ドラマダイジェスト

夜ドラ「作りたい女と食べたい女」(第18回)

あらすじ

取引先のスーパーで働く藤田さんから夫の両親の介護や離婚への思いを聞いて、自分も介護で帰るよう言われていることを話す春日さん(西野恵未)。背中を押されるように父に電話をするが…。野本さん(比嘉愛未)に誘われ、クリームシチューを食べながら春日さんは自分の決意を話し始める。

第18回ネタバレ

@DESIGNPRO

佐山「おいしい~! お店のみたいじゃないですか このドーナツ。」

野本「本当ですか?」

佐山「うん。 春日さん 喜んでくれたんじゃないですか?」

野本「そうだといいんですけどねえ。 何か 少し元気ないようなんです。 何かあったんじゃないかなとは 思うんですけど 聞けてなくて。」

佐山「そうだったんですね。」

野本「心配で。」

佐山「好きな人が悲しい顔してるって 一番悲しいですよねえ。」

スーパー

客「あっ すいません。」

春日「はい。」

客「焼きそば どこですか?」

春日「ご案内します。」

客「今日ね うちね 広島焼きなのよ。」

春日「大阪出身では?」

客「違うね~ お好み焼き対決や。」

定食屋

店員「いらっしゃいませ。 お一人様ですか?」

客「はい こちらへどうぞ。 どうぞ。」

藤田「あっ 春日さん? ここ いい?」

春日「はい。」

藤田「すいません こっちでもいいですか?」

店員「どうぞ。」

藤田「春日さん ここ よく来るの?」

春日「たまに来ます。」

藤田「そっか。 私 初めて。」

春日「そうですか。」

藤田「え~ 何がおすすめ?」

春日「私は 生姜焼き定食が好きです。 でも チキン南蛮もおいしかったです。」

藤田「あ チキン南蛮ね… そうしようかな。」

店員「お水どうぞ。」

藤田「すいません チキン南蛮定食。」

店員「はい かしこまりました。」

藤田「自分じゃ 作るの めんどくさいから。 チキン南蛮って。」

春日「そうですね。」

藤田「フフフフッ。」

春日「大丈夫ですか?」

藤田「え?」

春日「いろいろと おうちのこと。」

藤田「う~ん 全然大変。 生きるって大変ね~。 前に話した 夫の両親の介護? それはまあ 家族だからね しかたないって言い聞かせながら。 でも 夫が全然やらないし それのほうが つらくてね。 自分の親だろって思うんだけど。」

春日「そうなんですね。」

藤田「私の人生 誰のためのものなんだろうって 思っちゃったりするんだよね。 あっ ごめんね こんな話。」

春日「分かります。 母がそうなんです。 同じような感じで。」

藤田「そうなんだ。」

春日「私は 離れて暮らしてますけど 母には 母の人生を生きてほしいって 思っていて。」

藤田「うん。」

春日「思ってるだけで 言えてないんですけど。」

藤田「そうなんだね。 うちの子も そんなふうに思ってくれてたりして。」

春日「お子さんが いらっしゃるんですね。」

藤田「うん 娘がね。 今 大学生。」

春日「そうですか。」

藤田「娘も大きくなったし 離婚したら せいせいするかも …なんてさ フフフ。 難しいけどね。 無責任だよね。」

春日「私も 祖母の介護が大変だから 実家に帰ってこいと 言われてるんです。 父に。 でも 私は帰りたくないと思っています。 それでも 母のことを考えると 少し…。」

藤田「帰らなくていい。 帰りたくないなら 帰らないでいい。 絶対絶対 自分の人生 大事にして。 親のために 自分を犠牲にしたりしないでね。 私なら 娘にそう言う。」

春日「そう言ってくれますかね。」

藤田「私ならね。」

春日「母のことは気がかりですが でも 帰らないつもりではいます。」

藤田「それでいいよ。」

春日「無責任なことは言えないですが 藤田さんも ご自分の人生 大切にして下さい。」

藤田「フフフフフ…。 娘に言われた気分だ。 ありがとう。」

店員「お待たせしました チキン南蛮定食で~す。」

車内

(呼び出し音)

