ドラマダイジェスト

土曜ドラマシリーズ 「ちゅらさん4」1話「おばぁの涙(なだ)」

おまたせしました!ちゅらさん最新作が土曜ドラマに登場です。舞台は2007年、お正月。古波蔵家の面々が那覇に勢ぞろいします。しかし、家の貯金がなくなっていることが発覚。恵文(堺正章)が使ったことはわかったものの、理由をどうしても言わず…。

1話ネタバレ

土曜ドラマシリーズ 「ちゅらさん4」1話ネタバレ

いや~ きれいな海だね いつ見ても 沖縄の海はいいさ あれ 皆さん お久しぶりでございますね お元気ですか?

おばぁは ますます 元気で ございますよ 嫌なニュースの多い世の中だけど『ちゅらん』を見て みんな 優しく強く 生きていきましょうね さてさて いよいよ お待ちかねの『ちゅらさん4(よん)』うん? 違うか?

恵理・文也・和也「『ちゅらさん4(フォー)』!」

…の始まりさぁ

恵理「ウェルカムです!」

私の自慢の孫娘 恵理は 沖縄県 八重山の小浜島で生まれてね 高校を卒業して 状況し 東京では『一風館』というアパートで 優しい人たちに囲まれ暮らし 看護師になったわけさ

恵理「文也君のことが… 大好きです」

小学生の時の小浜島にやって来た 初恋の人 文也君と結婚し 和也を授かったわけさ もっと いっぱい しゃべりたいことがあるんだけどね 今は ふるさとの小浜島に帰り 家族3人で 暮らしているよ

沖縄・小浜島 2006年12月

こはぐら壮

恵理「和也! 和也 起きなさい! 遅刻するよ! もう 起こさないよ! 知らないからね お母さん!」

和也「うるさいな… 分かってるさ」

恵理「はっ? 何て言った?! 今 うん?」

文也「さ… さあ 食べようね」

恵理・文也「いただきます!」

文也「和也 いっぱい食べろよ」

恵理「『いってきます』は?」

和也「いってきます」

恵理「はい いってらっしゃい 気をつけてね」

和也「何を気をつけるわけ? この島で」

得rい「まったく かわいくないね 最近 小さい頃は かわいかったのによ!『お母さん お母さん』って言ってからに」

文也「しょうがないだろう それは それだけ 大人になったってことなんだから」

恵理「そうだけどさ…」

文也「それだけ 俺たちも 年くったってことだよ」

恵理「うん… おばさんになった? 私」

文也「いや そういう意味じゃなくてさ」

恵理「本当? 変わらない? 全然」

文也「いや 全然ってことは… もちろんさぁ」

恵理「あら やっぱり? であるよね~」

文也「ほんと 最近 那覇のお母さんや おばぁに似てきたな…」

恵理「…うん?」

古波蔵家

ハナ「うん?」

勝子「うん?」

こはぐら壮

恵理「何?」

文也「…いや 何でもない いってきます」

恵理「いってらっしゃい 気をつけてね!」

文也「は~い」

道中

文也「確かに 気をつけるものなんて あんまりないよな~ う~ん!]

