2001年6月2日放送の【 連続テレビ小説「ちゅらさん」】54話のネタバレです。
現在は(2020年12月現在)NHKオンデマンドでも視聴可能です。
あらすじ
恵里はバイト先の「ゆがふ」で、自分が提案したランチ作りに精を出します。雑誌にも掲載されて店は大繁盛しますが、常連客からは心安らぐ場所ではなくなったと反発されます。そのため、店を紹介するテレビの生放送で、恵里はランチを止めると宣言します。落ち込んでいたその日の夜、一風館に大音量が鳴り響きました。肺炎をこじらせた島田がヘッドフォンを耳に当てたまま部屋で倒れていました。恵里は親身になって世話をやきます。
54話ネタバレ
連続テレビ小説 ちゅらさん 第54回 「暁(あかちち)のアリア」
一風館
ブルウマウンテン
恵里「島田さん! 朝食ですよ! 島田さん?」
(ドアが開く)
島田「もういいかげんにしてくれ。」
恵里「島田さん?」
島田「あ!」
恵里「大丈夫ですか? 島田さん!」
看病する恵里
恵里「すごいね!」
恵里「あ! 起きました?」
島田「いや…。 どうして もう…。」
恵里「え? 何がです。」
島田「どうして そんなに…。」
恵里「おせっかいですか? 『弱ってる人には おせっかいしろ』と 子供の頃から おばぁや お母さんに言われてて。 すみません 覚悟して下さいね。そうだ おなかすいてないですか? 何か おなかに入れて薬を…。」
恵里「島田さんは あの病院で 清掃の お仕事されてましたね? この薬 見せた時 すぐ 名前 分かりましたね? どこにも そんなの 書いてないのに 何で 分かったんです?」
島田「お願いだから ほっといてくれないか。」
恵里「いやです。」
島田「あんたぐらいの子は 私みたいな年寄りは きらいだろ。」
恵里「何でですか?」
島田「『汚いし こうるさい』と 思うのが 若者なのでは?」
恵里「そんなの おかしいよ。 お年よりは 偉いんですよ。 だって それだけ 長く生きてる。 いろんな事 知ってて偉い。」
恵里「当たり前です。 東京では違うの? 沖縄では お年よりは偉いですよ。 私も おばぁを尊敬してます かなわないです おばぁには。」
島田「(ため息)そうですか!」
恵里「はい。」
島田「あの時 あのアリアを聴きながら 死にたかったんだ。」
恵里「え?」
島田「その方が よかったんだ。 あのままにしておいてほしかった。 その方が よかったんだ。」
恵里「そんな…。」
島田「あのまま死ねたら 最高だった。」
恵里「死にたいんですか?」
島田「死にたいね。 頼むから 帰ってくれ。」
恵里「なんで そんな事 思うんですか? そんな事 思っては いけないと思います。 おばぁに教わりました。 沖縄には 『命(ぬち)どぅ宝』という言葉があります。『命が 何よりも 一番大切』という 意味です。」
恵里「『生きる事が 一番大切』という 意味の言葉です。『死んでもいい』とか『死にたい』と そんな事 思っては いけない。 間違ってます 絶対。」
島田「きみには 分からんよ。」
恵里「分かりません 分かりたくもない。 だって もっと 生きたかったのに 死にたくなんか ないのに 死んでいく人も いるんですよ。」
恵里「もっと もっと 生きたいのに 死んでいく人も いるんですよ! お願いだから そんな事 言わないで下さい。 お願いです。『死にたい』なんて 言わないで下さい。 お願いです。」
島田「悪いけど。 帰ってくれないか。」
ダイニング
みづえ「コーヒー 飲もう?」
恵里「はい。」
みづえ「私 立ち聞きしちゃったの。」
恵里「え?」
みづえ「管理人が 一番してはいけない事。」
恵里「あ いえ。」
みづえ「あなたの言ってる事は 正しいと思うわ。 でも 人間は 正しい気持ちだけで 生きてる訳じゃ ないわよね。」
みづえ「島田さんが あのまま死にたかった という気持 私 分かる。 正しくは ないかも しれないわね。 でも 分かる。 難しいわね 人間って。」
恵里「はい。」
みづえ「飲まない?」
恵里「はい。 頂きます。」
みづえ「おいしい?」
恵里「はい。」
みづえ「よかったわ!」
屋上
恵里「文也君も 同じように思うよね? 思うよね 文也君。」
ひょっとすると この2人は 今 同じ思いを 胸に秘めているのかも しれないね
恵里「そうだよね 文也君。 うん… そうに決まってるさ。」
ブルウマウンテン
島田「(ため息)」
恵里「薬 飲んで下さい。」
島田「だから 私はね…。」
恵里「飲んで下さい。 飲んでくれないと 私 絶対 ここ動きませんからね。 本当ですよ! 飲んだら帰ります。 私も 何か レコード聴きたいな。」
島田「触らないで!」
恵里「飲んで下さい。」
島田「飲んだら 帰る?」
恵里「はい。」
島田「それじゃ はい。 飲んだ! 帰って。」
恵里「じゃ 次の薬の時間に。」
島田「え?」
恵里「じゃ 失礼します。」
島田「やれやれ。」
グアテマラ
真理亜「え? 私が?」
恵里「薬の時間になったら 島田さんを よろしく お願いします。」
真理亜「やだよ。 何で 私が そんな事しなきゃ なんないのよ。」
恵里「だって 管理人さん すぐ寝るので 当てに ならないんですよ。」
真理亜「そんなの 私に関係ないわよ。」
恵里「ありますよ。 昼間 ほかに いる人 真理亜さんしか いない。」
真理亜「は?」
恵里「とにかく よろしく お願いします。 1時ですからね。 私 これから 病院に行ってきます。 じゃ!」
真理亜「やだからね!」
恵里「お願いします!」
真理亜「(ため息)」
北栄総合病院
休憩室
遥「はい。」
文也「ありがと…。」
受付
恵里「すみません!」
聡子「あなたか? 具合は どう?」
恵里「やっと薬を飲んでくれるように…。 いろいろ ありがとうございます。」
聡子「どういたしまして。」
恵里「はい。 治りかけは油断してはいけないと 思いまして。 それで どんな事に注意してら いいか 相談に乗って下さい。」
聡子「そうね。」
恵里「はい。」
看護婦「16号室の山田さん 急変!」
聡子「ちょっと 待ってて。 佐藤先生 連絡して!」
看護婦「16号室の患者さん 急変です。 すぐ いらして下さい!
廊下
聡子「大丈夫ですからね! 大丈夫ですよ!」
恵里が 看護婦さんの仕事を すぐ近くで見たのは この日が 初めての事でした
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