あらすじ
酔っ払ったはな(吉高由里子)を家まで送った英治(鈴木亮平)は、英英辞典が漬物石代わりに使われているのを見て、はなに英語をやめてしまったのかと問う。はなは、甲府にいた自分の気持ちなどあなたに分からないと言って、酔いつぶれてしまう。翌朝、かよ(黒木華)から昨夜のことを聞くが全く覚えていないはなは、反省しきりで出勤。謝るはなに梶原(藤本隆宏)は、宇田川(山田真歩)への連載依頼をはなに命じる…。
68回ネタバレ
カフェー・ドミンゴ
はな「西洋の焼酎 もう一杯下さ~い!」
梶原「それくらいにしといたら?」
醍醐「3杯で酔っちゃうなんて…。」
はな「まだ酔ってませんってば!」
かよ宅
英治「おうちまで送ります。」
かよ「助かりました。 ありがとうございました。」
英治「いえ…。」
はな「あ~! あっ 逃げるだけ?」
英治「逃げませんよ。」
はな「うわ~! あなたのくれた辞書 なかなか役に立つじゃんね。」
英治「花子さんは 英語をやめてしまったんですか?」
はな「てっ 花子! 花子なんて呼ばれたら 酔いがさめちもうら。」
英治「英語の翻訳 続けてなかったんですか?」
はな「エヘヘヘ… フフフフフフ。 村岡さんって 田舎に住んだ事なんか ねえでしょう?」
英治「ええ。」
はな「やっぱしね~。 おら 甲府に 6年も引っ込んでたですよ。 英語の本なんて一冊もねえ。 英語を話す人なんて一人もいねえ。 英語なんて う~んとこさ遠い世界の話じゃん。」
英治「英語からは 全く離れてたんですか?」
はな「たまに 生徒たちと 遊びで使ってましたけんど…。 グッド モーニング。 グッド アフタヌーン。 グッド イブニ~グ! うちのおとうも言ってました。 英語なんて これさえ覚えときゃ なんとかなるって。 アハハ! 何 そんな怖い顔して。」
英治「あなたには 翻訳の才能があるのに 残念です。」」
はな「あと もう一つ思い出した。 ゴー トゥ ベ~ッド! バイバ~イ!」
(猫の鳴き声)
はな「イタタタタ…。」
かよ「二日酔いずら。」
はな「おら 昨日 歓迎会から どうやって帰ってきたでえ?」
かよ「何にも覚えてないだけ。」
はな「う~ん…。」
かよ「村岡さんが お姉やんをおんぶして うちまで送ってくれたじゃん。」
はな「てっ! 村岡さんって あの村岡印刷さん?」
かよ「ここで管巻いたのも 覚えてないだけ?」
はな「管巻いた!?」
かよ「英語なんて 遠い世界の話とか言って 村岡さんに絡んでたじゃん。」
はな「て~…。」
かよ「お姉やんが こんなに酒癖悪いとは 知らなんだ。 大切な英語の辞書 漬物石なんかにして ごめんね。 これ 村岡さんにもらっただけ?」
はな「うん。 昔 出版社で働いてた時に。 でも 今は 使う機会もないし。」
かよ「村岡さん 何だか悲しそうだったじゃん。」
聡文堂
はな「昨日は せっかく 歓迎会を開いて頂いたのに ご迷惑をおかけしてしまって 申し訳ありませんでした。」
梶原「いやいや 無理やり飲ませた 僕たちも悪かったよ。」
三田「新人のくせに 調子に乗り過ぎだよ。」
醍醐「そういえば 村岡さんも お呼びしたのに いらっしゃらなかったですね。」@梶原「急ぎの仕事でも入ったんだろう。」
はな「はあ… もう合す顔ねえ… 消えちまいたい…。 いや こぴっと謝らんきゃ。」
梶原「安東!」
はな「はい。」
梶原「今日は 宇田川先生のとこに 行ってきてくれ。」
はな「宇田川先生… ですか?」
回想
宇田川「こっちは 命懸けで書いてんのよ。 田舎教師の趣味と違うの。」
回想終了
梶原「『赤い鳥』が 芥川龍之介や有島武郎のような 大作家に書かせるなら こっちは 今 飛ぶ鳥を落とす勢いの 宇田川満代で勝負したい。」
醍醐「小説の連載をお願いしたくて 編集長や私たちで 口説いてきたんだけど いまだに引き受けて頂けないの。」
梶原「彼女は 君と同じ賞を 受賞しているから なにかしら 君に親近感もあるだろう。 君は 書く側の気持ちも分かる。 安東君から説得してもらえば うまくいいくかもしれない。」
醍醐「我が社の運命は はなさんに懸かってるのよ。」
はな「こぴっと頑張らせて頂きます! 宇田川先生のお宅は どちらでしょうか?」
醍醐「先生は ゆうべのカフェーで お仕事してる事が多いの。」
はな「早速 行ってきます!」
須藤「ちょっと 大げさに 言い過ぎたんじゃないですか?」
梶原「まあ やる気になったみたいだから いいじゃないか。」
カフェー・ドミンゴ
