【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】78話のネタバレです。
あらすじ
暢子(黒島結菜)は、和彦(宮沢氷魚)との結婚に反対する、和彦の母・重子を翻意させるために、「美味(おい)しいものを作って食べてもらう」と宣言。ようやく、重子にあまゆに来てもらい、料理をごちそうする手はずを整える。一方で和彦は和彦なりに、頑(かたく)なな母と向き合おうと努力をして…。そのころ、やんばるでは暢子に失恋した智(前田公輝)が久しぶりに歌子(上白石萌歌)を訪ねてきた。
78話ネタバレ
沖縄料理店・あまゆ
和彦「どうしたの? こんなに早く。」
暢子「あっ おはよう。 出勤前に 重子さんにお弁当を。」
和彦「お弁当?」
暢子「うん。 本当は お店に来て 食べてもらいたいけど まずは 毎朝 お弁当を作って 届けることにした。」
和彦「毎朝!?」
暢子「うん。」
和彦「暢子 そこまでしなくても…。」
暢子「言ったさぁ。 うちは 絶対 諦めない。 まくとぅそーけー なんくるないさー!」
青柳家
玄関
波子「あっ…。」
暢子「おはようございます。 和彦君のお母さん いらっしゃいますか?」
波子「奥様は ご朝食に お出かけでございます。」
暢子「アイヤー 会合か何かですか?」
波子「いいえ。 ご朝食は いつも決まったお店で お一人で。」
暢子「朝から外食ですか? そしたら これを渡してください。 うちが作ったお弁当です。 波子さんの分もありますよ。」
波子「いえ これは…。」
暢子「絶対に おいしいと思います!」
波子「受け取れないんです。」
暢子「よろしくお願いします。」
波子「受け取れないんです。」
暢子「お願いします。」
波子「あっ…。」
ダイニング
波子「ふぅ~…。 まあ すてき!」
波子「うんめえ!」
喫茶・サーカス
(ドアが開く音)
マスター「いらっしゃいませ。」
重子「和彦。」
和彦「コーヒー お願いします。」
マスター「かしこまりました。」
和彦「今度 鶴見に来てくれないか。 まずは 僕が 今 どんなふうに暮らしてるか 母さんに 知ってもらいたい。 暢子も 同じ下宿に住んでる。 沖縄料理屋の2階なんだ。」
重子「あのお嬢さんにも 沖縄にも 興味ありません。」
和彦「あの時 父さんと 一緒に 沖縄に行っていなかったら 今の僕は 全く別の生き方をしていたと思う。」
重子「どういう意味?」
和彦「沖縄で 暢子たちに出会って 東京では 味わえなかった生活を 全然 違う生き方を知ることができた。 それまで知らなかった父さんの姿も 知ることができた。」
和彦「僕は 沖縄で 何度も 海を眺める父さんの背中を見た。 2人で いつまでも海を眺めて 大きな強い自然の姿に 何度も感動した。 父さんと過ごした沖縄は 僕にとって特別な場所。 だから 母さんにも もっと知って…」
重子「あなたは お父さんとの思い出を 美化しているだけ。」
和彦「母さんだって 父さんとの間に 美しい思い出もあるでしょ? 愛情を感じた時期も きっと…。」
重子「愛情なんてなかった。 最初から 最後まで。 あの人は 私のことを 世間知らずな女だと見下していた。」
重子「ろくに電車にも乗れず 物の値段も知らず 家事もできない女だと バカにしてた。 学問に夢中になると ほかのものが見えなくなって 家のことも 私のことも後回し。 沖縄の研究ばかりに熱を上げて…。」
和彦「そんなに 父さんのことを 悪く言わないでくれ。 その詩集は 父さんから もらったものでしょ?」
重子「どうだったかしら。」
重子「砂川 智っていう青年と あのお嬢さんを 奪い合ったんですって? 同じ村の出身で 幼なじみなら釣り合う。 あなたと あのお嬢さんでは 住む世界が違うの。」
和彦「家の格や 釣り合いだけが 全てなの?」
重子「一時の気まぐれで 人生を棒に振るの?」
和彦「母さんと向き合って 話し合うために来た。 だけど…。 暢子は 諦めないって言ってる。 僕も 諦めない。」
和彦「母さんと もっと話したいし 母さんに 暢子のことを 好きなってもらいたい。 鶴見には 必ず来てほしい。 日曜の夕方 暢子が ごちそうを作って待ってる。」
(ドアの開閉音)
比嘉家
♬~(三線)
歌子♬『てぃんさぐぬ花や 爪先に染みてぃ』
(三線の音)
歌子「智ニーニー!」
