ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「ちむどんどん」9話「別れの沖縄そば」

【 連続テレビ小説「ちむどんどん」】9話のネタバレです。

あらすじ

運動会が終わり、比嘉家の家族は史彦(戸次重幸)や和彦(田中奏生)たちと気持ちよく暮らしを再開したが、仕事が少ない地域事情もあり、母・優子(仲間由紀恵)ひとりだけでは一家の経済は先細い。暢子(稲垣来泉)たちが心配するなか、優子の体は疲労がたまってしまう。そこに、遠い親戚から一通の手紙が。その中身は、思ってもみなかった申し出であり、優子は大きな悩みを抱えることになってしまう。

9話ネタバレ

比嘉家

暢子「お母ちゃん… お母ちゃん! ニーニー!」

賢秀「お母ちゃん?」

暢子「お母ちゃん?」

良子「お母ちゃん。」

暢子「大丈夫? お母ちゃん。」

和恵「貧血って… 疲れがたまってるてことだよね? やっぱり 無理さぁねえ。 借金返しながら 一人で4人も育てるのは。」

賢吉「うちらは保証人だよ。 あんたが払えなければ 俺らも道連れになる。」

善一「優子さん こないだの手紙のことはまだ?」

和恵「手紙?」

賢吉「何の手紙?」

善一「この際 相談してみたら? うん?」

賢秀「(小声で)手紙?」

良子「シーッ。」

優子「すいません…。 言わないとと 思ってたんですけど。」

賢吉「誰からの手紙?」

善一「東京にいる 賢三さんの叔母にあたる人が 賢三さんが亡くなったと 人づてに聞いたみたいで。」

和恵「賢三の叔母?」

賢吉「ああ~ その人は気難しくてさ 金の亡者という うわささぁ。 親の代に 本土に移住して うちらは 会ったこともないし 親戚づきあいもしてないからね。」

和恵「何が書いてあったわけ?」

優子「子供を1人引き取り 面倒を見てもいいって…。」

賢吉「4人のうち誰かを 東京で 引き取ってもらえるっちゅうことか。 いい話じゃないか。 1人でも大助かりだろ。 東京で何不自由なく暮らせるのは 子供にとって 今より はるかに幸せさぁ。 あんたや 残った子供も楽になるし。」