<宇田川満代。 はなが最も苦手な女です。 でも そんな事は 言っていられません。>
かよ「いらっしゃいませ。 お姉やん。 どうしたでえ?」
はな「作家の宇田川先生に原稿の依頼。」
かよ「もう 仕事任されたの? すごいじゃん! あっ。」
宇田川「コーヒー お代わり!」
かよ「はい ただいま。」
宇田川「あっ 『みみずの女王』だ。 何で こんなとこで コーヒー運んでんのよ。」
はな「お久しぶりです 宇田川先生。」
宇田川「何なの?」
はな「ご執筆中に申し訳ありません。 ちょっと お話ししたいのですが。」
宇田川「執筆の邪魔してまで したい話って?」
はな「お願いします! 新しい児童向けの雑誌に 小説を書いて下さい!」
宇田川「何で 『みみずの女王』から 原稿の依頼されなきゃ いけないのよ。」
はな「えっと… あの… この度 私 聡文堂で働き始めたんです。 編集者として。」
宇田川「あなた 作家も向いてないけど 編集者は もっと向いてないわ。 さっさと田舎へ お帰んなさい。」
はな「ほんな… おととい 甲府から 出てきたばっかりなんですよ。」
宇田川「知らないわよ そんな事。」
はな「宇田川先生?」
宇田川「あなた 逢い引きした事ある?」
はな「いえ…。」
宇田川「いい年して 逢い引きした事ないの。」
はな「あ… すいません! これ 次の連載小説ですか?」
宇田川「『文芸東洋』に書くのよ。 取材しようと思ったのに 役に立たないわね。」
はな「あっ 待って下さい! うちの雑誌にも書いて下さい!」
宇田川「私は もう 子ども向けの話なんて 書かないわ。」
はな「どうしてですか? 宇田川さんの『つむじ風の乙女』 すばらしかったのに…。」
宇田川「あなたと違って 私は 更に高みを目指してるの。 私の才能を 子ども向けの雑誌なんかに 費やすつもりないわ。 日本文芸界の損失よ。」
はな「お言葉ですが 子ども向けだから 大人の小説より価値が低い という事はないんじゃないですか。」
宇田川「仕事の邪魔した上に この宇田川満代に意見する気?」
はな「あっ すいません! すいません…。」
宇田川「あなたの顔見たら 余計 書きたくなくなったわ。」
かよ「あっ! あの お勘定。」
宇田川「梶原さんに付けといて。 この人の迷惑料よ。」
(ドアが閉まる音)
「今日は せっかくのコーヒーの味が 分からなかった。」
かよ「すみません! おいしくなかったですか?」
「いや あの 鼻持ちならない 女の作家のせいで。 あなたも大変ですねえ。」
はな「いえ…。」
「しかし 宇田川先生とやらに 1つだけ 共感できる事がありました。 あなたは 編集者には 全く向いてない。」
はな「てっ…。」
「悪い事は 言わない。 早く 国に帰った方がいいですよ。」
聡文堂
梶原「ハハハ 安東君 捕まえて 逢い引きの取材をするとは 彼女らしいね。」
はな「あの… 宇田川先生は いつも そうなんですか?」
梶原「彼女に限った事じゃない。 作家が飛びつくような題材を 提供するのも 編集者の大事な仕事だよ。」
醍醐「まだ1回目じゃない。 頑張って。」
梶原「そうだよ。 当たって砕けろだ。」
須藤「編集長 そろそろ。」
醍醐「私たち これから広告取りだから 留守番 お願いね。」
はな「はい。」
梶原「頼む。」
はな「行ってらっしゃいませ。」
醍醐「行ってきます。」
はな「あ… ゆうべは 失礼致しました。」
英治「こちらこそ。 僕も あれから反省してたんです。」
はな「どうして 村岡さんが反省するんですか?」
英治「あなたの事情も分からないのに 自分の勝手な思いだけを 口にしてしまいました。 この6年間 あなたは きっと 僕には想像もつかないほど 大変だったんですよね。 学校のほかに 家の仕事もあったでしょうし ナマケモノの集中力を 発揮する余裕もないほど 忙しかったんでしょう。 責めるような事を言って すいませんでした。」
はな「そんなふうに謝られたら 私 本当に どうしたらいいか…。 あの… ゆうべ 自分で言った事も あなたに言われた事も 覚えてないんです…。」
英治「えっ? そんなに酔ってたんですか…。」
はな「本当に申し訳ありません…。」
英治「はあ…。」
はな「あの… 私 どんな感じだったでしょうか…。」
英治「花子さん。」
はな「はい…。」
英治「よかったら 今夜 歓迎会 やり直しませんか?」
三田「逢い引きか。」
<もしかして これは 生まれて初めての 逢い引きのお誘い? ごきげんよう。 さようなら。>