智「歌子。」
歌子「アハッ ハハッ…。」
歌子「東京の商売も順調で やんばるの家族も みんな元気なら 上等さぁねぇ。」
智「うん…。 聞いてるか 暢子とのこと。 和彦と 結婚するんだよな?」
歌子「うん…。」
智「完璧に 振られた~。 みっともなくて しばらく 誰にも会いたくなかった。 でも 何でか 歌子には ちゃんと 自分から言いたいなって思って。」
智「あれから ずっと考えてる。 何で 俺じゃなかったのか。 俺の どこが駄目だったのかな~って。 …って 一番惨めな気持ちを言ったら スッキリした! 歌子のおかげヤサ!」
歌子「うちは いつでも 智ニーニーの味方だから。」
智「ありがとう。」
歌子「うん。」
智「歌子 最近 体調は?」
歌子「ハハッ 相変わらず。 実は 沖縄民謡を習い始めて。」
智「今 練習してたやつか? 結構 いい線いってたヤセー。」
歌子「一人の時は いいんだけど 人前に出たら うまく歌えなくて。」
智「大丈夫! 上手に歌えるようになるよ。」
歌子「フフッ…。 ねえ 一緒に売店に行かない? お母ちゃんも 会いたがってたから。」
智「いや だけど…。」
歌子「行こう!」
智「ちょっ 歌子… 待てって…。」
山原村共同売店
智「歌子 やっぱり…。」
歌子「ほら 智ニーニー 行くよ!」
善一「智! ハイサイ! 帰ってたのか。」
智「ハイサイ。 おばさん あの…。」
優子「お帰り。 会えて うれしいさ。」
智「すいません 必ず幸せにするとか 大口たたいておきながら…。」
優子「うちは 智のことが心配だったさぁ。」
智「俺のこと? 俺は 大丈夫ですよ。」
優子「うちたちと会うのは 嫌じゃない?」
智「まさか。」
優子「本当? 無理してない?」
智「本当です。」
優子「なら 上等。 もし 嫌でなかったら やんばるに帰ってきたら 必ず 顔を出さないと。 うちたちは みんな 智の顔 見られれば それだけで うれしいんだから。」
智「おばさんには かなわんヤッサー…。」
新垣「アイ 智? お帰り!」
安室「アイ! あっ…。 デージ男前になって!」
智「おばぁたちも 相変わらず チュラカーギーやんやー!」
新垣「アイヤー 口も上手になってから これね!」
優子「東京に行って 更に 格好よくなったよね。」
安室「ハンサムヤッサー。 ハンサムヤッサー」
智「ちょっと…!」
青柳家
暢子「おはようございます。」
波子「困ります 毎日毎日。」
暢子「今日のは 特に自信作です! あっ 昨日のお弁当箱 受け取ります。」
波子「私も 一応 女ですから 体重も気になりますし。」
暢子「えっ? そんなに太りやすいお弁当では…。」
波子「太るでしょ? 毎日 2人分食べてたら。」
暢子「まさかやー。 波子さんが 2人分?」
波子「言ったでしょ。 奥様は 一切召し上がりせん。」
暢子「だけど 鶴見には来てくれますよね?」
波子「鶴見?」
暢子「和彦君から 話があったと思うんですけど 夕方 腕に よりをかけた料理を作って 待っていますと 伝えてください。」
沖縄料理店・あまゆ
三郎「大丈夫かい? もう そろそろじゃねえのか?」
暢子「はい。」
三郎「アイヤー デージうまそうヤッサー。」
暢子「こっちは 柑橘を使ったラフテー。」
暢子「こっちは クーブイリチー。」
暢子「てびちは ゆうべから煮込んでおきました。」
暢子「シブインブシーは 東京の人の口にも合うように みそだけじゃなくて しょうゆも使ってみました。」
トミ「これなら 絶対 喜んでくれる。」
暢子「だと いいんですけど…。 でも 本当に来てくれるかねぇ。 しりしりよし てんぷらーよし。 あとは…。」
三郎「和彦君が 途中まで迎えに行ってんだな。」
暢子「はい。」
トミ「暢子ちゃん 着替えなくていいの?」
暢子「アイヤー そうだった。」
(笑い声)
三郎「おい 順次。 何だ その恰好は。」
順次「いや 精いっぱいのおもてなしのつもりで。」
三郎「駄目だ そりゃ おめえ。 ちんどん屋か 七五三にしか見えねえよ。 着替えてこい。」
順次「だけど こんな時 どんな格好したら…。」
三郎「普通でいいんだよ 普通で。」
トミ「もう うちが見てあげる。 早く 早く。」
あまゆ2階・ゴーヤー
暢子「う~ん こっちかねぇ。 それとも こっち?」
(物音)
暢子「ん?」
(物音)
暢子「何? 嫌な予感がする…。」