文也「あっ!すみません ごめんね」

こはぐら壮

恵理「おばさんに…? なってない なってない! なってないさ うん 許容範囲 許容範囲 大丈夫 上等 上等! いけてるさぁ!」

そうやって 自分に甘くなるると 危ないんだけどねぇ

恵理「えっ?」

言い忘れましたが 東京から戻った恵理は 島で 訪問看護の仕事を

文也君は 島に一つの診療所で お医者さんとして働いています

この2人 着実に 勉強したことを 役立てて 成長しているさね

訪問看護中の恵理

恵理「どこか痛いとこありますか?」

男「恵理ちゃんも 全然 変わらんな」

恵理「えっ? そう? ありがとう おじさん」

男「ミス 小浜さ」

恵理「あら! 嫌だ おじさん! 私は ミスじゃないさ」

男「でも 島の女は半分以上は おばぁだからな ハハハハ…」

恵理「おじさん 注射しようか 大きめの」

男「やめて…」

和也の木

恵理「あ~ 東京は どんなしてるかね~」

文也「うん」

恵理「私がいなくて 大丈夫かね~」

文也「大丈夫だろう」

恵理「うん… あっ ねえねえ 撮って 撮って!」

文也「ああ いくよ」

恵理「はいたい 恵理で~す! 皆さん 元気ですか~? 今日は 美しい夕日を お届けしま~す!」

東京・一風館

一風館の人々「ほ~う いいねぇ!」

懐かしいね 一風館の皆さんも 元気そうだね

恵理『西表に沈む夕日 きれいでしょう? そして 私も きれいでしょう?」

おや? 容子さんの この表情 容子さんにしては 珍しく ちょっと シリアスだね

おやおや あらあら これは どういうことなのかね? まったく でもまあ 恵文のことだから どうせ大したことはないはずだけど いったん 忘れようね

2007年 元旦

さてさて テレビの前の皆様は とっくにお正月気分は抜けたかね? こちらは やっと…

和也の 木

3人「明けましておめでとうございます!」

恵理「いい年にしようね 今年も」

文也「うん」

和也「はい はい」

恵理「さあ 那覇に 挨拶に行こうか!」

那覇・古波蔵家
居間

古波蔵家一同「明けまして おめでとうございます!」

ハナ「おめでとうね イイソーグワチ」

恵文「いや~ 楽しいね! 今日はさ 飲んで 歌って踊ろうね 正月だからよ~」

ハナ「いつもと どう違うか? お前の場合は」

恵文「おばぁ…」

勝子「そうですよね~」

奈々子「お父さん 今 この子 うなずきましたよ おばぁの言葉に」

祥子「えっ? ちょっと…」

勝子「だって そのとおりなのにね」

祥子「い… いや…」

恵理「文也君 お父さんみたいには ならないで」

文也「えっ… いや… そう言われても『はい』とは言えないさ 一応 立場的に」

恵文「大丈夫さ 文也君は」

文也「えっ?」

恵理「大丈夫?」

恵文「どんどん こちら側に 近づいているわけさ」

文也「えっ? あの… いや…」

恵文「何?! その泣きそうな顔は?!」

文也「い… いや…」

恵理「大丈夫 文也君 そんなことないよ 私が そうはさせないから」

勝子「頑張ってね 恵理 一度こうなったら もう 元には戻れないからさ」

恵理「だからよ」

恵文「えっ 何なわけ それは? まあ それはいいとしてさ 飲みましょうね~!」

ハナ「(せきばらい)」

勝子「文ちゃん その前に」

恵文「ん? …あっ」

仏壇

ハナ「(祈る声)」

おっと 言い忘れておりましたが 古波蔵恵尚は 例によって 旅に出ておりまして そして また 我らが古波蔵恵達は 音楽の勉強を 本場でするために アメリカは ニューオリンズという 場所へ 旅に出ておりまして…

