ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」72話「ウークイの夜」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】72話のネタバレです。

あらすじ

お盆の頃、ひさしぶりにやんばるに帰省した暢子(黒島結菜)と賢秀(竜星涼)。良子(川口春奈)と歌子(上白石萌歌)と四人そろったきょうだいは、優子(仲間由紀恵)に向かって、自分たちに何か隠していることがあるのかと問いただす。その頃、和彦(宮沢氷魚)は取材で沖縄に入り、嘉手刈(津嘉山正種)という老人の取材に挑戦していた。だが、気難しそうな嘉手刈は、和彦に何も語ろうとはせず…。

72話ネタバレ

比嘉家

賢秀「だからよ。 母ちゃんは どこで何してるのかねぇ?」

歌子「今までも たまにあったよね。 用事があるって出かけて どこに行ってたか教えてくれないこと。」

良子「あったあった。 年に1回か2回。」

暢子「子供の頃は お父ちゃんと一緒に 行ってなかった?」

歌子「である である。」

良子「うん。」

歌子「うちらは 善一さんや おじさんのおうちで待ってた。」

賢秀「そうだっけ?」

暢子「何か うちたちに秘密があるのかな?」

洞窟

和彦「おばさん!?」

優子「和彦君…。」

和彦「どうして ここに?」

優子「和彦君こそ どうしたわけ?」

和彦「僕は 取材で。 おばさん 嘉手刈さんの活動に 参加してるんですか?」

優子「あっ もう バスの時間だから。 ここで会ったことは 暢子には 言わないでね。」

嘉手刈金物店
公衆電話

(ブザー音)

和彦「奥様のご厚意で 家に連れてきていただいて 房子オーナーの預かり物も 無事に渡しました。 ただ 肝心の嘉手刈さんは 今のところ 何を聞いても『知らん』の 一点張りで。 でも 必ず聞き出しますよ。」

東洋新聞
学芸部

田良島「聞き出すとか お前 何様だ? なぜ 見ず知らずのお前なんかに 話したくもない話を しなくちゃならいのか よく考えてみろ。 分かんなかったら 尻尾巻いて帰ってこい。」

和彦「帰りません。 僕は ずっと追いかけていたんです。 20年前の嘉手刈さんの記事を 初めて読んだ時から。」

田良島「あの記事か… 書いたのは 俺だ。」

和彦「えっ?」

田良島「あの記事が世の中に出たことで 嘉手刈さんには とんだ迷惑をかけちまった。」

和彦「とんだ迷惑?」

田良島「嘉手刈さんに これだけは伝えてくれ。 俺が ずっと…。」

(電話が切れる音)

和彦「もしもし? もしもし!」

(不通音)

嘉手刈金物店

嘉手刈「『がっかりしたくなくて 今まで一度も 蓋は開けられ』…。『でも これでやっと 本当の供養ができます』。『敬具』…。」

和彦「僕の父は 沖縄の部隊にいました。 米軍が攻めてくる前に転属になって 死なずに済みました。 父は もともと民族学者で 沖縄の文化をライフワークに 本を書こうとしていました。 僕も 子供の頃 まだ復帰前の沖縄で 父と暮らしたこともあります。」

和彦「父は 僕が中学生の頃に 急病で他界しました。 いずれは 父の果たせなかった思いも 引き継いで 沖縄について 僕なりの本を 必ず書きたいと思っています。 今回 お邪魔できたのは 上司の田良島の計らいです。」

嘉手刈「田良島さん?」

和彦「嘉手刈さんに 迷惑をかけてしまったと 言っていました。」

嘉手刈「そうか あんた 田良島さんの部下か…。 この 大城房子さんとは どこで?」

和彦「房子さんは 田良島が懇意にしている レストランの経営者で 僕も よくお世話になっています。」

嘉手刈「毎年 多くのお金を 寄付してくれている。 房子さんが 間に入ってくれたおかげで 掘り出せたものが 遺族の手に渡ったこともある。」

嘉手刈「これは 全部 本土の遺族の人からのね お礼の手紙さ。 届けてくれて ありがとうね。」

和彦「20年前 田良島は 一体どんな迷惑を。」

嘉手刈「わしの親戚や友人には いろんな立場の人がいてね。 うん あの戦争の話は もう 思い出したくもないという人もいるし アメリカ人相手と商売してね 生活をしてる人もいる。」

嘉手刈「私の所に 文句を言いに来た人もいるよ。『取材を受けなければよかった』って ひと言 田良島さんに言ったら それを 田良島さん ずっと 気にしてるわけさ。」

ツル「いらっしゃい。」

嘉手刈「今日は ウークイだ。 これも 何かの縁かもしれないね。」

嘉手刈「あの戦争で 人は 人でなくなることをした。 自分の子供に あの時のことを 話できない人が もう たくさんいるわけさ。 戦争経験者も どんどん死んで そのうち 誰もいなくなる。 なんとか 伝えなくちゃいかん。」

和彦「過去を知ることが 未来を生きるための第一歩だと思います。」

嘉手刈「あんた いい目してるよ。 田良島さんと 同じ目してる。 どうやったら 正しく伝えられるかどうか わしには 分からんけど もし あんたが それ 考えてくれるというんだったら わしは 何でも話すよ。」

和彦「一生かけて 考えます。 お約束します。」

比嘉家

優子「ただいま。 アイ 賢秀 暢子! 遅くなってごめんね。 お帰り!」

賢秀 暢子「ただいま。」

優子「アイエーナー みんながそろうの 何年ぶりかねぇ? 2人とも 元気そうで上等さぁ。 暢子 仕事はどんなねぇ?」

暢子「そんなことより お母ちゃんの話。」

優子「うちの話?」

賢秀「今日 売店で 善一さんと話した。 母ちゃん 再婚するのか?」

良子「何か うちらに 秘密がるの?」

優子「まさかやー 秘密とか…。」

暢子「今日 どこに行ってたわけ?」

歌子「今日だけじゃない。 これまでも年に何回か そういう日があったよね。」

暢子「お母ちゃん。 うちたちは もう 子供じゃないんだよ。 本当のこと ちゃんと話してちょうだい。」

沖縄料理店・あまゆ

(戸が開く音)

田良島「お休み… ですか?」

トミ「田良島さん。」

田良島「ここで 飲みたいなぁと思って 来たんですけど また出直します。」

三郎「つきあってくださいよ。 いいだろ 順次。」

順次「いやいや もうもう どうぞどうぞ。 どうぞ。」

田良島「本当ですか。 それは ありがたい。」

多江「お酒 すぐに。」

レストラン・フォンターナ

オーナー室

二ツ橋「暢子さんは 今頃 沖縄で どうしてますかね。」

房子「沖縄は 今日は ウークイなの。 こっちで言う お盆の送り火。 死者の霊を あの世へ送る日。 空襲で死んだ妹…。 ちょっとだけ似てるの。」

二ツ橋「暢子さんに?」

房子「あの子が この店に来てから いろんなことが 動き出した気がする。」

比嘉家

優子「今日は ウークイだし…。 もう 話してもいいよね。 いつか みんなに話さないとねって。 それが たった一つの親の仕事だって 話していたよねぇ…。」

優子「長い話になるけど 聞いてくれるねぇ? お父ちゃんとお母ちゃんの 昔の話…。」

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