ドラマダイジェスト

夜ドラ「作りたい女と食べたい女」(第2回)

あらすじ

野本家で食事を共にするようになった2人。野本さん(比嘉愛未)は、“デカ盛り”料理もたいらげてしまう春日さん(西野恵未)に、料理をするよろこびをあらためて感じていた。しかし、たくさん作ろうと張り切るも、生理痛で動けなくなってしまう。そんな野本さんのところに、炊飯器を片手に春日さんが訪れる…。

第2回ネタバレ

マンション

野本宅

野本「私は ただ おいしいって食べてもらいたくて…。 だから ずっと探していたんだ。 一緒に お鍋を空っぽにしてくれる人を…>

野本「今日は カレーで~す。」

春日「いただきます。」

野本「どうぞ。」

野本「今日は ミートボールパスタで~す。 ちょっと多すぎましたかね…。」

春日「いえ。」

野本「できました~! はい。」

春日「すごいですね。」

野本「こういうの 作ってみたかったんです。」

春日「では いただきます。」

野本「はい。」

春日「ごちそうさまでした。」

野本「いえいえ。 こちらこそ ごちそうさまでした。 あっ お茶いれますね。」

春日「野本さん。 これ 今までの食費です。」

野本「えっ?」

春日「野本さんが どこでお買い物しているか 分からなかったので 私の ざっとした 見積もりでしかないのですが。」

野本「いや お金は大丈夫です。 私が作りたくて作ってるわけですし…。 だって…。 こんなオムライス 絶対 一人じゃ作れないから。 お米4合に 卵8個ですよ。 この卵の感じは それくらい使わないと出ないんですよね。」

春日「今日は 卵8個にお米4合ですね。」

野本「あっ そういう意味じゃ…。 春日さんは 同人誌というものを ご存じですか?」

春日「はあ… 何となくは…。」

野本「同人誌とは お金を出してでも 自分で本を作りたい人々が 作るものなんですね。 で 私は自分でお金を出してでも料理を作りたい人間なんですよ。」

春日「はあ…。」

野本「なので これは 私がしたくてしていることなので 春日さんは 気にしないで食べて下されば… ね。」

春日「あっ 自分でやります。」

野本「ありがとうございます。」

春日「これ 使っていいですか?」

野本「あっ はい。 ちなみに 春日さんの食費は 毎月どれくらいですか? あっ あの… 差し支えなければで…。」

春日「なるべく抑えたいので ふだんは 少なめにしてるつもりですが… それでも 大体 収入の3分の1は 食費に消えてますね。」

野本「節約とか何か やってたりします?」

春日「職場に お弁当を持っていったりとか スーパーの安売りの日に買い物したり。 あとは… ちょっと行ったところに ファーマーズマーケットがあって 車があるので たまにそこへ。」

野本「え~ いいな~。 楽しそう!」

春日「結構安くて 新鮮な野菜が買えます。」

野本「そうなんだ。 行ってみたいな~。 あっ 春日さん もう大丈夫です。 お茶持っていくので 座ってて下さい。」

春日「ありがとうございます。」

野本「はい。 でも そもそも今 物価高すぎますよね。 あと 女って やっぱり 給料上がりづらいんだなあとも 思いますし。 しかも私 派遣なので 何か いろいろ考えちゃいます。」

春日「私も契約社員なので 分かります。」

野本「そっか。」

春日「いろいろ踏まえると やはり これでは足りないですね。 野本さんの方で 計算し直してもらえますか。」

野本「でも… やっぱり お金を出してもらうほどのものでは…。」

春日「野本さん 労力に対して お金を払うのは 価値を明確にする上でも 一番手っ取り早い手段だと思うんです。 それに このまま ご馳走してもらい続けるだけだと お互いがフェアじゃない気がして 私が嫌です。」

