途方に暮れ母の手紙を読む久志
麻友「「久志は我慢強く 頭のいい子です。 自分の未来ため 佐藤家のために お父さんを支えて 立派な跡取りになって下さい』。」
たまたま歩いている母を見かける久志だったが…
久志「お母さん…? お母さん!」
麻友「お待たせ。 泣かなかった?」
「あ~ いい子だった。」
麻友「あ~ いい子だった~?」
小学校
藤堂「佐藤? どうした?」
久志「何でもありません。」
藤堂「待った!」
服を乾かすことに
藤堂「やまないな…。 どうしたんだ? 佐藤?」
久志「何もなかった。 何かあるって思ったのに… 何もなかった。」
藤堂「そうか。 ♬『うさぎ追いし かの山』 佐藤も一緒に。 ♬『小鮒つりし かの川』 ほら。」
久志「♬『夢は いまも めぐりて』」
2人「♬『忘れがたき故郷』。」
藤堂「やっぱり 君 いい声してるよ。 よし! こっち来て。 もう1回 大きな声で。 せ~の!」
2人「♬『うさぎ追いし かの山 小鮒つりし かの川』」
佐藤家
久志「ただいま~。」
玲子「久志ちゃん どこ行ってたの!? 早く入って。 こんなに冷えて… 風邪ひいちゃうじゃない。 本当に もう~ 心配したんだから…。 よかった。 はあ… よかった。」
久志「あの…。」
玲子「何?」
久志「はんぺん まだありますか? お母さん。」
玲子「もちろん! お風呂 湧いてるから ごはんの前に あったまっといで。」
幸代「着替え お風呂場に出しておきすね。」
久志「うん! あ~ おなかすいた!」
現在 鉄男のおでん屋
久志「あんな大きな声で歌ったのは あれが初めてだった。 ぐちゃぐちゃになった気持ちが バ~ッと出て ス~ッて消えてさ。 ああ 歌っていいな~って。」
回想
藤堂「いいじゃないか!」
回想終了
久志「藤堂先生に感謝してる。」
裕一「聴きたいな 僕も 久志の『故郷』。」
久志「いや タダじゃ嫌だな~。」
裕一「じゃあ おつぎしますよ。」
久志「フフッ。」
鉄男「ほい。」
裕一「おっ!」
鉄男「ほい。」
裕一「大将から? フフフ。」
鉄男「はんぺん。」
久志「♬『うさぎ追いし かの山 小鮒つりし かの川 夢は いまも めぐりて 忘れがたき故郷』。」