ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」82話「あのとき食べたラフテーの」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】82話のネタバレです。

あらすじ

暢子(黒島結菜)が勤めるレストラン、フォンターナから、何者かが現金や権利書を持ち去った。動揺するスタッフたちを房子(原田美枝子)が静める。だがやがて、権田(利重剛)という男がフォンターナの権利書を持って現れて…。そんな中、暢子は和彦(宮沢氷魚)の母・重子(鈴木保奈美)に、自分たちの結婚に賛成してもらうためフォンターナに招待するが…。

82話ネタバレ

レストラン・フォンターナ

ホール

二ツ橋「フォンターナの権利書…。」

房子「それで? 私たちにどうしろと?」

権田「これを 買い取っていただきたい。」

房子「買い取る?」

権田「1,000万で買い取ってください。」

房子「お断りします。」

子分「何?」

権田「いいんですか? 私ら ほかの誰かにこれを。」

房子「私の実印は 銀行の貸金庫にあります。 実印も 印鑑証明書もなく どうするんですか?」

権田「さすがは 天下のフォンターナのオーナーだ。 では ビジネスの話をしましょうか。 この店に うちで扱っている絵画と 観葉植物を 置いていただきたい。」

二ツ橋「つまり みかじめ料を払えと。」

権田「月々 たった何万円かで 今までどおり 営業できる。」

房子「お断りします。 うちは そのような取り引きは 一切いたしません。」

権田「あんた 誰にケンカ売ってんのか 分かったんのか?」

房子「書類は いずれ取り戻します。 私は あなたたちのような方々と おつきあいするつもりはありません。 お引き取りください。」

権田「いい面構えだ。 だが 若ぇ衆の前で メンツ潰されちゃ 俺も 黙ってるわけには いかないんでね。 とことん おつきあいさせていただっきますよ。 気が変わったら 連絡してください。」

(ドアベル)

江川「ああ…。 最悪だ… 俺 こういうの駄目 次の店 探さないと。」

長山「何 言ってんすか。 次 来たら ぶん殴ってやりますよ!」

山辺「いや 金で済むんなら さっさと 言うこと聞きましょうよ。」

江川「矢作もグルなんだぞ? 俺らのこと知ってんだぞ?」

長山「考えすぎ! 俺は やりますよ。 戦うんすよ」

山辺「何 バカ言ってんすか。 もう 金 払いましょうよ! 金!」

長山「何で払うんだよ。」

暢子「あっ ちょっと…。 皆さん!」

(手をたたく音)

房子「不愉快なものを見せてしまったことは 謝ります。 ごめんなさい。 でも 大丈夫。 この先 どんなことになろうとも 皆さんのことも 必ず守る。 必ずです。 私が これまで 皆さんを裏切ったことがありますか?」

二ツ橋「いや 一度も ありません!」

房子「何より この件は お客様には 一切関係ない。 皆さんも 気にせず 明日から いつもどおりに働いてください。」

スタッフたち「はい。」

暢子「はい!」

二ツ橋「よ~し 片づけして帰るぞ~! いつもどおり!」

暢子「はい!」

スタッフたち「はい!」

房子「明日は 青柳さんのお母様がいらっしゃるわね。」

暢子「はい。」

房子「ほかのお客様と変わらす いつもどおりの仕事でおもてなし。 それだけよ。」

暢子「はい!」

沖縄料理店・あまゆ

暢子「あのさ それでね!『お客様は 一切関係ない。 明日からも いつもどおり働いください』。 …って デージ格好よかったわけ! さすがオーナー。」

和彦「それは すばらしい。 だけど…。」

暢子「何?」

和彦「オーナーは 三郎さんとは 昔の知り合いなんだよね? 三郎さんは 信用できるはずなのに 何で 相談したがらないんだろう。」

暢子「あっ それは…。 オーナーと三郎さんは 結婚するはずだったわけ。 詳しいことは 分からないんだけど。」

和彦「まあ 何があったとしても 今は 三郎さんは 多江さんと 仲よく暮らしてるし…。」

暢子「うん。 であるね。」

和彦「うん。 詮索するのは 失礼になってしまうけど 三郎さんとオーナーは 何で 結婚できなかったんだろうね?」

暢子「だからね…。」

平良家

三郎「おっ 暢子ちゃんの琉装か。」

多江「明日 フォンターナに いらっしゃるそうですよ。 和彦君のお母さん。 うまくいくといいですね。」

三郎「ああ…。 随分 苦戦してるらしいからな。」

多江「今は もう 親が決めた相手と 結婚しなきゃいけない時代でもないし どんなに反対されても 負けないでほしいって そう思ってます。」

三郎「そうだな…。」

レストラン・フォンターナ

(ドアベル)