野本「そ そう…?」

春日「だから お金 受け取って下さい。」

野本「では ありがたく頂戴します。 これで また たくさん作りますね」

春日「楽しみです。 たくさん食べます。」

野本「あっ あの あの 今までは ごはん系ばっかりだったんですけど 甘い系とかも いけますか? お菓子とか。」

春日「甘い 酸っぱい 辛い しょっぱい 全部いけます。 嫌いなものは ないです。」

野本「すごい! じゃあ これから いっぱい作りますね!」

<って言ったのに…>

<つらくて 何もやる気がしない…>

野本『土曜日 なにが食べたいとかありますか?』。

春日『なんでも大丈夫です。 野本さんが作りたいもので』。

野本『わかりました! メニュー考えたら連絡しますね』。

春日『楽しみにしています』。

春日『具合わるいですか。 もしかして』。

野本「えっ 何で…。」

野本「実は生理になってしまいまして。 ナプキンも鎮痛剤もなくなってしまったのですが、動けずで…。 すみません、ごはんも作りたかったのに、何も準備できていなくて。」

春日『ナプキンは普段何を使っていますか?買っていきます。 鎮痛剤はどこのですか』

野本「…優しい。」

春日『食欲はどうですか 食べたいものありますか』

野本「食べたい物…。」

回想

母「ユキ お熱下がったね。 何か食べられる?」

野本「焼きおにぎり…。」

回想終了

(チャイム)

野本「あ… 春日さん。」

春日「お休みのところ すいません。」

野本「ううん ありがとう。 …どうぞ。」

春日「お邪魔します。」

野本「あっ ちょっと… すいません。 片づけますね。 ごめんなさい。 よいしょ。 どうぞ。」

春日「ありがとうございます。 ナプキンですが どこのブランドのものを お使いか分からなかったので 私が使っているものを 一とおり買ってきました。 『夜用多め』です。」

野本「うわぁ… 助かる…。 うん? これは?」

春日「うちの炊飯器です。 焼きおにぎりを作るので 炊いてきました。」

野本「ありがとう…。」

春日「あと 鉄分補給できるもの 買ってきました。 おなかすいてたら 先にこれ 飲んで下さい。」

野本「ありがとう。 すごい… 至れり尽くせりで…。 あ~…。 ふ~。 春日さんも 生理つらい方ですか?」

春日「私は 1日2日 ドバッと血が出て終わりですね。 生理痛も全くないです。」

野本「いいな~。 私 PMSは そこまで重くはないんですけど… おなかと腰と あと頭も痛くなって…。」

春日「あんまりつらいなら 婦人科に行ってみるのは どうですか?」

野本「ん~ 私くらいのつらさで 行くものじゃないのかなあって思って…。」

春日「その考え 危険だと思います。 今は 低用量ピルで 生理痛やPMSを 軽減することができるようですし 一度相談してもみると 楽になるかもしれません。」

野本「確かに そうですね。」

春日「すみません。 具合悪い時に 考えさせることじゃなかったですね。 おにぎり作るので 寝てて下さい。」

野本「あっ あの… 春日さん。 うちの焼きおにぎりは ずっと これなんです。」

春日「仙台のおみそ… 野本さんは東北のご出身でしたか。」

野本「しょうゆの焼きおにぎりは こっちに来て初めて食べました。」

春日「では みそ焼きおにぎりにしましょう。」

野本「はい。 あっ どうぞ。」

春日「寝てなくていいんですか?」

野本「うん… 何だか 見ていたくて。」

春日「そうですか。」

野本「あっ そんなには食べられないかも。」

春日「食べたくなったので 私の分です。」

野本「た… 食べて…。 いっぱい食べて!」

春日「おいしそうですね。」

野本「うん いい匂い。」

春日「じゃあ 食べましょうか。」

野本「はい。」

2人「いただきます。」

春日「みそ おいしいです。」

野本「でしょ! 子どもの頃 体調崩した時は いつも これだったんです。 食欲なくても これだけは食べられて。 あっ 私も食べますね。 おいしい。」

春日「おいしいですね。」

野本「はい。 今日は 来てくれて ありがとうございました。 私も しんどいばっか言ってないで 春日さんみたいに もっと 強くならなきゃですね。」

春日「無理な時は どうやっても無理だと思いますよ。」

野本「あ… そっか。 そうですね。」

春日「そのままでいいと思います。 同じ女性でも みんな違いますから。 じゃあ ゆっくり休んで下さい。」

野本「はい ありがとう。」

野本「作ってもらえるのもいいな…。」

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