ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」84話「あのとき食べたラフテーの」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】84話のネタバレです。

あらすじ

フォンターナが危機に陥る中、暢子(黒島結菜)は、房子(原田美枝子)に、ずっと気になっていた、房子が三郎(片岡鶴太郎)と結婚しなかった理由を尋ねる。一方、鶴見のあまゆでも、和彦(宮沢氷魚)が三郎に同じことを聞いていて…。房子と三郎の、語られなかった過去が、暢子と和彦に話されることに…。そんな中、暢子を訪ねて鶴見にやってきたのは、意外な人物だった。

84話ネタバレ

沖縄料理店・あまゆ

順次「あっ お帰り。」

和彦「三郎さんは?」

順次「中にいるけど。」

三郎「どうした? おっかえねえ顔して。」

和彦「ぶしつけなことを伺います。 三郎さんは どうしてオーナーと…。 房子さんと 結婚なさらなかったんですか?」

三郎「記者として聞いてんのかい?」

和彦「違います。 僕が 愛する女性を 幸せにするために 一つ 相談事があるんです。 でも その相談をするためには どうして 三郎さんが 房子さんと結婚なさらなかったのかを 知る必要があるんです。」

三郎「全然 分からねえ。 でも 本気なんだな。」

和彦「はい。」

三郎「座んなよ。」

三郎「俺の親父は 沖縄から出てきて 仲間と会社を起こした。 仕事の 世話したり アパート 借りられないやつの 保証人になったり。 沖縄出身の 父親代わみたいなもんだった。 そのくせ 俺には 沖縄の言葉を 一切使わせず いい学校に通わせた。 つまり 俺は お坊ちゃんだった。 それが 嫌で嫌で 若い頃は ケンカ三昧だった。」

レストラン・フォンターナ

房子「両親は 山原村から働きに来て 私は 鶴見で生まれた。 やんばるに残してきた姉が 賢三の あなたのお父さんの母親。 姉は 私とは 一度も会わないまま 亡くなってしまった。」

房子「母は病気で 父は工場の事故で 早くに亡くなった。 妹は 鶴見の知り合いに 預けられ 私は 日本料理屋で 住み込みの下働き。 必死で修業して 何年かして ようやく 鶴見で小さい屋台を持って 妹を引き取れた。 全部 戦争前の話。 そのころにね…。」

回想

愚連隊「飲め飲め ほら。」

房子「すいません どうぞ。」

愚連隊「料理上手な 姉ちゃん こっちで 一緒に飲め。」

房子「すみません そういう店じゃないので。」

愚連隊「何だよ いいじゃねえか ほら 遠慮すんなって。 ほら。」

房子「ちょっ・・・ 嫌です!」

愚連隊「気が強いな。 いいだろ ちょっとぐらい。 なっ。」

房子「ちょっと やめて…。」

三郎「うまそうなラフテー あるじゃねえか。」

愚連隊「何だ てめえ! うっ…。」

愚連隊「おい!」

愚連隊「何だ てめえ この野郎!」

愚連隊「やっちまえ!」

房子「キャッ…。」

愚連隊「この野郎! あっ… えっ…。」

三郎「いてっ…。」

房子「ごめんなさい…。」

三郎「俺は 平良三郎。」

房子「房子です。 大城房子。」

三郎『初めて会ったのは そん時だ。』

三郎「うまい。」

沖縄料理店・あまゆ

三郎「一目ぼれだった。」

レストラン・フォンターナ

房子「相手は 実業家の御曹司。 釣り合うわけがない。 それなのに…。 フッ ほれちゃった。 周りは 大反対。『お互いに不幸になる』って 言われ続けて…。 だんだん 私と一緒になったら あの人は 本当に 不幸になるんじゃないかって。」

沖縄料理店・あまゆ

三郎「俺は どうしても ほれた女と 一緒になりてえと思った。 だけど 来る日も来る日も みんなに『お前は だまされてる』『住む世界が違う』って言われて…。』で 強引に見合いさせられて。 相手は 県人会の中でも 家柄のいいお嬢さんだった。」

レストラン・フォンターナ

暢子「そのお見合いの相手が 多江さんだったんですね。」

沖縄料理店・あまゆ

三郎「俺が くよくよしてるうちに 房子は 俺の親戚に手切れ金 渡され 姿を消した。 捜さなかった。 俺は あの人を捨てた 意気地なしなんだよ。」

レストラン・フォンターナ

房子「私は あの人を捨てた。 手切れ金を持って 県人会を飛び出して 念願の料理屋を構えた。 あの人は 多江さんと祝言を挙げた。 それから しばらくして…。」

回想

(鐘の音)

「平良三郎君の武運長久を願って 万歳!」

一同「万歳! 万歳! 万歳! 万歳! 万歳!」

(拍手)

