ドラマダイジェスト

夜ドラ「作りたい女と食べたい女」(第16回)

あらすじ

幼いころからの食事での苦い記憶を思い出す南雲さん(藤吉夏鈴)。春日さん(西野恵未)もまた、実家との関係で心をざわつかせていた。一方、矢子さん(ともさかりえ)と約束した映画の同時視聴会を催す野本さん(比嘉愛未)は、彼女のプロフィールに目がいって…。

第16回ネタバレ

マンション

南雲宅

回想

男子「南雲~ いつまで食ってんだよ~。」

男子「ここ 掃除できねえんだけど。」

女子「やめなよ 世奈ちゃん 頑張って食べてるんだよ。」

教師「おい ちゃんと掃除しろ。」

生徒たち「は~い。」

南雲<それから私は 人と食事をするのが難しくなった>

友達「何かさ おなかすかない?」

友達「ポテト食べたいかも。」

友達「え いいじゃん。」

友達「え じゃあ寄ってく?」

友達「え 行こう。」

友達「ねっ。」

友達「めちゃいい。」

友達「世奈も行くっしょ?」

南雲「あ うん。」

一同「ポテト ポテト ポテト…。」

店員「お待たせいたしました…。」

友達「来た!」

友達「いただきます。」

友達「いただきます。」

友達「ポテトおいしい。」

友達「ほんと?」

友達「世奈も食べなよ。」

南雲「あ うん。」

友達「食べないの?」

<一人の時や 家族と食べるのは平気だった>

父 弟 母「いただきます。」

父「うん おいしそう。」

南雲「いただきます。 お母さん ごはん多いって。 こんなに食べられないから。」

母「え~? これっぽっち?」

南雲「うん。」

父「ダイエットでもしてるの? 育ち盛りなんだから しっかり食べないと。」

母「そうだよ。 ダイエットなんかしなくても 十分かわいいんだから。」

南雲「違うって。 ただ こんなに食べられないだけ。」

母「そんなこと言って。」

父「女の子は 案外食べるほうがモテるんだよ。」

弟「うん そうだよ 姉ちゃん。」

<でも 家族からは たくさん食べるように言われ続けた>

回想終了

廊下

春日「おやすみなさい。 あ こんばんは。」

南雲「こんばんは。 この間は ありがとうございました。」

春日「いえ。 おやすみなさい。」

南雲「おやすみなさい。」

春日宅

テレビ『このお店のイチオシは…』。

(通知音)

『十々子ちゃん、お父さんの電話にでてあげて。 お母さん、介護のことで大変なのよ。』

スーパー

安藤「え~ それ全部 自分でやってんの。」

藤田「そうなんですよ。 本当に介護って大変で。 腰もやられちゃって。」

安藤「そうでしょう。 あのね 離婚するなら早いほうがいいわよ。 ずるずる時間たっちゃうから。」

酒井「え 安藤さんって 離婚されてるんですか?」

安藤「したよ。 人生で 一番やってよかったと思ってること。」

酒井「へえ~。 何歳くらいの時に?」

安藤「50。」

酒井「え~! すごい勇気!」

安藤「随分大変だったよ~。 あいつら甘えてんのよ。 自分の両親の世話 全部 私たちに押しつけてきて 私らのこと 家政婦か介護士かなんかだと 思ってんだよね。」

藤田「そう… なのかもしれないですね。」

安藤「うちのはね ほんとにそうだったから。 何でも命令してきて あれやれ これやれって。」

藤田「一緒です。」

安藤「だったら ほら。」

マンション

野本宅

野本『こちらは準備OKです!』

yako『ちょっとお待ちくださーい!』

野本『了解です』

野本「レズビアン…。 そうだったんだ。 Aセク?」

yako『準備できました! 入ります!』

オンライン

野本「あっ もしも~し 聞こえますか?」

yako「あ もしもし ユ。さん? yakoで~す。」

野本「はい! ユ。です。 聞こえますか?」

yako「は~い 聞こえてますよ。」

野本「よかった。」

yako「わ~ 初めてお声聞く。 うれしいです。」

野本「私もです。 何かちょっと感慨深いですね。」

yako「ね~。 あっ そうだ。 お送りしたプラグイン 入れられましたか?」

野本「あっ 恐らく大丈夫そうです。」

yako「よかったで~す。 え~ こちらは 飲み物とかおつまみ 準備ばっちりです。 ユ。さん どうですか?」

野本「こちらも準備万端です。」

yako「今日も何か作られたんですか?」

野本「あ~ えっと… トマトとチーズをあえたものと アボカドのディップを作りました。」

yako「え~ すご~い。 いいですね。 ユ。さんが SNSにあげてお料理 いつも本当においしそうで。」

野本「いえ~ そんな ありがとうございます。 でも yakoさんも おいしそうなお料理 あげられてますよね。」

yako「あ~ 私は全く自炊しないんで。 全部買ったものとか 外で食べたもので。」

野本「あ そうだったんですか?」

yako「おいしいものは大好きなんですけど 料理は全く興味なくて。 わざわざ自分で作るより プロの方のおいしいごはんを 食べるほうがいいなって 思っちゃうタイプなんですよね~。」

