ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」79話「御三味(うさんみ)に愛を込めて」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】79話のネタバレです。

あらすじ

暢子(黒島結菜)は和彦(宮沢氷魚)との結婚に反対する和彦の母・重子を翻意させるために、あまゆに来てもらい美味(おい)しい料理でもてなそうとする。だが、当日、事情を知らない賢秀(竜星涼)がその場に現れて、重子と鉢合わせした上に、大混乱を招いてしまう…。それでもめげない暢子は、諦めそうになる和彦に、あることを提案する。

79話ネタバレ

沖縄料理店・あまゆ
店内

ラジオ・実況『イチバンボシボーイが仕掛けていく。 イチバンボシボーイが 上がっていった』…。

暢子「ニーニー!? あっ 駄目! それは食べたら駄目!」

賢秀「静かにしれ!」

ラジオ・実況『イチバンボシボーイ イチバンボシボーイが 今 2番手に上がってくる』。

賢秀「行け 行け イチバンボシボーイ!」

ラジオ・実況『おお ここで イチバンボシボーイが上がってくる!』。

三郎「おい!」

暢子「駄目! それは食べないで!」

賢秀「(叫び声)このレースに 俺のプライドと 兄貴としての存在価値が 全てかかってるわけよ! 差せ~! イチバンボシボーイ!」

(戸が開く音)

賢秀「差せ! 差せ 差せ 差せ 差せ 差せ 差せ 差せ 差せ~!」

和彦「賢秀?」

賢秀「イチバンボシ~!」

ラジオ・実況『ビッグチャイルドが 勝ちました~!』。

賢秀「あ~!」

暢子「あっ… めんそーれ! ようこそ。」

賢秀「何でかねぇ…。」

(テーブルをたたく音)

賢秀「酒! 酒 下さい! 暢子! 酒!」

暢子「あっ… うちの兄です。」

賢秀「何見てるか おばさん。 シッシッ。」

暢子「ニーニー! 和彦君のお母さん!」

賢秀「初めまして 暢子の父親代わりの兄 比嘉賢秀です。」

重子「言ったでしょう? 住む世界が違う。」

暢子「あの これはですね…。」

重子「ごきげんよう。」

和彦「母さん!」

和彦「はぁ…。 とにかく 住む世界が違うの 一点張りで。 母さんには また ちゃんと説明して 誤解を解いておくから。」

暢子「誤解じゃない ありのままのニーニーを見られただけ。」

三郎「よりによって こんな時に。」

順次「間が悪すぎる。」

賢秀「だからよ。 しょうがないさぁ。 何も知らんかったのに。」

和彦「しかも 何で競馬?」

三郎「博打で 妹のご祝儀 稼ごうとするバカ どこにいるよ。」

賢秀「バカは バカにりに 妹のために 何かしてやりたかった。 新しい門出を 祝ってやりたいと考えたわけ! 分かったよ。 もう二度と 暢子には近づかん。 結婚式も 欠席する!」