ああ まともな者がいないね 古波蔵家の男には 頼むよ 文也君

恵理「うん? どうしたの? 文也君」

文也「いや いや… 何か急に ちょっと肩が重くなってさ…」

恵文「あれ~ 大丈夫か~? 若いのに 俺なんか 肩 軽いよ ほら」

勝子「だろうね 何にも 背負ってないからね」

恵文「…であるわけさ 何にも背負ってないからね ハハハ… えっ?」

勝子「バカだね~ 本当に」

奈々子「あの… おばぁ」

ハナ「何ね?」

奈々子「いや… あの… この2人 こうやって 写真飾ってると なんか 死んだ人みたい何ですけど…」

祥子「…だよね」

一同「はあ…」

ハナ「何言ってるわけ? 死んだら こっちでさ」

祥子「…うっ!」

奈々子「なるほど」

ハナ「大丈夫よ おばぁも 勝子さんも あんたたちも ここにいるみんな 家族だから この2人が死んだら 離れていても ちゃんと分かるよ」

恵文「…であるわけさ」

奈々子「そうですよね! 分かりますよね!」

祥子「えっ?」

奈々子「えっ? あっ! ちょっと おばぁ!」

恵文「まあ 死んでいないのは 生きてる証拠ということでさ まあ みんな パッといきましょうかね」

恵理「何ね それ?! 意味分からん」

居間

ハナ「はい」

和也「ありがとう!」

恵文「はい おめでとうね」

和也「ありがとう」

恵文「おめでとうね」

祥子「ありがとうございます」

奈々子「はい 姉え姉えから」

和也「ありがとう」

恵理「はい 私たちから」

祥子「ありがとうございます あっ 和也 はい おめでとう」

和也「ありがとう」

文也「よかったな~」

奈々子「いいな 私 出ていくだけだよ」

祥子「こんなにもらったよ よかったね~」

恵文「じゃ これで 全部かな?」

島袋「明けまして おめでとうございます 島袋です! イイソーグワチデービル ごちそう いただきに来ました!」

一同「おお!」

島袋「えっ? どうしました?」

ハナ「今年は 間がいいね」

恵文「すばらしいね 島袋君 いい時に来たさ」

島袋「えっ? あっ! ちゃんと用意してあるさ 用意してるよ ほら! はい おめでとうね もちろん 沖縄のお年玉は 二千円札さ」

恵文「ほう~ ああ 本当だ!」

和也「ありがとうございます!」

恵理「和也 買い物行きたいんでしょう? いいよ 行っといで」

和也「えっ いいの?」

恵理「うん」

文也「いってらっしゃい」

和也「いってきます!」

恵理「気をつけてね」

和也「分かってるよ いちいち言わんでも!」

恵理「かわいくないね… うん?」

島袋「…うん?」

恵文「島袋君 いただきますと言わんと どうするわけ?!」

島袋「ああ…」

恵文「いただきます」

一同「いただきま~す!」

一風館

一同「明けましておめでとうございます」

静子「おいしそうだな~!」

真理亜「う~ん…!」

静子「すごいな みづえさん」

柴田「いや~ 本当に すばらしい あっ 皆さん 私の作ったあれ 見ていただけました?」

島田「(せきばらい)」

みづえ「さあ 始めましょう」

静子「は~い!」

みづえ「容子さん 大丈夫よ 栞ちゃんのアレルギーが出るようなものは 何にも使ってないから」

容子「みづえさん ありがとう」

柴田「ありがとうございます」

みづえ「いいえ 任しといて」

お年玉

栞「ありがとう」

容子「ありがとう」

静子「でも あれだね 容子さん 柴田君 栞ちゃん これから楽しみだね」

柴田「もう 楽しみで 楽しみ…」

容子「似てないから」

柴田「いや それではありません」

柴田「運動会… 小学校に入って初めての運動会 私は 寝袋持参で 徹夜で 陣取りをする 一番いい場所で 栞を見たい カメラに収めたい ビデオに残したい その一心で 私は もちろん一番乗りだ だが 前の晩は嵐 激しく降る雨 吹き荒れる風 神様 お願いだ! 明日は… 明日だけは 晴れてくれ!」

柴田「私は ずぶぬれになりながら 天に願う! あっ! そのかいあってか 翌日は 日本晴れ! すばらしい運動会日和とは このことだ! そして そして いよいよ 1年生の徒競走が始まる! 栞の番だ! ビデオカメラを持つ手が 震える 緊張で… 痛い!『位置について ヨーイ ドン!』一斉にスタートだ! 栞はどうした?」

柴田「おお なんと栞は先頭だ! いや~ なんと すばらしい すごい! そのまま… そのままコーナーを回って ゴールに向かって1着だ~! だが… だが だが だが! その時 栞は つまずいて 転倒してしまった オー マイ ゴッド! オー マイ ゴッド!」

柴田「なんてこった~ 立て! 立つんだ 栞! 最後まで… 最後まで走るんだ 順番なんか どうだっていい もう そんなものは 関係ない お父さんにとって 栞は… 栞は いつでも1等賞だ… その時 歯を食いしばって 何とか 懸命に立ち上がって 必死で走りだそうとする栞 すりむいた ひざ小僧が より一層 涙を誘う 周りを見たら 誰もいない そう みんなは もうゴールしてしまっているのだ それでいい 最後まで 最後まで走ろう 父も一緒だ! 私は ビデオカメラを捨てて ともに走る ゴール前で 栞を迎えるために!」

柴田「さあおいで! お父さんの胸 目がけて 走っておいで さあ 栞! あと少し あと少しだ! ああっ! ほおに涙の跡が… ああ なんて かわいい なんて けなげなんだ 時よ 止まれ! 君は 美しい… そして 私の胸に飛び込む栞 グラウンドは 感動の拍手だ」

