ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」92話「愛と旅立ちのモーウイ」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」92話のネタバレです。

あらすじ

暢子(黒島結菜)は、独立に向けて動きだすが、資金繰りや物件など決めなければいけないことが山積みで頭を悩ませていた。そんな中、賢秀(竜星涼)は、昔から縁のある我那覇(田久保宗稔)とまたばったり会って…。一方、沖縄では良子が野菜の好き嫌いをする娘・晴海に手を焼いていた。良子は学校で給食主任を任され、子どもたちの野菜嫌いを直そうと奮闘をはじめる。

92話ネタバレ

沖縄料理店・あまゆ

坂田「鶴見北西信用金庫の 坂田です。事業計画書の方 拝見させていただきました。」

暢子「どうでしたか?」

坂田「こちらに書かれてる経費 設備費や内装費 そして 運転資金の見積もり 少しずつ甘いと思います。 ある程度 余裕を持って 開店するためには 融資申込額1割から2割増しを 考え直された方がいいかと。」

暢子「はい。」

坂田「何より 物件を決めていただかないと 経費全体のめどが立ちません。 まずは 店舗物件の確定を 急がれた方がいいと。」

暢子「分かりました。 なるべく早く決めます。」

坂田「よろしければ うちでも ご紹介できますので 必要あれば おっしゃっていただ… しまった! あっ 次の約束が。 本日は これで。 ああ あっ あっ…。 全部忘れた。」

暢子「あっ あっ よろしくお願いします。」

坂田「こちらこそです。 どうも。」

和彦「ありがとうございました。」

(戸が開く音)

坂田「どうも。」

(戸が閉まる音)

順次「あの担当さんで 大丈夫かね?」

三郎「まあ 悪いやつじゃねえから 心配するなよ。」

暢子「考えが甘かったかね…。」

トミ「背負う借金が大きくなるのは ちょっと怖いよね。」

(戸が開く音)

賢秀「暢子 和彦! 結婚おめでとう!」

暢子「ニーニー!」

和彦「賢秀 どうしたの?」

賢秀「結婚祝を持ってきたに決まってるさ!」

暢子「えっ ニーニーが?」

賢秀「うん。 ほれ!」

暢子「いや いいよ ニーニー その気持ちだけで。」

賢秀「いいから いいから。 なっ。 遠慮すんな!」

順次「いくら入ってるわけ?」

三郎「何だ これ。」

暢子「『引換券』?」

三郎「こういうことか。」

賢秀「こういうこと?」

暢子「ああっ ニーニー どうもありがとう。 デージうれしいさ。」

和彦「助かるよ。 ありがとう 賢秀。 ねっ。」

賢秀「聞かないのか? 訳を。」

暢子「わけ?」

賢秀「その金券が入ってる訳。」

暢子「一体 どうして この御祝儀袋の中に 200万円の引換券が?」

賢秀「知りたいか?」

暢子「フフッ…。」

賢秀「しょうがないなあ。 じゃあ 教えてやるか! アメリカ製ビタミン剤 その名も ド~ン! ジャイアントビタミン スリーセブン! 驚くなよ。 アメリカでは もう 誰も 野菜や果物でビタミンをとらない。 なぜなら この『ジャイアントビタミン スリーセブン』があるからテー!」

三郎「つまり 賢秀は 今 このビタミン剤を売り歩くセールスマン。」

賢秀「ただのセールスマンじゃありません。 今の俺は ド~ン! エージェント代行!」

暢子「エージェント代行?」

賢秀「いいか? まず 入会金5万を払って会員になる。 そうすると ジャイアントビタミン スリーセブンを売ることができる。 新しい会員を5人勧誘したら…。 エージェント代行になれる。 エージェント代行には ヒラの会員が売った 売上金の3割が懐に入る。 更に 勧誘し その孫会員の売上の2割も懐に。 会員が増えれば増えるほど 大もうけ! システム フロム アメリカ。 どんなか? 分かったか?」

