ドラマダイジェスト

夜ドラ「作りたい女と食べたい女」(第19回)

あらすじ

バレンタイン間近、矢子さん(ともさかりえ)に春日さん(西野恵未)への恋心を相談する野本さん(比嘉愛未)。矢子さんは学生時代のうまくいかなかった同性の恋人への恋心を思い出す。野本さん、春日さん、南雲さん(藤吉夏鈴)はマンションの停電の中で思いがけず…。

第19回ネタバレ

マンション

野本宅

野本「できました~!」

矢子『どれどれ~?』。

野本「あ 見えますか?」

矢子『うん 見える見える。 わあ すごいおいしそう!』。

野本「見た目は いい感じですね。」

矢子『でも こんな試作品まで作ってさ 愛がすごいわね』。

野本「いや… 愛というか まあ 愛なのかもしれないですけど あの でも… どうしていいのか分からないんです。 クッキーだと味気ないかなとか ケーキだと やりすぎで重いかなとか。 間をとってパウンドケーキで…。」

矢子『ふ~ん。 バレンタインは 会う約束してるの?』。

野本「あ… それが 特にしてなくて。」

矢子『してないの?』

野本「何て誘えばいいのか分からないんです。 今までだったら 何も考えずに チョコパしましょうとか 言えたかもしれないんですけど もう意識しちゃってるから 気軽に誘えなくて。」

矢子『じゃあ チョコだけ 当日に 渡そうかなって感じ?』。

野本「はい… でも それもどうなんですかね。」

矢子『どうっていうのは?』。

野本「本命として渡すのは まだ心の準備ができてないし。 だからといって 友チョコとして受け取ってもらうのも それはそれで 本望ではなくて。」

矢子『あ~ そっか~』。

野本「春日さんが 今のままの関係を 心地よく思ってくれているんだとしたら 私の思いを伝えたら その関係を 変えてしまうことになるじゃないですか。 自分に恋心を寄せている人が しかも 自分はそう思ってない人が 近くに住んでるなんて 嫌かもしれないし…。 春日さんのことを考えると 思いを伝えることって 自分勝手なんじゃないかなとか…。」

矢子『なるほどねえ まあ考えちゃうよね』。

野本「そんなこと考えてたら もう毎晩 寝不足気味で。 今朝も バスに乗り遅れちゃいました。」

矢子宅

野本『はあ… もう何やってるんでしょうか 私は』。

矢子「う~ん…。 でも そんなに 気負わなくてもいいんじゃないの?」

野本『え?』。

矢子「本命として渡さなきゃ とか 友チョコになっちゃう とかじゃくて ユキさんが その方に 手作りのお菓子を食べてほしいって その気持ちだけでいいんじゃない? 二人の時間を楽しむことが 大事だと思うよ。」

マンション

野本宅

野本「そっか。 確かに そうですね。 矢子さん! 私 今 春日さんにメッセージを送ります。」

矢子『おっ いいね!』。

野本「え~と 何て送ろう…。 春日さん 今度のバレンタインの日 よければ チョコ交換とか… いや 別に交換っていうか もらいたいわけじゃないんだけど…。」

矢子宅

野本『え~と… あっ すいません』。

矢子「いいよ~ ごゆっくり。」

野本『バレンタイン… え~ どうしよっかな…』。

マンション

野本宅

野本「バレンタインの日 何かデザート作ろうと思ってて。 よければ食べにきませんか? よし。 矢子さん これで送ります。」

矢子『うん! 送っちゃえ!』。

野本「はい。 キャー! あ~ 送っちゃいました! あ~ 何か 変に思われないかな どうしよう。」

矢子宅

矢子「思われない 思われない。」

マンション
野本宅

野本「やだ もう。 送信取り消します!」

矢子『駄目 駄目!』。

野本「矢子さん どうすればいいですか。」

矢子宅

矢子「うん またね。 おやすみ~。」

野本『おやすみなさ~い』。

矢子<あのころは アセクシュアルという言葉に 出会えていなかった>

回想

矢子「私からも どうぞ。」

真奈「え~ ありがとう。 うれしい。」

矢子「私も。 ありがとう。」

真奈「うん。」

真奈「可菜芽はさ…。 私のこと 本当に好き?」

矢子「好きだよ。 本当に。」

真奈「じゃあ 何で嫌なの? 何で触れてくれないの? 手もつないでくれないの? キスだって こないだも避けてたでしょ。 つきあって3か月もたつのに。」

矢子「ごめん。」

回想終了

<私には どうにもできなかった。 相手に自分の気持ちを どう説明すればいいのかも 分からなかった>

(通知音)