真理亜「ふふん そんな かわいかった娘も成長し 女子高生に 近頃じゃ 父親と 口もきかない それどころか…『ねえ お母さん 洗濯物さ あのオヤジと一緒にしないでくんない くさいし マジ ありえない …ていうか できれば 洗濯機 別にしてほしいくらいなんだけど』それでも父は『そんなこと言うなよ』と 媚を売ってみるが『はっ? マジ うざいんだけど』そんなある日 仕事で行った渋谷の街で なんと 父は 娘と 偶然 出会う!」

真理亜「友達と一緒の娘 笑顔になる父『よし ここは 理解ある父を演じ お小遣いの ひとつでもあげれば 少しは 好かれる』と 笑顔で 手を振ってみる『ゲッ!』だが 娘は『誰 あれ? 知り合い?』と友達に聞かれ…『知らない あんな きもいオヤジ 行こう』と とっとと 去ってしまうのであった」

柴田「やめてください!」

真理亜「な~んて娘に… 栞は… ならないよ」

柴田「えっ?」

真理亜「容子さんの娘だからさ…」

柴田「ああ…」

静子「よかったね~! 柴田君」

柴田「はい ありがとうございます ありがとうございます」

真理亜「ちょっと! 何? 何よ? わっ!」

古波蔵家
居間

文也「あっ 出た出た! おおっ! 行け! いい感じ いい感じ」

台所

恵理「やっぱり 小浜には 全然 ゲームとか売ってないし 石垣に行ったけど 那覇しかないのもあるらしいわけよ]

祥子「なるほどね そうだろうね」

恵理「やっぱり テレビとかで見るからね 欲しくなるよね」

奈々子「そりゃ そうだよ」

恵理「…だよね」

勝子「分かるな… 恵理もあったさ」

恵理「えっ 私も? ゲーム?」

勝子「ゲームじゃないけどさ 何だったかね あれは… 何か テレビのアニメかなんかで 魔法使い何とかっていう… それの洋服を 恵理が欲しがってね」

恵理「へえ~」

勝子「もう 毎日 毎日 言うわけさ でも 売ってないさあね それに お金もないし 私が 見よう見まねで作ったわけ」

ハナ「そうだったね」

祥子「へえ… すごい」

奈々子「うん」

勝子「でもね 今にして思えば かわいそうだったけど どこか 間違ってたんだろうね 色とかさ でね 恵理は 学校で それを からかわれたらしくてさ そしたら 怒ってね 恵理は インチキだとか言った友達に『お母さんが 作ってくれたんだのに!」って」