野本「なるほど…。 いいですねえ。」

yako「だから今日も デパートのデリで 買ってきたおつまみです。 イカとセロリのマリネ おいものグラタン ガーリックシュリンプですね。 お酒は白ワインです。」

野本「わあ すてき! おいしそうですね。」

yako「はい。 じゃあ 晩酌も楽しみつつ 映画 早速見ましょうか!」

野本「はい!」

yako「じゃあ 乾杯!」

野本「乾杯!」

野本「えっ。」

yako「えっ。」

野本「はあ~ あ~… よかったですね~。」

yako「はい~。 あ~ よかった ほんとに。 2人が幸せになってくれて。」

野本「本当に。 途中別れちゃうのかと思って 絶対 駄目って思いながら。」

yako「ね~ ほんとに。 あっ 私 お酒追加しよ~。」

野本「あっ 私も梅酒 飲もうかな。」

yako「おっ いいですねえ。」

野本「映画の同時視聴会って初めてで どうなんだろうって思ってたんですけど 楽しいですね。 コメント機能とか スタンプ機能とか 知らなかったです。」

yako「そうなんですよ! 韓国ドラマとか超盛り上がるんですよね。 泣きスタンプ 連打したりして。」

野本「あ~ 楽しそう!」

yako「そうそう。」

野本「何か 個人的には こういう映画 一緒に見て 感想言い合えるのが すごくうれしくて。」

yako「こういう映画っていうのは レズビアンの?」

野本「あっ はい。

yako「そっかそっか。 よいしょ。」

野本「あの… さっき yakoさんのプロフィール見ていて。」

yako「うん。」

野本「その…。」

yako「Aセク・レズビアンってところ?」

野本「あ はい。 さっき改めて見ていて気付いて。 そうだったんですね。 私も 実は…。 最近好きになった人が女性で。」

yako「う~ん! そうなんですね!」

野本「はい。 だから 取りとめなくなっちゃうかも しれないんですけど。」

yako「うんうん。」

野本「少し話 聞いてもらってもいいですか?」

yako「もちろん。」

野本「私 今まで 異性を好きになったことないのに 最近まで自分の恋愛対象は 異性だって思ってたんですよね。 好きにならないといけないって 思ってたこともあります。 そんなだったら 女の人を好きになるんだ 私は… って そういうアイデンティティーを 今 やっと持つことができて。」

yako「うん。」

野本「でも 映画を見ていて 自分のセクシュアリティのロールモデル? …を見つけられるうれしさがある反面 私って ほんとに この人たちと同じように ちゃんとしたレズビアンなのかなって。 レズビアンって名乗っていいのかなって 思うこともあるんです。」

yako「ああ…。」

野本「う~ん… うまく言えないんですけど。」

yako「うん 分かる… 分かるっていうか 違うかもしれないですけど 私なんて 全然ちゃんとした レズビアンじゃないって 悩んでた時ありましたから。」

野本「え?」

yako「私は レズビアンだけど アセクシュアルでもあって。」

野本「あ プロフィールのAセクって…。」

yako「うん。 アセクシュアルって 人に性的に惹かれることがない セクシュアリティなんだけど 性的には惹かれないけど 私は人を好きになります。 女性をね。」

yako「でも 映画とか見てても 大体 セックスの描写があったりするし 性的に惹かれ合うのが 正しいレズビアンなのかなって 思っちゃってた時もあります。 でも ちゃんとしたって何だろうって。 だって 異性愛者の人にも 本当にいろんな人がいるだろうし。 そもそも ちゃんとしたって 誰にとって? って。」

野本「うん… 確かにそうですね。」

yako「うん。 だからさ ユ。さんは ユ。さんだし ユ。さんの感覚に間違ってるとか 正しいとか ないんですよ。 レズビアンにも恋愛命の人もいるし そうじゃない人もいる。」

野本「はい。」

yako「SNSで たくさん発信する レズビアンもいるし そうじゃないレズビアンもいる。 二丁目に行って コミュニティーを楽しむ人もいれば そうじゃない人もいる。 本当にいろいろです。 ユ。さんが テレビや映画で 自分を見つけられなかったのは そういう登場人物が 全然足りてないからですよ。 もっといろんなレズビアン見たいですよね ドラマとかでさ。」

野本「確かに。 ほんとですね!」

yako「だからさ ゆっくり焦らず ユ。さんだけの自分の形を 見つけられたらいいんじゃないかな。」

野本「はあ… あ~ 何か 心が軽くなります。」

yako「え~ ほんと?」

野本「ほんとに ほんとに。 同じレズビアンの方と こういう話ができるのも初めてなんです。」

yako「あ~ そっか まあ なかなかないよね。 カミングアウトして生活してる人 少ないしね。」

野本「はい。 だから ありがとうございます。」

yako「ううん 全然。 何か最近 私のそういう投稿に よく いいねしてくれるようになったな~ とは思ってたんですよ。 だから 話してくれてうれしい。」

野本「そっか。 いや~ 本当にうれしいです。 私 自分のことを また知らない間に 型に はめようとしちゃってたのかも しれません。」

yako「っていうか ガンガン 型にはめようと してくるからね 社会のほうがさ。」

野本「アハハ… うんうん。」

yako「え~ それで~ その最近好きなった女性の話は 掘り下げちゃってもいいんですかね?」

野本「あっ… あっ はい。 大丈夫です。」

yako「キャー! 超楽しい! で どこで出会った人なの?」

野本「えっ… あっ あの… 同じマンションで。」

yako「え~! 同じマンション!? 何それ! え ドラマ!? ドラマなの? えっ どんな人なの?」

野本「あ… それがですね あの~ 春日さんっていう方なんですけど…。」

yako「春日さん。」

野本「すっごく こう ごはんを食べて下さる方で 私は ごはんを作るのが好きなんですけど。」

yako「うん。」

春日宅
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