父『お~ 十々子。 やっと帰ってくる気になったか。 話してたんだけど お前の部屋が今 物置になってるを片づければさ…。』

春日「私 帰らないから。」

父『…あ?』

春日「帰らない。 というか その家には 一生戻らない。」

父『一生って 何だよ。』

春日「私 昔からお母さんのことが不思議だった。 お父さんと おばあちゃんの言いなりで まるで家政婦みたいに 家のこと 全部やらされて。 お父さんは お母さんに全然優しくしない。 感謝もしない。」

父『俺が悪者か。 いい加減にしろよ! 相変わらず かわいくねえね。』

春日「そこにいたら 私は私でいられなくなる。 私は 家の何かじゃなくて 私でいたい。 その家には 一生戻らない。」

父『お前 家族を見捨てるのか!』

春日「もう連絡してこないで下さい。」

父『おい! 待て! 親不幸者! おい!』

(電話を切る音)

(エンジン音)

ラジオ『ありがとうございます。 これからが楽しみなグループですね。 それでは 次の曲は ラジオネーム ファーミーさんより。 「この曲は 私の大切な曲です。 今ある家族が その人にとって 必ずしも 安全で幸せな場所だとは言えません。 血のつながりはなくても 本当に自分を受け入れて 安心と愛を与えてくれる人と 家族になれたら というこの曲に 何度も救われました。 自分で選んだ家族。 タイトルは 『Chosen Family』です」。』

(通知音)

♬~『Chosen Family』

野本『春日さん、今日も寒いですね。 クリームシチュー食べませんか? 鶏肉、安かったから まとめ買いしましたよ!』

マンション

野本宅

(通知音)

春日『是非です。ありがとうございます』

野本「春日さん いらっしゃい。」

野本「では…。」

2人「いただきます。」

野本「あつあつ…。 ん~ おいし。」

野本「どうぞ。」

春日「ありがとうございます。 野本さんに 聞いてほしいことがあるんです。」

野本「あ… うん。 もちろん。」

春日「最近 父と話したんです。 それで 祖母の介護があるから 家に帰ってこいと言われました。」

野本「でも 春日さんだってお仕事あるし。」

春日「大した仕事じゃないだろうって 辞めて帰ってこいと言われました。」

野本「そんな…。」

春日「野本さん 私は 父と縁を切ろうと思っています。 私のことを無責任だって 言う人もいるかもしれません。 もっと理解し合えとか 和解できたとか 言う人もいるかもしれません。 でも 私にとって あの家は 安全じゃないんです。」

春日「あの家にいると 私は私じゃいられなくなる。 私は 家のために 自分の人生を 消費したくないと思っています。 父に 家族を捨てるのかって 言われました。 そういうことに なるのかもしれません。 野本さんは 私を冷たい人間だと思いますか? でも 野本さんには 野本さんだけには 親を捨てるな なんて 言ってほしくないんです。」

野本「私は 春日さんのことを 冷たい人間だなんて 絶対 絶対 思いません。 春日さんは優しい人です。 私は 春日さんのことを 優しいところを たくさん知っています。」

野本「春日さんに 自分のことを 冷たい人間だなんて 思わせたお父さんを 私は許せない。 春日さんが 一番幸せでいられる場所にいて下さい。 春日さん 優しくいられる場所に いて下さい。」

春日「はい。」

野本「約束です。」

春日「ありがとうございます。」

野本「話してくれて ありがとう。 実は 少し元気なかったから 心配してて。」

春日「すみません。 ドーナツも クリームシチューも ありがとうございます。」

野本「私は… 私は 何があっても 春日さんの味方だからね。 私は 春日さんの悲しむ顔を 見たくないんです。 私は…。 私は…。 ううん…。 あっ 春日さん りんご食べませんか。 おいしそうだったので 今日買ってきて。」

春日「じゃあ 私がむきます。」

野本「うん ありがとう。 じゃあ お願いします。 あっ 2個で足りますか?」

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