勝子「すごい怒ってよ 友達に 泣きながら それで 大ゲンカして その夜は 私も泣いたさ もう うれしうて うれしくて 胸が こう キュ~ッとなってしまってね」

恵理「え~ 覚えてないさ 全然」

ハナ「子供は 忘れていいさ でも 親は いつまでも覚えてるもんだよ」

勝子「そうですね…」

恵理「そっか…」

居間

文也「お~っ! あ~っ 駄目だ…」

恵文「ああ… ふ~…」

文也「あっ 惜しい 惜しい おつ うまい うまい 和也 うまいじゃん」

ハナ「恵文!」

恵文「はい!」

勝子「どうしました? おばぁ えっ? ない… 文ちゃん?!」

恵文「あっ… いや あの その… えっ ない? な… 何でかね~…」

勝子「恵文さん!」

恵文「はい ごめんなさい!」

ハナ「(ため息)」

勝子「座りなさい」

恵文「はい 座ります」

小浜島

祥子「あの… お母さん」

勝子「いいの!」

恵理「お母さん でもさ…」

勝子「いいから! 久しぶりだね 小浜 楽しもうね! あっ 久しぶりだね」

男たち「お~ 久しいぶり 元気?」

恵理「いいのかね 本当に…」

古波蔵家

恵文「おばぁ…」

一風館

奈々子「…というわけなのよ」

みづえ「まあ」

真理亜「よく分かんないんだけど 何で そうなるの?」

島田「お金を持ち出したのを認めた ところまでは 分かったんだけどね」

柴田「ですよね その後が 急展開すぎて ついていけません」

真理亜「そう そう そこよ そこ ちょっとね 構成的に 無理がある 強引すぎるっていうか」

みづえ「そうよね」

柴田「はい」

島田「確かに」

奈々子「ちょっと待って もう一度 整理するからさ 古波蔵家は 読めないのよね 展開が

回想

勝子「どういうこと? 文ちゃん」

恵文「どういうことと申しましてもですね… あ… あれさ… そんな~ もう 正月早々 怖い顔するのは やめようね」

勝子「それは 恵文さんの立場の人が 言うことじゃないでしょうが!」

恵文「あっ… であるね う~ん… え… 恵理」

恵理「はっ?」

恵文「恵理が言いなさい 正月なんだから やめようって」

恵理「はあ? 何言ってるわけ? 言わないよ そんなこと」

恵文「何で?! 大事な日だよ 正月というのは!『一年の計は 元旦にあり』と言ってさ」

文也「お父さん! …ちょっと違う気がします」

恵文「何でよ?!」

勝子「(せきばらい)」

恵文「あっ… はい すみません」

勝子「何に使ったの? お金 少ない額じゃないよ」

恵文「えっ? まあ… 勝子 ほら 子供もいるし… ね?」

勝子「子供に言えないようなことに 使ったわけ」

恵文「そうじゃないけど… 何 言ってるの?!」

勝子「じゃあ 何?!」

恵文「いや… だからよ…」

奈々子「和也 あっち行こうか」

祥子「あっちで 一緒に ゲームしよう」

回想終了

奈々子「…なので ここから先は 耳で聞いたことを 多少の私の想像というか 演出を含めて 再現するわね」

真理亜「おう なるほど」

柴田「分かりました」

回想

恵文「いや …だからさ」

恵理「お父さん 白状した方が楽になるよ」

文也「そうですよ」

恵文「白状って… そんな 犯人みたいに!」

恵理「犯人さ」

恵文「いや だからさ…」

勝子「何に 使ったわけ?」

恵文「いや… 何ってことはないさ 何でかね~ お金というものは なくなってしまうもんだね ハハハ… ねえ!」

ハナ「おばぁは もう寝ようね」

勝子「お母さん…?」

恵理「大丈夫? おばぁ」

ハナ「おやすみ」

回想終了

真理亜「ほう… それで?」

奈々子「うん? いや… それで あの… 夜中に おばぁと お母さんが 何か 2人で 小さい声で しゃべってたんだけど 何を言っていたのか 聞き取れなくて… それで 朝…」

回想

恵理「お母さん」

勝子「いいから ほら みんな 行くよ!」

恵理「おばぁ 大丈夫なのかね?」

祥子「うん…」

勝子「ほら! ぐずぐずしない!」

祥子「はい すみません

回想終了

奈々子「…というわけなんです で 私は仕事なので 東京に戻ったというわけです」

みづえ「おばぁ 大丈夫なのかしらね 何か 心配ね」

奈々子「はい」

柴田「勝子さんの行動も 気になりますよね…」

奈々子「あれ? ねえ そういえば 容子さんは?」

柴田「ちょっと 出かけてくるって 言ってました」

奈々子「そうなんだ」

真理亜「ちょっと 柴田」

柴田「はい?」

真理亜「容子さん 最近 何か おかしくないか?」

島田「何か 悩みがあるみたいだね」

真理亜「うん! …何よ?」

柴田「えっ? いや 僕にも分かりません」

みづえ「栞ちゃんのアレルギーのことかしら?」

柴田「いや それは 違うと思います… いや 確かに 分かった時には 夫婦で 悩みましたけど でも 今は もう大丈夫です」

真理亜「じゃ 何よ? 離婚したいとか? あんたと」

柴田「いえ! そんな…」

みづえ「何だか 寂しそうなのよね 時々 何か ぼうっと考えごとして 遠くを見てるような時があるの」

柴田「いや… 容子さん 去年 長野のお母さん 亡くしたじゃないですか お父さんも 随分前に 亡くされて… それ以来 何となく『私には もう 帰る場所がないんだな』って 時々…」