三郎「行ってくる。」

多江「はい。」

三郎「家のことは 頼んだよ。」

多江「はい。」

回想終了

沖縄料理店・あまゆ

三郎「俺が シベリアから帰ってくるまで 多江は たった一人で 家業を守り 県人会や 親戚の面倒まで見てくれてた。 今の俺があるのは 全部 多江のおかげ。 昔も今も 最高の女房だよ。」

和彦「その後 房子さんとは…。」

三郎「銀座で レストランやってるって うわさは聞いてた。 俺のこたぁ 憎んでんだろう。 合わす顔ねえよ。 償いのつもりで あの人が 幸せでありますようにって願かけて 大好きだった酒を断った。」

和彦「それで ずっとお茶を…。」

レストラン・フォンターナ

房子「あの人は 私を憎んでるはず。 今更 合せる顔もないし 多江さんとあの人に 迷惑をかけたくない。」

暢子「だけど このままじゃ…。」

房子「この話は これで終わり。 今日 電話をしたの。」

暢子「ん?」

房子「明日の昼 権田さんが来ます。」

暢子「えっ 待ってください…。 オーナー 明日は みんなに休めって。 えっ 一人で会うんですか? そんなの駄目です! うちも来ます。」

房子「別に あなたがいてくれなくても…。」

暢子「何もできなくても います! いさせてください。」

あまゆ・2階

暢子「三郎さんが そんなこと言ってたわけね。」

和彦「うん。」

暢子「2人とも 同じようなこと…。」

和彦「思いは 擦れ違ったまま。 お互いに 憎まれてると 思い込んでるってことか。 はぁ…。」

沖縄料理店・あまゆ

順次「(鼻歌)」

(戸の開閉音)

暢子「行ってきます。」

多江「暢子ちゃん。」

暢子「おお 多江さん。」

多江「披露宴の衣装の件で 時間ある?」

暢子「アキサミヨー。 ごめんなさい。 これから ちょっと…。」

多江「あら…。」

トミ「暢子ちゃん 今月分の家賃なんだけど…。」

暢子「アキサミヨー。 今 持ってきますね。」

順次「えっ…? アイヤー。 このクーブイリチー もう 痛んでしまってるかな。」

トミ「え~?」

多江「あっ さすがに無理だと思う。 もう 諦めるしかないわね。」

(戸が開く音)

良子「どうして諦めるんですか! 私 比嘉暢子の姉の 石川良子です。 暢子が いつもお世話になっています。」

順次「アイヤー 暢子ちゃんのネーネー?」

良子「おばさん!」

多江「は…はい。」

良子「どうして すぐに警察に届けないんですか?」

多江「警察?」

良子「毎日 嫌がらせをされて このままでは お店を潰されてしましますよ。」

暢子「あ~! ネーネー! その話は駄目! やめて!」

良子「放して! 連帯するの! 弱い者同士でも スクラムを組めば…。」

暢子「駄目! 駄目ってば!」

良子「権利書を取られた相手に お店の前に ゴミを捨てられたり イタズラ電話とか 受けてるんですよね?」

暢子「違う!」

良子「私は 知ってるんです!」

多江「はあ?」

良子「おばさん。」

多江「はい…。」

良子「泣き寝入りしては いけない。 大きな力に 屈してはいけない! オーナーとして 正々堂々 出るとこに出て 戦うべきです!」

多江「オーナー?」

暢子「ストップ! そこまで! ネーネー。 多江さんは オーナーじゃない!」

良子「はっ?」

暢子「県人会長の奥さん 多江さん。」

良子「オーナーは 県人会長の奥さん…?」

暢子「違う 違う 全然違う!」

良子「じゃあ どのおばさん?」

暢子「銀座のフォンターナのおばさん! こっちは 鶴見の県人会長の奥さんの多江さん! 悪い人に嫌がらせを受けて お店が 潰れそうなほど デージ困ってるのは 銀座のフォンターナの 房子さん!」

一同「…。」

暢子「は~!」

多江「嫌がらせをせれてるって フォンターナのこと?」

暢子「うちは 何も言ってません。」

順次「言ったよ。」

トミ「言ったよね。」

順次「うん。」

暢子「言ってません! あ~! 時間がない! 行かないと! あ~! 家賃 置いておきますね。」

良子「暢子 どこ行くの?」

暢子「行ってきます!」

多江「今の話 もう少し詳しく教えてくださる?」

レストラン・フォンターナ

(ドアベル)

子分「オーナー 呼んでくれ。」

暢子「あれ 権田さんは…?」

子分「社長は 後からいらっしゃる。」

暢子「オーナーは 今 銀行に。」

子分「やっと 言うとおりに 権利書 買い戻す気になったか。 ちょっくら 待たせてもらうぜ。」

(ドアベル)

暢子「シェフ!」

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