ホール

山辺「いらっしゃいませ。 ご案内いたします。 こちらのお席でございます。」

房子「いらっしゃいませ。 お待ちしておりました。」

暢子「いらっしゃいませ。」

重子「ごきげんよう。 すてきなお店ですね。」

房子「ありがとうございます。」

暢子「失礼します。」

暢子「お待たせいたしました。 ペペローネ リピエーノでございます。」

重子「頂きます。」

和彦「頂きます。」

房子「いかがですか。」

重子「おいしい。 店員の皆さんも きちんとしてらして 本当に すばらしいお店です。」

房子「恐れ入ります。」

重子「このお料理 あなたが?」

暢子「はい。」

房子「まだまだ 未熟なところはありますが 見どころのある料理人だと思ってます。」

重子「かわいがって 当然ですよね。 お身内なら。 大城房子さん。 最終学歴は 小学校中退。 10代の時から 屋台を引いてらっしゃったとか。 戦後は 闇市で ご商売なさって いろいろと ご苦労されたんですねってね。」

房子「はい。」

重子「沖縄二世なのに ある時から 沖縄県人会とは絶縁されたんですってね。」

和彦「母さん。」

房子「そのとおりです。 いろんなことがありました。 今の法律や常識では 考えられないようなことも。」

重子「たくましいですね。 そんな過去とは縁を切って こんなに すてきなお店を…。」

房子「いいえ。 過去とは 縁を切れません。」

重子「そうなんですか?」

房子「過去も未来も含めて 私の人生。 だから 昔のことを 隠すつもりも 恥じることもありません。 どうぞ 気の済むまで お調べになってください。 でも 今は この子が作った料理を ごゆっくり楽しんでいただけると。」

重子「お手並み拝見ね。 さぞかし 特別に作られたんでしょうね。」

暢子「いつもどおりです。 オーナーに言われました。 いつもどおりの自分を信じろと。 18の時に 料理人になりたくて やんばるから出てきました。 村には 外食できるお店は 一軒もなくて 沖縄では レストランに行ったことは 一度しかありませんでした。」

暢子「フォンターナに来てから 一日も欠かさず 料理だけはしてきました。 その自分を信じなさいと。 亡くなった父が 言っていたんです。 大好きな人と おいしいものを食べると 世界中の誰でも 笑顔になるって。 お客様の笑顔のために作った いつもどおりのフォンターナの料理です。 ごゆっくり お召し上がりください。 失礼します。」

(ドアが開く音)

客「おいコラ! どうしてくれんだよ。」

山辺「えっ?」

客「どうなってんだ この店は? なんとか言え コラ!」

二ツ橋「お客様 どうされました?」

客「クギだよ クギ。 トイレの壁から このクギが 引っ掛けて敗れちまった。 弁償だ 弁償! オーナー呼べ。 オーナー!」

二ツ橋「恐れ入ります 当店のトイレの壁にはクギなど…。」

客「おい コラ。 連れがウソついてるって言いてえのか? 皆さん この店は 客を ウソつき呼ばわりする最低の店ですよ!」

客「とんでもない店ですね!」

(騒ぎ声)

房子「私が この店のオーナーでございます。 お客様 おケガはございませんか?」

客「これ見ろよ これ。 どうしてくれるんだよ。」

房子「後日 御召し物の修理代を お送りいたしますので ご住所と ご連絡先を 伺わせてください。」

客「仲間連れて戻ってくるからよ 首洗って待ってろよ。」

(ドアベル)

二ツ橋「お客様… お待ちください。 お客様。」

「お会計 お願いします。」

二ツ橋「その まだ…。」

房子「皆様 お騒がせして 申し訳ございません。」

暢子「申し訳ございません。 申し訳ございません。」

房子「本日のいお代は 結構でございます。 申し訳ございません。 お騒がせいたしました。」

和彦「母さん ちょっと…。 申し訳ございません。」

暢子「申し訳ございません。 あっ でも まだ料理が…。」

重子「『類は友を呼ぶ』。 品のないお店は 品のないお客が出入りするの。」

和彦「ごめん。」

二ツ橋「申し訳ございません…。」

房子「申し訳ございませんでした。」

和彦「すいません…。」

房子「申し訳ございません。」

和彦「母さん!」

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