真理亜「う~ん…」

ゆがふ

静子「えっ 本気なの? 容子さん」

容子「うん… 何か もう 頭から そのことが 離れなくなっちゃってさ… 何かさ 理屈じゃないんだ」

静子「なるほど」

容子「何となく 相談できるの 静子さんしかいなくてさ あっ 誰にも まだ内緒だよ 柴田君にも 相談してないんだから」

静子「あら うれしい でもこれは 随分と 思い切ったことだよね ねえ?」

兼城「…であるね」

静子「…あっ!」

兼城「えっ?」

容子「大丈夫 この人 口は堅いから」

兼城「ああ 任して 任して」

容子「意志は弱いけど 口は堅い あと 女の人には弱いけど 口は 堅いから」

兼城「どうして 1つ褒めるのに 2つ悪くいうかね?」

容子「そうか そうだね ごめん」

兼城「いやいや そのとおりだけどさ でも 容子さん 大丈夫? いや 俺は どこか うれしいんだけどさ ただ 寂しいところもあるんだけど だけど そんな簡単なことではないはずよ 分かってる?」

容子「うん… 分かってる どう思う? 静子さん」

静子「賛成だな 私は」

容子「本当?」

静子「うん 自分の気持ちには 正直に従った方がいいよ 何とかなるって! 応援するからさ 私」

容子「ありがとう でもな…」

静子「何が 一番引っかかってるの 容子さん的には」

容子「うん…」

兼城「もしかして 真理亜ちゃんかね?」

(ドアが開く)

兼城「ああ いらっしゃい」

奈々子「どうも~!」

真理亜「あっ やっぱり いた 何やってるの?」

容子「えっ?」

真理亜「あっ 今 何か 私の噂してたでしょう? 分かるのよ そういうのは」

容子「してたわよ どうなのよ? あんたは」

真理亜「『どうなの』って 何が?」

容子「だから どうなのよ?」

真理亜「えっ? …ああ 仕事?」

奈々子「あっ 真理亜ちゃんの新しい小説 いいですよ~ あれ ねえ!」

真理亜「そう?」

静子「へえ~ まだ読んでない どんなのなの?」

奈々子「あのですね 三姉妹の話なんですよ 豪快でよく笑う 男まさりっていうか でも 優しい長女と それから 結構 思いついたら 何をしでかすか 分からないのが三女で 次女は おとなしいっていうか 結構 性格暗くて 毒舌で でも何だかかんだ言っても 本当は 2人のことが大好きなんですよ 3人一緒じゃないと駄目なんですよね~」

静子「う~ん… どこかで知ってるぞ その関係」

奈々子「あれですよね 容子さんと 真理亜ちゃんと 恵理が モデルだよね 明らかに」

真理亜「はっ? 違うわよ 何 言ってるの?!」

奈々子「私 少し やけちゃったもん 3人の絆は すごいなって 私 出てこないなって」

真理亜「だから 違うって」

兼城「歴史が長いからね その三姉妹は」

真理亜「だから… あっ… ま… まあ でも 大して売れてないんだけどさ でも 結構 評判悪くなくてさ この間も 新聞の書評で 褒めてもらっちゃった ま… まあ 小さい記事だけどね」

奈々子「へえ そうなんだ!」

静子「すごいじゃない 」

真理亜「まあね」

容子「これでしょう?」

奈々子「すごいですね 容子さん」

真理亜「やだ… な… 何なのよ このベタな展開は! やだな~ もう!」

容子「おいで」

真理亜「はっ? うわっ! ちょっと! 何なのよ 一体?!」

容子「実は 結構 巨乳でしょう?」

真理亜「えっ? うん うん だから 一体 何なのよ?!」

古波蔵家

恵文「また…! またまた おばぁ 芝居は やめた方がいいよ なっ! もう やめよう おばぁ…」

勝子「気持ちいいね~! やっぱり 八重山の海とティダは 最高だね! ねっ 祥子ちゃん!」

祥子「えっ? あっ …はい」

恵理「お母さん!」

勝子「何 その顔は?!」

恵理「『何で』って…」

勝子「何して遊ぼうかね 今日は? バーベキューでもする? 夜は 花火とか ねっ! 祥子ちゃん」

祥子「ええ いいですね 花火…」

勝子「ねっ!」

恵理「何が『ねっ!』ね~? もう 私 帰るよ」

勝子「何で?」

恵理「『何で?』って 私 仕事もあるし 和也も そろそろ帰ってくるから ご飯も作らないといけないし」

勝子「はあ… つまらんね」

恵理「『つまらん』って 何ね それは?! それに この子だって ずっと外にいたら 疲れてしまうでしょう!」

祥子「いや… その あの…」

勝子「そうだね… 分かりました 帰ります」

恵理「何ね?! その すねた子供みたいな顔は!」

勝子「あっ! じゃあ 夜 花火ね!」

道中

(子供達は争っている声)

