2001年5月8日放送の【 連続テレビ小説「ちゅらさん」】32話のネタバレです。
現在は(2020年11月現在)NHKオンデマンドでも視聴可能です。
あらすじ
恵里はおばぁの手作り菓子を持って、引っ越しのあいさつにまわりますが、一風館の住人たちは一風変わっていました。真理亜は受け取りを拒否し、柴田は恵里に一目ぼれ、なぞの老人・島田は菓子を受け取るだけで顔も見せません。容子の紹介で、恵里はアパート近くの沖縄料理店「ゆがふ」でアルバイトを始めます。その店へ、肩を壊して社会人野球を断念した高校の同級生・誠が訪れ、一緒に沖縄に帰ろうと恵里を誘いますが…。
32話ネタバレ
連続テレビ小説 ちゅらさん 第32回 「哀愁のオキナワンボーイ」
大騒ぎの店内
真理亜「(瓶を強く置く)うるさいんだけど!」
(戸が開く)
兼城「いらっしゃいませ。」
恵里「いらっしゃいませ! 誠…。」
誠「恵里…。」
恵里「なんで東京に? 大阪では?」
誠「まあな それにしても びっくり。 偶然 前の道 歩いてたら 懐かしい 音楽が 聞こえてきたんだよね。 いいにおいもするし 入ってみると 恵里がいるんだもんなぁ。 やっぱり あれだな 恵里。」
恵里「ん?」
誠「俺と恵里は 運命で結ばれている。 神様も なかなか憎い事するさぁ。」
恵里「単なる 偶然さぁ。」
誠「そんな事ないさ この広い東京で 偶然にしては 余りにもドラマチックさ。 とりあえず 結婚してみるか?」
恵里「そんな事より なんで東京にいる?」
誠「まぁな。」
兼城「何 このオキナワンボーイは 彼氏?」
誠「はい。」
恵里「いいえ!」
誠「実は 将来を約束した仲で…。」
恵里「単なる同級生です。」
兼城「は?」
誠「いいかげん 素直に なりなさいよ。」
恵里「そっちさ いいかげんに するのは。」
柴田「一体 どっちなんですか? 『どっちなのかな』?と思って すみません。」
誠「誰? この人?」
恵里「同じアパートの人。 あ… 柴田さん。」
柴田「どうも。」
誠「どうも。 何? 恵里は ここで働いてる訳?」
恵里「うん そうだよ。」
誠「そうか。 マスター 運命の再会を祝して 乾杯したいので 泡盛を。 あと 沖縄料理を適当に 見繕って下さい。 どれも おいしそうで 何にしたら いいか 分からない。 でも 中味汁は飲みたいな。」
兼城「まかしといて。」
恵里「ちょっと あんた 未成年よ。泡盛は ダメだよ。」
誠「未成年でも 社会人さ。」
恵里「それと これとは 別さ。」
誠「そうかぁ?」
恵里「そうだよ。」
柴田「彼女の言う事が 正しいと思う。」
恵里「そうですよね。」
柴田「はい。」
兼城「ジュースに しとこう。 女の子の言う事は きくもんだよ これから 食べなさい。」
誠「うまそう! 頂きます。 うれしいさ。 涙 出てきそう。」
兼城「そうね?」
真理亜「あの…。」
兼城「はい 何でしょうか?」
真理亜「同じ物を。」
兼城「かしこまりました。 なんか 怖いね。」
恵里「はあ。 どうぞ。」
真理亜「ありがとう。」
恵里「おいしいですか? 何でもないです。」
誠「誰?」
恵里「同じアパートの人。」
誠「何でアパートの人が こんなにいる訳?」
恵里「さあ。」
柴田「あの…。」
兼城「何?」
柴田「私にも 同じ物を。」
兼城「ごめんね 終わってしまった。」
柴田「そうですか。」
恵里「誠 何で東京にいるの? 野球は?」
誠「あ…。 ごめん 今 食べてるだろう。 それからでいい?」
恵里「何で?」
兼城「はい 中味汁 出来たよ。」
誠「懐かしい ありがとうございます。」
誠「うまかった! やっぱり 沖縄料理は おいしいさ。」
兼城「それにしても よく食べたね まるで 牛のような 食欲さ。」
誠「それは あんまりさ。」
柴田「牛を 悪く言わないで下さい。」
誠「え?」
柴田「何でもないです。」
恵里「もういいでしょう?」
恵里「話して。」
誠「何が? 結婚の日取りか?」
恵里「怒るよ 本当に!」
誠「怒らんで! 恵里 怒ると怖い。」
恵里「じゃ 何で 東京にいるの? 大阪で野球してるはずでしょう? 誠 ちゃんと話して。 マネージャーに 報告する義務があるよ 誠には。」
誠「言いたくないんだ。」
恵里「何で?」
誠「恰好 悪いから。」