優子「でも…。」

賢吉「優子さん よく考えれ。 借金は どうやって返す? もし 返せななくなったら 保証人の俺たちは どうなるか。」

山原小中学校

良子「こういう人 東京には たくさんいる?」

和彦「いや そうでもないかも。」

良子「でも 売ってるよね こういう服。」

和彦「うん。 まあ そうだね。」

良子「ありがとう。」

歌子「歌手に会ったことある?」

和彦「歌手?」

歌子「ザ・ピーナッツ。」

和彦「ないよ。」

歌子「坂本 九。」

和彦「テレビでは 毎日見るけど。」

歌子「毎日!?」

和彦「うん 歌の番組。」

歌子「すごい。 毎日? すご~い。 バイバイ!」

賢秀「聞きたいことがある。」

和彦「東京には 何でもある。 洋服 テレビでは毎日…。」

賢秀「そんな話 どうでもいいよ。」

和彦「東京の話じゃないの?」

賢秀「だからよ。 俺が聞きたいのは 東京の漫画本のことさぁ。」

青柳家

和彦「カレーライス?」

暢子「うん。」

和彦「そりゃ あるよ。」

暢子「ビーフシチュー!」

和彦「ある。」

暢子「ステーキ ハンバーグ あとは…。」

和彦「こないだのレストランにあったものは 全部ある。 東京では 世界中の食べ物が 食べられるんだから。」

史彦「チャンプルーや イカスミジューシーは 食べられないかもな。」

暢子「分かった。 ありがとう!」

史彦「東京の親戚から きょうだいのうち一人なら 引き取ってもいいと手紙が来たそうだ。」

和彦「一人だけ?」

史彦「東京に帰る時 一緒に連れてってほしいと 善一さんに頼まれた。」

比嘉家

賢秀「結論を発表する。 東京には 俺が行く。 理由は 長男だから。」

良子「うちが行く。 お母ちゃんは ニーニーが 一番かわいいから。」

暢子「うちが行く。 ニーニーとネーネーは すぐ働いて お金稼げるようになるさ。 だから お母ちゃんを助けられるでしょ?」

歌子「うちが行く。 すぐ熱出して お母ちゃんに迷惑かけるから。」

賢秀「何で 長男の決定に従わないわけ?」

良子「ニーニーは 東京の漫画が 読みたいだけでしょ?」

暢子「ネーネーは おしゃれしたいだけでしょ?」

良子「…なわけないさ。」

工事現場

優子「すみません。」

親方「ほかの仕事 探せ。」

優子「このままだと 子供を一人 手放すことになるんです…。」

親方「俺は 九つの時に 石垣島に働きに出された。 そんなやつ いくらでもいるよ。」

ポスト

和彦に出そうとした手紙をしまい込む暢子

暢子「『和彦君 うちは東京に行くかもしれません』。 行きたくないけど これ以上 お母ちゃんに 難儀させたくないし…。 だけど…。』」

山原小中学校

先生「はい 拍手!」

(拍手)

史彦「こんにちは。 中学3年の青柳和彦に父です。 東京の大学で 民俗学を教えながら 私自身も学んでいます。 その学問のために この村に しばらくお邪魔しています。 私は この村を とってもすてきな村だと思いました。」

生徒「え~?」

史彦「みんなが いつかは この村が生まれて育ったことを 誇りに思ってほしいと そう思っています。 今日は そんなお話しを みんなにしたいと思います。 民俗学とは みんなの思い出なんだと思います。」

史彦「この村には ここで暮らした人たちの 思い出があります。 ただ 思い出なんて お金にはならない。 思い出で経済は発展しません。 でも つらいことや 悲しいことがあった時 間違った道に進みそうになった時 子供の頃に この村の山や海で過ごした思い出 おいしいものを食べた思い出 家族や友達と笑い合った思い出が きっと みんなを 正しい道に導いてくれます。」

史彦「大好きな人と 離れ離れになった時も 心と心をつないでくれます。 それは この村に限りません。 沖縄の 日本の 世界中の どこの村でも どこの街でも 同じなんです。 そして 思い出は 必ず それぞれに違います。 その違いを知って お互いを尊重してください。 その先にだけ 幸せな未来が待ってると 私は そう思っています。」

史彦「みんな 一人一人に これから どんな未来が待ってるのか 誰にも分かりません。 不安なことも 不運なことも きっとあると思います。 でも どうか 人生を恐れないでください。 人生は 幸せになろうとする道のりです。 明日は今日よりも きっと幸せになれる。 その信念を持ち続ける勇気を 思い出が支えてくれると 私は そう信じています。」

比嘉家

賢秀「お帰り。」

優子「ただいま。」

良子 暢子 歌子「お帰り。」

優子「ただいま。」

賢吉「善吉さん。」

善吉「はい。 優子さん 本土に渡るためには 渡航証明書が要る。 証明書を発行してもらうには ある程度 時間もかかる。 だから…。」

賢吉「誰にするか決めなさい。 このままだったら 家族5人が共倒れで みんなが不幸になる。 賢秀!」

賢秀「はい。」

賢吉「お前は 体力もあるし 東京に行けば 働いて仕送りもできる。」

賢秀「だからよ。 でも 俺は 豚の世話もあるし…。」

和恵「良子。」

良子「うちは 学級委員で 生徒会の役員もやってるし…。」

賢吉「暢子!」

暢子「…」

和恵「歌子。」

歌子「…」

和恵「優子さん…。」

賢吉「みんなが幸せにあるために 1人が この家から離れる。 それだけのことさ。 決めなさい。」

暢子「うちが行く。」

暢子「うち 東京に行きたい!」

優子「暢子…。」

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