作戦会議
落合「古山君が音楽復帰に向けて悩んでる、曲作りの主題が見つからねーそうだ。そこで我々も協力しようというのが、この会議の議題だ」
落合「だが我々だけでは、ちと心もとね。そこで古山君の旧友・新聞記者の村野さんにもご参加いただいた」
それから3時間
取り止めのない発言ばかりの無為の時間が過ぎていきました。
鈴木「今日はお開きのしませんか?」
落合「うーん、そうだね。因みに古山君、この中で書けそうな、ご題はありますか?」
裕一「うーん、富士山は何かありそうなんですが・・・」
一同「ふー」
菊池「そういえば、今日は満月ね」
鈴木「晴れてっかな?」
満月を見に外に出る一同
鈴木「あーこれはこれは」
鉄男「いまはとて、天の羽衣着る折ぞ、君をあはれとおもひしりぬる」
鉄男の詩を聞いて何かを思いつく裕一
裕一の部屋
鉄男「竹取物語?」
裕一「そう!オペラみたいなこうこっ」
鉄男「落ち着け!」
裕一「歌のないオペラ。日本古来のメロディーをふんだんに取り入れた交響曲にすんだよ!」
裕一「鉄男君、イケる!ありがとう」
鉄男「おお、お前が音楽に戻ってくれて良かったよ。安心した」
裕一「違う、これを区切りにする。音楽に別れ告げるための儀式なんだ」
ひたすら作曲の毎日
職場でも部屋でも作曲
どんどん積み重ねついに・・
完成
裕一「出来た」
1か月後、初めての交響曲・竹取物語が完成しました。
裕一が久しぶりに深い眠りついた頃豊橋の音は・・・
春彦「音さん」
音「お断りしたハズです、帰ってください」
春彦「あなたみたいな女性は他には居ない。私の気持ちを受け入れてください」
音「私は結婚する気はありません」
春彦「歌手になる夢は存じております。最大限応援します」
音「作業場は立ち入り禁止!」
作業場にて
音「帰った?」
光子「うん、良い人と思うけど?年頃だし」
音「女はどうして結婚結婚って言われるの?そりゃ、それはそれで幸せかも知れんけど、なんか男は色んな可能性があって自由なのに女はそれしか道がないちゅーか」
音「それを求められて美化されとるっちゅうか、そんな感じしない?」
笑いだす光子
音「何?」
光子「若い頃、私も同じこと言っとったの、でもね、私はお父さんと結婚して、あんた達が生まれて幸せだった」
音「やりたいことなかったの?」
光子「本当はね・・・歌劇団で踊りたかったの。あなたと一緒」
音「えーー?初めて聞いた。どうして今まで黙っとったの?」
光子「夢を叶える人は1握り。あとは、人生に折り合いつけて生きていくの」
光子「それが今は不幸みたいに思えるかも知れんけど、私はあんた達のおかげで幸せ」
音「お母さん」
光子「ん?」
音「私、幸せ捨てても夢を取る」
光子「うん、それも人生ね。春彦さんには私から正式にお断りの連絡を入れておきます。私の分も頑張ってね」
音「うん」
それからしばらくして裕一の元にイギリスから手紙が届きました
結果を確認すると…
裕一「やった、やった!!」
それは国際作曲コンクール入賞の知らせでした
裕一「やった!やった!やった!!」