野本『春日さんからお返事がきて、 バレンタインの日約束できました! 矢子さんありがとう』

矢子『よかったね♡』

<好きって気持ちだけでは どうにもならないこともある。 それでも それぞれの形で いい未来があるって…>

矢子「信じたい。」

道中

佐山「野本さん おはようございます。」

野本「おはようございます。」

佐山「今週 結構 残業なりそうですよね。」

野本「そうですね~。」

佐山「私 デートの約束あるんですけど~。」

野本「え… えっ 決まったんですか? あの 連絡続いてた人?」

佐山「はい。 しかも これは ねらったわけじゃないんですけど 水曜日に。」

野本「えっ! え バレンタインじゃないですか!」

佐山「向こうが 土日仕事の人なんですよ。 なかなか 予定合わなくって。」

野本「そうなんですね。 楽しみですね。」

佐山「まあ。 野本さんは どうなったんですか?」

野本「あっ あの~ 実は 私も 春日さんと当日会うことに。」

佐山「お~! お~ 約束したんですね?」

野本「はい。 あっ あの 佐山さん えっと 試作品があるんですけど…。」

佐山「試作品?」

野本「はい お昼にでも食べて 感想頂けたらと。」

@DESIGNPRO

野本「よろしくお願いします。」

佐山「はい いただきます。 お~。 よいしょ…。 おいしいです。 お店できますよ 野本さん。」

野本「甘すぎないですかね?」

佐山「いやいやいや ちょっとビター? で。 ちょうどいいです。」

野本「でも まだ迷ってるんですけどね。 これでいくのか ほかのものにするか。」

佐山「えっ じゃあ これ あげないんですか?」

野本「あ はい 試作なので。」

佐山「じゃあ これ 私があげてもいいですか?」

野本「え?」

佐山「水曜日。 会う人に。」

野本「佐山さん それはどうなんでしょう?」

佐山「ですよね~。 冗談ですよ?」

野本「いや でも何がいいかな…。」

高「お疲れさまです。」

野本「高さん お疲れさまです。」

高「購入ページのほうから 進めてもらっていたのですが 急きょ 商品詳細のほうを 先に見たいと言われてしまって。」

野本「みたいですね。 データは確認したので こっち優先でやりますね。」

高「すいませんね ほんとに。 佐山さん。」

佐山「はい。」

高「ちょっといいですか?」

佐山「はい。」

高「これとこれを 入れ替えたいんですけど…。」

マンション

野本宅

野本「あ~ 疲れた…。」

停電

野本「えっ! え… えっ 何? つかない。 え 停電…?」

廊下

野本「あ 春日さん。」

春日「大丈夫でしたか? 急につかなくなりましたね。」

野本「どうしよう… もう困りますね こんな夜に。」

春日「ほかの部屋も停電みたいですね。」

野本「そうだね。 でも ほかのところは ついてるから ここだけなのかな。」

春日「みたいですね…。」

南雲「電気つかないんです。」

春日宅

南雲「明るい…。」

野本「こういう時 ろうそくって大事ですね。」

春日「災害用に まとめて買ってあって。 携帯のライトは 充電が なくなってしまうので消しましょう。」

野本「あ はい。」

南雲「野本さん。 春日さんは 本当に頼れる人ですね。」

野本「そうなんです。」

春日「いえ そんな。 復旧のめどを 確認したほうがいいですよね。」

南雲「じゃあ 私が。」

春日「え いいんですか?」

南雲「役に立ちたいんです。 ずっと家にいたので 充電も100なので。 私がかけます。」

春日「では… すみません。」

野本「ありがとうございます。」

南雲「あ もしもし。 あの すいません…。」

野本「あの 春日さん そういえば バレンタインの日…。」

春日「はい。」

野本「もしかしたら 少し残業になりそうで ごはん食べてから 集合みたいな感じになっても大丈夫ですか。」

春日「野本さんの無理のない形で大丈夫です。」

野本「ありがとう。 楽しみですね。」

春日「野本さん 寒くないですか?」

野本「あ うん ちょっと寒くなってきたね あっ でも大丈夫だよ。」

春日「これ よければ着て下さい。」

野本「え? あっ ありがとう。 じゃあ…。 あ… あったかい。」

春日「あっ。」

野本「え?」

春日「あの… 糸くずが。」

野本「えっ あっ… え?」

春日「失礼します。」

野本「あっ。」

春日「すみません。」

野本「ううん ありがとう。 あっ 南雲さん 電話すみません。 どうでしたか?」

南雲「あ はい マンション内の 配線トラブルのようで 対応中みたいです。 2~3時間ほどで復旧するとか。」

野本「そうですか。」

春日「2~3時間なら よかったですね。」

南雲「あ じゃあ 私は戻ろうかと思います。 ごはん食べてる途中だったので。」

野本「そしたら 私も一緒に出ます。」

南雲「え… あっ はい。」

春日「ろうそく 持っていって下さい。」

南雲「ありがとうございます。」

野本「ありがとう 助かる。」

廊下

春日「何かあれば 連絡取り合いましょう。」

南雲「はい。」

野本「はい。 あっ ろうそく ありがとう。 じゃあ おやすみなさい。」

春日「おやすみなさい。 南雲さんも おやすみなさい。」

南雲「春日さん。 ちょっといいですか?」

春日「はい。」

南雲「あの 勘違いだったら 申し訳ないんですけど…。」

春日「はい。」

南雲「春日さんと野本さんは その… つきあってらっしゃるんですか?」

春日「え…。」

南雲「違ったら すいません。 さっき何だか 二人を見てたら そんなふうに感じて。」

春日「私と野本さんが… ですか。」

南雲「はい。」

春日「つきあってないです。 つきあってないですが…。 でも 確かに私は… 野本さんのことが 好きです。」

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