンをはくのは禁じられてたんだよ。」
暢子「はっさ ありえん! どんな時代に生まれても うちは ズボンをはくし 料理もしたい!」
和彦「きっと どの時代にも 暢子みたいな女性がいて 今に つながってるってことかもね。」
愛「それだ。」
愛「これ!」
暢子「『女性の社会進出』と『パンツルック』。」
愛「20世紀のファッション史 最大の事件は パンツルックの女性が 世界に飛び出したこと。」
和彦「なるほど。」
愛「タイトルは『ズボンをはいた女の子』! どう?」
和彦「うん いいと思う。 この100年の間に 世界中の女性たちが 闘ってきたことを象徴してるね。 何より 今 男性社会の中で頑張る 女性たちを勇気づける記事になる! よし じゃあ この切り口で並べてみよう。」
愛「うん。」
智「ズボンをはいた 女の子?」
暢子「うちのこと?」
暢子「はい。」
和彦「これとこれ 逆の方がいいよ。 こうで…。」
愛「こっちの方が いいね。」
和彦「うん スッキリする。」
智「はい。」
暢子「楽しい。 何か 高校時代に戻ったみたい。」
智「俺は 豆腐売ってばかりで ほとんど 高校行かなかったけど こんなに楽しいなら 学校も悪くないな。」
愛「本当に ご協力 ありがとうございます。」
和彦「まだ 終わったわけじゃないよ。」
愛「分かってる。」
暢子「でも これで最後かもね。」
愛「えっ?」
暢子「こんなふうに 4人で わいわいできるのは。」
和彦「そんなことないよ。 これからも 何回も集まれる。」
愛「さあ もう ひと頑張り フフッ…。」
和彦「うん。」
智「よし。」
暢子「うん。」
海
(三線の音)
歌子「『南風吹けば 咲く花の美らさよ 島の美童の ジントヨー 想い染めてよ ジントヨー ジントヨー 流す涙なら 潮風で消えるよ つらい想い出は ジントヨー 歌で消えるよ ジントヨー ジントヨー
沖縄料理店・あまゆ
店内
愛「出来た。」
和彦「ご苦労さま。」
愛「うん。」
和彦「出来たよ。」
智「んっ…。」
暢子「ん~…。」
智「うん…。」
暢子「よかった~。」
智「ご苦労さまです。」
愛「ねえ 今から海に行かない?」
和彦「海?」
愛「うん。」
和彦「僕は 午後から取材が…。」
愛「私も 昼までに 会社に行かないといけない。 ちょっとだけだよ。 暢子ちゃんも 今日休みでしょ?」
暢子「ん…。」
愛「智君 起きて。 車出して!」
智「あと5分…。」
愛「起きろ!」
智「んっ!」
海
暢子「うわっ。」
和彦「おおっ…。」
愛「黒砂糖って おいしいね。 うん。 楽しい! 何か 生きてるって感じがする。」
暢子「この幸せが ず~っと続けばいいのに。」
智「そうは いかないさぁ。 大人になれば みんな 結婚して それぞれの家族を作る。 暢子 聞いてくれ。」
暢子「あっ 智 勝負!」
智「あっ アイ! ま… 待て!」
暢子「あのボール!」
智「暢子!」
和彦「フフッ…。 海に行きたいなんて らしくないね。」
愛「らしくないこと してみたかったの。」
和彦「ん?」
愛「あの夜… 海に行きたいって 言ってたでしょ?」
和彦「えっ?」
回想
暢子「引っ越す前に 海行こう。」
和彦「行こう 夏が終わる前に。」
暢子「うん。 最後に「パ~ッと騒ごう。 みんなで。」
和彦「2人でも いいけど。」
暢子「えっ?」
回想終了
和彦「起きてたの? あの時。」
愛「これで おあいこ。」