玄関前

暢子「ニーニー 行くわけ?」

賢秀「暢子 バカなニーニーでごめんな。 だけど 少しは 俺の気持ちも分かってちょうだい。」

暢子「分かってるよ。 よ~く分かっている。 その気持ちだけで うれしいさ。」

賢秀「ごめんな。」

暢子「千葉で 牛飼いの仕事してるって 本当ね?」

賢秀「牛飼いは違ってる。」

暢子「じゃあ どこで何をしているの? 寝る場所は あるわけ?」

賢秀「心配するな。 暢子…。」

暢子「ん?」

賢秀「暢子は 幸せになれよ。 じゃあな。」

暢子「待って。 お金 ないんでしょう?」

賢秀「いつか 倍にして返すから。 はぁ~…。 また良子に ガミガミー 言われるはずな。 はぁ…。」

石川家

回想

小太郎「石川家では 女が 行事の際の 御三味料理を作るのが しきたり。」

修「御三味料理も作れない女に 本家の嫁は 務まらん!」

回想終了

青柳家

波子「昨日は 大変だったそうですね。」

暢子「あの 和彦君のお母さんに 伝えてください。『今度 うちが働いてるレストランに 来てください』って。 あっ 今日のお弁当です。」

波子「受け取れません。 私 2キロも肥えたんですよ?」

暢子「今日は 沖縄のクーブイリチー。」

波子「クーブ…?」

暢子「昆布は 太らないし お肌も ツルツルになりますよ。」

波子「本当に? 私でも?」

暢子「多分… 本当です。 ありがとうございます。」

喫茶・サーカス

マスター「いらっしゃいませ。」

和彦「昨日は ごめんなさい。」

重子「座ったら?」

重子「今回のことで よく分かったでしょ? 今は 違うと思っても 結局 母さんの言うとおりにして よかったと思う日が来る。 ずっと仕事を続けたい女性と結婚して 幸せになれる? 家事や育児は 誰がやるの? 仕事と両立するわけがない。 あなたは だまされてる。」

和彦「僕は 母さんみたいな奥さんが 欲しいわけじゃない。 むしろ そんな女性は嫌だ。 暢子には 夢があり やりがいのある仕事もしてる。 僕は 暢子の生き方を肯定してるし 結婚しても そのままの暢子で いてもらいたい。 暢子の人生は キラキラ輝いていて いつも充実してる。」

重子「私の人生は つまらないのね。」

和彦「そういうことを言ってるわけじゃ…。」

重子「母さんの人生は 否定するのね。」

(ドアが閉まる音)

東洋新聞
学芸部

和彦「ちゃんと 謝るつもりだったんだけど もういいよ。 あの人の言葉を借りれば 住む世界が違うんだ。」

暢子「『あの人』とか 言わないで。 手紙を書いたら? 手紙なら 伝えられるかもしれないさぁ。」

和彦「僕らの子供の頃の文通とは…。」

暢子「諦めないで。 お願い。」

和彦「暢子…。」

暢子「うまく言えないけど 和彦君が諦めたら 和彦君のお母さんも悲しいんだはず。 だって うちたちは 同じ世界に住んでるんだのに。」

青柳家

(ノック)

(ドアが開く音)

波子「奥様 お着換え お風呂場に置いておきました。 では 本日は これで。」

重子「ご苦労さま。 波子さん。」

波子「はい。」

重子「和彦は いい子だった?」

波子「もちろんでございます。 とても物分かりのよい お行儀のよい坊ちゃまでした。」

重子「愛情をかけて世話をして 自分の命よりも 大切だと思いながら尽くしても 大人になると コロッと忘れられて。 あの子が 子供を持ったら どんな親になるかしら。 親になって 初めて分かる 親にならなきゃ 分からないことが たくさんあるのに。 母親なんて… むなしい人生ね。」

波子「そんなこと おっしゃらないでください。 私の人生は 奥様や お坊ちゃまのおそばに いさせていただいたおかげで とても楽しく 充実したものになりました。 失礼いたします。」

重子「ありがとう。 ご苦労さま。 波子さん!」

波子「はい。」

重子「ごめんなさい。 どうかしていました。」

(ドアの開閉音)

重子「それよかなしきわが心 いはれもなくて拳する 誰をか責むることかある? せつなきことのかぎりなり。 『修羅街輓歌』」

東洋新聞
学芸部

和彦「僕はなんでも思ひ出します 僕はなんでも思ひ出します でも、わけても思ひ出すことは わけても思ひ出すことは……『別離』」

青柳家

重子「母親はひと晩ぢう、子守唄をうたふ 母親はひと晩ぢう、子守唄をうたふ 然しその声は、どうなるのだらう?』」

沖縄料理店・あまゆ

重子「たしかにその声は、海越えてゆくだらう? 暗い海を、船ももゐる夜の海を そして、その声を聴届けるのは誰だろう?『子守唄よ』」

暢子「う~ん おいしい! マーサン!」

青柳家

重子「和彦は 渡さない…。」

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