ドラマダイジェスト

夜ドラ「作りたい女と食べたい女」(第1回)

あらすじ

料理が好きな野本さん(比嘉愛未)は、少食でひとり暮らしのため、もっとたくさん作りたい!と思っていた。そんなある日、同じマンションに住む春日さん(西野恵未)が大量の食べ物を持って帰宅するのを目撃。次の日、職場でのストレスから、大量のルーロー飯を作ってしまった野本さん。思い浮かんだのは…?

第1回ネタバレ

マンション

野本宅

野本<料理をするのが好きだ>

<アマチュアだけど SNSで料理のアカウントも持っている>

<多くはないけど 投稿を見てくれる人もいる>

野本「いただきます。 うん おいしい。」

<だけど その方向性について若干悩みがある>

『いつも素敵なご飯だね。 量もお上品♡』。

<私は小食だし 地元から離れて就職して 仲のいい友達も近くにいない…>

@DESIGNPRO

<でも 本当はもっと こういうのとか こういうの こんなふうに たくさん作りたくて…>

佐山「野本さん ウェブブラウザのシェア チェックできたので 今 送りました。」

野本「あっ ありがとうございます。」

<結局 作ったところで 一人じゃ食べきれないし>

マンション

野本宅

野本「いただきます。」

<見てくれる観客がいないと アートが成立しないように 料理も『食べる』までがないと 成立しないんだよな…>

野本「誰か 私の作った料理 食べてくれたらなあ…。」

エレベーター

春日「こんばんは。」

野本「こんばんは。 すいません。」

春日「すいません においますよね。」

野本「あ~ いえ 全然全然! あの 何かパーティーとかですか? いいですね。」

春日「いえ 一人で食べます。」

野本「えっ?」

廊下

野本「一人でって…。」

野本宅

野本「あの量を… 一人で…。」

<全部? もしかして日常的に…?>

野本「見たすぎる。」

@DESIGNPRO

野本「いただきま~す。」

回想

春日「一人で食べます。」

回想終了

野本「あんな量作れたら 楽しいだろうな。」

佐山「いつも お弁当えらいですね。」

野本「全然 節約ですよ。」

佐山「あ~ 大事ですね。 毎日 社食行ける給料ならいいですけど。 私 これです。」

野本「えっ それだけで足ります?」

佐山「全然足ります。 何か眠くなっちゃうから 昼は これくらいがいいんですよね。」

野本「そうなんですね。」

森岡「野本さん すいません。」

野本「はい。」

森岡「これ 外注から コーディングが上がってきたんで 実機で確認してもらってもいいですか?」

野本「あっ 分かりました。」

森岡「お願いします。」

野本「はい。」

森岡「えっ それ野本さん 手作りですか?」

野本「はい。」

森岡「すげ~。」

野本「あっ いや そんな。 簡単なものばっかりなので。」

森岡「は~ そういうの さらっと言えちゃうの かっこいいっすよね。 ねえ 佐山さん?」

佐山「ですね~。」

野本「いや 私は ただ趣味というか 好きで作ってるだけで…。」

森岡「あれ? 佐山さん 昼飯それだけっすか? 栄養0じゃないっすか。」

佐山「おいしいから いいんです。」

森岡「駄目ですよ~。 もっと 野本さん見習わないと。 ってか 野本さんって 絶対いいお母さんになるタイプっすよね。 いいな~。 俺も 彼女に お弁当作ってもらいたいな~。」

佐山「森岡さん 彼女いないじゃないですか。」

森岡「そこなんですよ。 何でできないんだと思います?」

佐山「う~ん…。」

スーパー

<自分のために好きでやってるもんを 全部 男のためだって回収されるの つれ~な~…>

マンション

野本宅

<やば。 こんな量>

野本「やってしまった。 はあ~…。」

(足音)

(ドアの閉まる音)

春日宅

(チャイム)

数時間前

春日の職場

春日「お疲れさまです。」

藤田「あっ 春日さん お疲れさまです。」

春日「来月のキャンペーンのポップ 持ってきました。」

藤田「ありがとうございます。」

春日「持っていきますね。」

藤田「ああ すいません。 この間の新商品 売れてますよ。」

春日「本当ですか。 よかったです。」

食堂

明代「あっ いらっしゃいませ。」

清「いらっしゃ~い。 じゃ こちらにどうぞ!」

明代「はい 何ししましょう。」

春日「唐揚げ定食1つ。」

明代「はい。 唐揚げ1つ!」

清「はいよ!」

客「こっちも 唐揚げ定食。」

明代「はい かしこまりました。 唐揚げ もう一つ。」

清「はい 唐揚げ2つ!」

明代「は~い。」

清「はい 唐揚げ定食 お待ち遠さまです。 はい こちらも唐揚げ定食 どうぞ!」

客「はい。」

春日「あの…。」

清「はい。」

春日「このごはん…。」

清「あっ ごはんの量 少なめにしておきましたよ!」

春日「あの… 普通についで下さい。」

清「ああ! こりゃ すいません…。 はい お待たせしました。 すいません。」

春日「いただきます。」

春日「お勘定お願いします。」

清「え~っと… どれだっけな。」

春日「あっ 唐揚げ定食1つです。」

清「あっ 唐揚げ。 あの~… 900円になります。 はい ちょうど頂きます。」

春日「おいしかったです。」

清「お粗末さまです。 ありがとうございました。」

明代「ありがとうございました。」

清「えっ?」

明代「女の人だからって 勝手に減らしちゃ駄目でしょ。」

清「悪いことしたなあ。」

マンション

廊下

春日宅

(チャイム)

野本「夜分にすみません。 あの… 夕飯は お済でしょうか…?」

野本宅

春日「それで こちらのルーロー飯を 私に ご馳走して下さると…。」

野本「あの… 作るのが趣味で たくさん作ってしまって その… お裾分けっていうんですかね こういう場合…。 昨日 ちょうどお話ししたので お顔が浮かびまして…。 あっ すいません! 何か… 気持ち悪いですよね。 片づけます。」

春日「本当に私が食べていいんですか?」

野本「えっ? はい もちろん。 というか 食べて頂きたいんです。」

春日「私に。」

野本「はい…。」

春日「では ありがたく頂きます。」

野本「はい! どうぞ。」

<無言だ…>

<どんどん減っていく 山盛りのルーロー飯を見ながら どうして作るのが好きなのか 思い出した。 私は いいお母さんになりたいからとか いい奥さんになりたいから 料理をしているわけじゃない。 私は ただ おいしいものをたくさん作りたくて おいしいって食べてもらいたくて…>

野本「すごい。 全部食べ切っちゃった。」

春日「ごちそうさまでした。 ありがとうございます。 おいしかったです。」

<だから ずっと探していたんだ>

野本「こちらこそ ありがとうございました。」

<一緒に お鍋を空っぽにしてくれる人を…>

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