文也「ちょっと! おい! 何やってるんだ?! おい! こら! おい! おい 和也 大丈夫か?」

文也「どうしたわけ? 和也」

和也「…何でもない」

文也「おい おい! 和也」

こはぐら壮

勝子「あ~ 気持ちいいね~! ありがとう」

文也「ただいま」

恵理「おかえり~ 何でね? 和也! どうしたわけ?」

和也「何でもない」

恵理「はっ? 和也! ちょっと…」

文也「恵理 そんな顔するな」

恵理「でもさ 分からない 最近のあの子 あんな けんかなんか するような子じゃなかったさ」

文也「てれくさいんだよ」

恵理「はっ? 何が?」

文也「中学生がさ 恵理のことで からかったらしいんだよ まあ 他愛のないことだよ お前の母ちゃん 色っぽいなとか そんなこと まあ 褒められたことじゃないけど あの年頃には よくあるっていうかさ 自分のお母さん 侮辱されたみたいで 悔しかったんじゃないのかな 勝てるわけもないのに 中学生3人に 向かってって」

祥子「やるね 和也」

文也「うん… そういうこと だから… てれくさいんだよ 恵理」

勝子「うれしいね ねえ 恵理 いい子に育ってるさ 和也は」

和也「やめれ」

恵理「何言ってる~ このてれ屋さんが お母さんは分かってるよ 和也」

和也「はあ?」

文也「恵理!」

恵理「分かってるさ あんたが きれいなお母さんのことが 一番好きなの うんうん 分かってる 分かってる」

和也「はあ? アホか」

恵理「あら?」

勝子「恵理」

恵理「うん?」

文也「うれしいのは 分かるけどさ 今のは ちょっと余計だと思うよ」

恵理「あら そうかね」

勝子「おばぁも そうなんだはずね」

恵理「ん? おばぁが? 何?」

勝子「自分の子供が 自分のことを どう思っているのか たまには聞きたいし 知りたいのかもしれないわけさ」

恵理「えっ?」

祥子「どういうことですか?」

勝子「さて 帰ろうかね 明日

古波蔵家
居間

島袋「こんにちは! 島袋です! あっ しまった! いつものくせで つい つい 来てしまったさ 勝子さんに 来ないようにって言われてたのに]

玄関前

勝子「シ~ッ!」

一同「シ~ッ!」

居間

恵文「なあ おばぁ 本当に 具合 悪くなってしまったわけ? 俺のせいで? 嫌さ! そんなのは 嫌であるよ 弱ったおばぁなんて 嫌である おばぁは 強くないと駄目! 駄目なわけよ!]

恵文「強くて 正しくて 怖くないと駄目さ そんな 弱ってる おばぁはよ おばぁじゃないさ! 幾つになっても 100歳になっても 200歳になっても こう『恵文 何やってるか?!』って 頭 はたくような それが おばぁさ…! 頼むよ… おばぁ…」

ハナ「恵文 何してるか!(恵文の頭をはたく)」

恵文「おばぁ…! そうさ! おばぁは そうでなければ! …えっ?」

ハナ「ああ おなか すいたさ」

恵文「はあ?」

(3人の笑い声)