暢子「ごめん 全然。」

賢秀「山原高校卒業のお前には 少し難しいか。 お前には 特別にプレゼントする。」

暢子「えっ ああ…。」

賢秀「じゃあ 次のアポイントメントがあるから これで。」

暢子「あっ ああ… ニーニー。」

賢秀「あばよ!」

暢子「待って。 そんないい話が あるかねえ。」

石川家

良子「海外旅行?」

石川「今度の夏休み どう?」

良子「本当に? デージうれしい!」

晴海「やった~!」

良子「ねえ。 えっ やっぱりハワイかね?」

晴海「うん ハワイがいい。」

石川「アハハッ。」

良子「あっ だけど うち 今学期から給食主任になったし 仕事 大丈夫かな。」

石川「実際に 給食を作るのは調理員。 給食のおばさんたちだろ? 良子が そんなに根詰めなくても…。」

良子「主任を任せれた以上 そういうわけには。 うちの調理員には 安室のおばぁっていって 子供の頃から よく知ってるおばぁがいて。 この人が 頑固なわけよ…。」

石川「海外旅行 やめる?」

良子「海外旅行は 行きたい! ずっと そのために 質素倹約を心がけて いろんなこと我慢して 貯金してきたんだのに!」

石川「ありがとう。」

晴海「ごちそうさま。」

良子「あっ ちょっと待ちなさい。 晴海 また野菜残したの?」

晴海「嫌い。」

良子「駄目 ちゃんと食べなさい。 これ 高かったんだよ。 晴海!」

石川「まだ 好き嫌いがあって当然さ。」

良子「博夫さんは 晴海に甘すぎる。 野菜嫌いを直そうと いろいろ やってるんだのに。」

山原小中学校
教室

「ごちそうさまでした。」

一同「ごちそうさまでした。」

良子「ほら みんな 野菜も ちゃんと食べなきゃ 駄目じゃない。」

児童たち「は~い。」

山原小中学校は ほかの学校と離れているため 校内で調理員たちが給食を作っています。 献立は 栄養士が ほかの学校と 共通のものを送ってくる仕組みです。

給食室

良子「だから 何か工夫して 残飯率を下げなくてはいけないんです。 安室のおばぁ 聞いてますか?」

安室「言うのは簡単。 子供の好き嫌いは 簡単には直らない。」

良子「だから 今 栄養士さんと相談して 給食の献立を改善しようと…。」

安室「栄養士さんは いくつも学校を受け持っていて デージ忙しいわけ。 電話口では 何とでも言える。 アイ どいてどいて。 ちょっと…。 話は まだ…。」

「良子先生 妹さんからお電話です。」

職員室

良子「ねずみ講? それ つい最近 取り締まる法律が出来た マルチ商法のことでしょ? ニーニーが マルチ商法を始めたってこと?」

暢子「詳しいことは よく分からないけど。 とにかく ニーニーから連絡があっても 絶対に 入会しないでね。」

良子「分かった。 何よりも まず お母ちゃんにも言っておく。」

暢子「うん。」

比嘉家

良子「お母ちゃん。」

優子「あっ お帰り。」

歌子「お帰り。」

優子「ほら これ 賢秀が。 ジャイアントビタミン スリーセブンって。」

歌子「お母ちゃんが うちに相談もなく 会員になってしまって。」

良子「アキサミヨー お母ちゃん。 これは マルチ商法と言って…。」

優子「うちは ビタミン剤より 野菜を食べる方が好きだから 多分 これは開けないよ。 でも 賢秀が 一生懸命やってるんだのに 応援してあげたいさぁ。」

良子「これ以上は 絶対に駄目だからね! 分かった?」

優子「分かった 分かった。 あっ ごはん 食べていくでしょ?」

良子「晴海 また野菜残してる!」

晴海「おいしくない。」

良子「野菜食べないなら もう ごはんはなし! もう 何もあげないよ!」

優子「良子 何も そこまで言わんでも。」

良子「これは お母ちゃんには関係ないから 邪魔しないで!」

歌子「良子ネーネー 落ち着いて。」

良子「ごめんなさい。 ちょっと イライラしてて。 好き嫌いが多くて 困ってるさ。」

優子「晴海 しばらく うちで ごはん食べていく?」

晴海「いいけど 何で?」

優子「ちょっと 考えがあるさ。」

優子「うん。 フフ。」

晴海「おばぁ これ何?」

優子「これは 島らっきょう。 あっちは シマナーに ハンダマ。 畑とお話して 今日は 何がおいしいか 聞いてみようね。」

晴海「畑とお話?」

優子「これは モーウイ。 赤瓜とも言うわけ。」

優子「食べてみて。 はい。 ほら 野菜の声が聞こえる? 今日 晴海ちゃんが お水をあげたから 明日は もっとおいしくなるねって 言っているよ。」

東京・杉並 貸店舗

そのころ 暢子は…。

(鍵を開ける音)

坂田「よし。 どうぞ。 もともとは 魚屋をやられていた食堂で オーナーさんが ご高齢で店を畳まれて  状態は すごくいいんですよ。」

暢子「うん きれいですね。 それに 思ったより広い!」

和彦「うん。」

暢子「うん。」

坂田「2階は 住み込みの従業員のために 使っていたそうです。 行きましょう。」

2階

暢子「わあ… おおっ…。」

和彦「おおっ…。」

暢子「わ~! 広~い! こっちにも部屋がある。」

和彦「本当だ。」

坂田「ここまで ご覧いただいた物件の中では 一番かと。 ほかにも 内見予定の方がいるそうで 申し込まれる場合は できるだけ早めの方が。」

比嘉家

歌子「いい物件が見つかって よかったねえ。」

暢子「でも 家賃が ちょっと 予算オーバーなわけ。 もし失敗したら… 全財産なくして 借金だけが残ってしまう。 そう考えたら 決めるのが怖くなってしまって。 うちは 向いてないのかねぇ。」

歌子「大丈夫。 暢ネーネーは 昔から 食べ物屋さんをやる運命なわけよ。」

暢子「昔から?」

歌子「ヤング大会。 うちは 忘れないよ?」

回想

暢子「やんばるナポリタン 1丁!」

暢子「楽しい。 知らない人に食べてもらえるの デージうれしい!」

暢子「東京に行って 料理人になりたい。」

回想終了

暢子「ありがとう。」

歌子「何もしてあげられないけど 聞くことだけはできるから。 いつでも電話して。」

暢子「うん… またね。」

沖縄料理店・あまゆ

暢子「よし 決めた。」

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