恵里「全然 分かんないさ それじゃ。 お願い。」
誠「転勤になった 東京支社の営業に。」
恵里「え? 何で?」
誠「野球… ダメになったさ 俺。 右ひじ 壊してしまってさ。」
恵里「ひじって 治らないの? 悪いの?」
誠「手術すれば 治るかもしれない。」
恵里「だったら すればいいさ。」
誠「うん 確かに。」
恵里「何で しない訳?」
兼城「お金かね?」
誠「それも ありますけど…。」
兼城「『けど』?」
恵里「どういう意味?」
誠「プロ野球の選手みたいには いかん。」
恵里「何でよ?」
誠「『そこまでする価値は俺の右腕にはない』って 言われたよ。 監督さんにさ。」
恵里「え?」
誠「『野球あきらめて 会社で働くなら 早い方が いい』って。 そうじゃないと どんどん 仕事も 分からなくなるし 置いていかれるから』って そう言われたよ。」
恵里「そんなぁ…。」
誠「それで 今は営業社員。 野球は やめたさ。」
恵里「そんなの ひどい ひどすぎるさ!」
誠「恵里 ひどくない ひどくないよ。」
恵里「だって…。」
誠「監督さんは 俺の事 一生懸命 考えてくれたんだ。」
恵里「だってさぁ…。」
誠「それが現実さ。 どうしようもないんだよ 現実は。 恵里 しかたないさ。」
恵里「だって 誠は すごかったんだよ。 皆のヒーローだったんだよ! 皆の中で 一番 夢に向かって まっすぐに向かっていってさ…。」
恵里「私は まだ何も見つけられないけど 『誠みたいに』って思ってたさ。『誠に負けないように』って そう思ってたんだよ。 私だけじゃない。 那覇北高の皆が そうさ。 皆が誠の事…。 だって…。」
誠「恵里 ごめんな。」
柴田「(泣き声)」
真理亜「ごちそうさまでした。」
恵里「ありがとうございました。」
誠「さて そろそろ帰ろうかな。 明日も早いし…。 ここに来れば 沖縄に 帰ったみたいで 寂しくないさ。 それに 恵里にも会えるしさ。」
恵里「うん。」
誠「毎日 来るよ。 じゃ おやすみなさい。 ごちそうさまでした。」
兼城「また おいでよ。」
恵里「おやすみ。」
一風館
容子「誰?」
恵里「あ…。」
容子「恵里ちゃん どうしたの?」
恵里「容子さん。」
容子「ん?」
恵里と容子の話を盗み聞きしている真理亜w
容子「そう… つらいね それは。 でも 人生の夢は 一つと 決まってる訳ではないのでは?」
恵里「え?」
容子「つまりね 誠君だっけ? 野球は 確かに夢だったから 今は つらいかもしれない。 また 何か見つかるかもしれない。 全然 違う何かをさ。」
恵里「はい。」
容子「『深追いしないで よかった』 ぐらいに思えばいいよ。 恵里ちゃんみたいに『かわいそう』と思わない方が いいと思うよ。」
恵里「ええ。」
容子「なんか いいなぁ!」
恵里「え? 何がですか?」
容子「そんなふうに 人のために 泣けるって 『いいな』と思ってさ。 この年になると自分以外の人のことを考えて 泣く事なんかない。 家族の事とかは別として。 友達の事を考えて泣くなんて もう随分ないような気がする。」
恵里「そうなんですか?」
容子「自分はどうするの 恵里ちゃんは? 東京で ゼロから探すんでしょ? 何か ヒントでも見つかった?」
恵里「いえ 私は まだ何も。 そんな余裕もないし…。」
容子「そうか。」
恵里「すみません。」
容子「謝る事なんか ないわよ。」
恵里「そうですけど。」
容子「私 反省してるんだ。 つい 妹でも出来た気分になって 住居 バイト おぜん立てしちゃって。 余計な事 しちゃったかな。」
恵里「なんでですか? ダメですか?」
容子「そんな事ないけど。」
恵里「そんな事 言わないで下さい。 感謝してるんですから 本当に。」
容子「うん。 恵里ちゃんは 人の事で泣いたり 笑ったりする仕事が向いてるね。」
恵里「え? どういう意味ですか?」
容子「分からない。 でもそんな気がする。」
恵里「人の事で?」
容子「いっぱいあるのでは?」
恵里「はあ…。」
いい事 言うねぇ 容子さんっていう人は…。 私 結構好きさ この人。 恵里が そんな仕事を見つけるには まだまだ時間が かかりそうだね。 長いからねぇ まだまださ
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