勝子「おばぁ そうだと思って おいしいものを買ってきましたよ」

ハナ「ありがとうね」

恵文「な… 何? これ… 恵理! 何がおかしいか?! 恵理!」

恵理「でもねぇ~?」

勝子「ねえ~?」

祥子「はい」

恵文「まったく 寄ってたかって! まあ どうせ そうだろうと 思っていたさ 俺は ちゃんと 見抜いていたからよ」

恵理「今 泣きそうだったくせに お父さん」

勝子「…であるよね」

恵文「そんなわけがあるか!」

祥子「あっ! お父さん 涙の跡が…」

恵文「…えっ?」

祥子「ウソです ごめんなさい」

恵文「うっ…」

勝子「祥子ちゃん ナイスだね~!」

恵理「うんうん!」

祥子「ありがとうございます 大分 タイミングが分かってきました」

恵文「みんな 人が悪いね さあ 食べよう 食べようね」

ハナ「はっ!」

恵文「何?」

勝子「まだ 話は終わってません お金の使いみちについて」

恵理「そうか そうだったようね」

恵文「何よ もう! せっかく 場が和んできたところなのによ!」

勝子「全然 和んでません」

恵文「いや… だからさ…」

琉美子「こんにちは!」

恵理「あっ 琉美子!

祥子「久しぶりだね」

恵理「久しぶり~」

琉美子「あっ お父さん 今 家の前で これ 預かったんですけど」

琉美子「何か 入りづらそうにしていて 私が 古波蔵家に入ろうとしたら これを 恵文さんに渡してくださいって」

恵文「おう」

手紙『古波蔵恵文様 やはり お金を お借りするわけにはいきません 自分の親のことですから 何とか 自分の力でしようと思います 本当に ありがとうございました』

勝子「どういこと? 文ちゃん」

恵文「その人は タクシー会社で 事務をやっている人だけどよ… あっ 大和の人さ で その人のおばぁがよ その人のお兄さんのところにいたんだけれど お嫁さんと 仲が悪くてよ その人のところに来たいと 言ってきたって あまり 体も 丈夫じゃないらしいし…」

恵文「でも その人が住んでるのは会社の寮で おばぁと暮らすのは 無理さ どんな事情があるかは 分からないけれど 少し お金にも困っていたわけ それで 俺は その場で『お金のことなんか 心配しないでいいから おばぁと一緒に暮らしてあげなさい』って 言ってしまったわけよ 嫌なわけよ そういう話が 俺は 一番 大嫌いなわけ!」

恵文「おばぁや おじぃが 小さくなって生きるのは 大嫌いさ! 沖縄の 俺が一番好きなところは おじぃや おばぁが 強いところ いばっているところさ それでいいと 俺は思うし そうでいないといけないと思うわけ 何でって… 俺を 産んでくれた人だよ その人がいなければ 自分は この世にいないわけだから… その人を大切にしないで 何を大切にするわけ?」

恵文「何で 年をとって 小さくなって 生きなければ いけない?! それは 間違っているさ! おじぃは… おばぁは… いばってて いいわけよ 人より長く生きているということは 人生の先輩ということでしょう? 難しいことは 俺は 分からないけど 世の中は そうでないと 人はそうでないといけないと思うわけ まあ それだけは 沖縄の 自慢できるところさね」

ハナ「恵文… ありがとう」

恵文「おばぁ…」

勝子「分かりました」

恵文「うん まあ… そういうことさぁね」

勝子「琉美子ちゃん」

琉美子「はい」

勝子「その人は きれいな人だった?」

恵文「はあ?」

琉美子「なんか きれいっていうか 色っぽいっていうか…」

恵文「い… いや…」

勝子「そう それもあるわけね?」

恵文「まあ… そ… そ そ それも… あるけど…」

恵理「それもあるわけ?!」

恵文「い… いや! いやいやいや! それも ない!」

勝子「(せきばらい)」

ハナ「(ため息)」

勝子「分かりました 今年いっぱい お小遣いは なしということで」

恵文「はい! えっ?『今年いっぱい』? 勝子 今 正月だよ! そんなぁ…」

ハナ「結局 情けないね!」

恵文「嫌だよ 1年は…! 勘弁してよ…」

お騒がせしましたね こんなオチで申し訳ございませんね

一風館

玄関前

さて 一方…

容子「ああ…」

空からこはぐら壮のチラシが降ってくる

容子「え~っ?!」

小浜島
漁港

恵理「こんにちは!」

男「こんにちは」

(着信音)

恵理「あっ! もしもし 容子さん?」

容子☎『恵理ちゃ~ん 助けて~!』

恵理「えっ? 容子さん? もしもし! もしもし 容子さん! えっ? もしも~し!」

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