ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カーネーション」第132回「まどわせないで」【第23週】

あらすじ

栄之助(茂山逸平)は、買いすぎた生地を生かして、糸子(夏木マリ)のデザインで既製服を作る計画を申しでる。年配の女性のための服には心ひかれるが、糸子は二度と既製服はやるまいと決めていた。そして清川(三林京子)の高齢の母のための服をオーダーメードで作る。里香(小島藤子)は友達になった少年とクリスマスケーキを食べに行き、糸子の分も買って帰ってくる。感激する糸子。そのとき店のウインドーを壊す音がする。

132ネタバレ

小原家

玄関前

栄之助「お前 先 行ってくれ。」

譲「え? 何 言うてんねん お前。 お前の話やないか!」

栄之助「ちょちょっ! こんにちは~!」

糸子「こら! うちの敷居 またぐな ちゅうたやろ! えい! えい! えい!」

栄之助「ああ~ やめて下さい。」

譲「ごめんなさい すいません!」

栄之助「帰ります 帰ります…。」

オハラ洋装店

糸子「あ 要らん。 この子ら すぐ帰るよって。」

2人「いや いや いや!」

栄之助「先生 今日は ほんまに きちんと準備してきたんです。」

糸子「3つとも こっち置き。 全部 うちが飲むさかい。」

糸子「何や?」

栄之助「本日は 糸子先生に 改めて お願いに上がりました。 実は こないだの あの スワトーの生地を使って 先生に スーツをデザインして頂けないかと。 要は 先生のお名前のプレタポルテを やらせて頂きたいんです。 先生に お考え頂いたデザインと この生地 これを持って 僕が営業してきます。」

栄之助「言うても うちのお得意さんは 着物のお客さんですから 洋服を どれだけ買うてもらえるかは 正直 あたってみんと 分かりません。 けど 目の肥えた 年配の女性が 多いのは 確かですから あながち 的外れではないと 思うんです。 それに 先生の人気は 僕の知ってる おばちゃんには 絶大ですから 絶対 売れる気がするんです。 先生? どないでしょう? お手伝い願えませんでしょうか?」

糸子「里香!」

里香「は~い。」

糸子「にいちゃんらに お茶 出しちゃって。」

里香「はい。」

(笑い声)

糸子「まだや!」

栄之助「え?」

糸子「まだ 喜びな! ちょっと 時間くれるか。 考えさせてもらうよって。」

栄之助「は はい! どうぞ よろしゅうお願いします。」

糸子「はあ~! ややこしい話 持ってきなや。 うちは 金輪際 既製服は やらへんねや。」

<ほんでも あのアホぼんが 初めてキュウキュウ絞った知恵を 無駄にする訳には いかんわなあ。>

糸子「なあ?」

浩二「はあ。」

澄子『こんにちは!』

孝枝「まあ いらっしゃい!」

糸子「はれ いや~! 来てくれたんかいな!」

澄子の母「娘らが 行け行け言うて うるそうてな。 根負けや。 久しぶりやな 小原さん。」

糸子「うん なあ。 元気そうやな。」

糸子「そっち 取って。」

孝枝「はい。」

糸子「これやな?」

孝枝「これですわ。」

糸子「な これ どない?」

澄子の母「もう どれでもええよ。」

糸子「何でや? ちゃんと見てえや。 せっかく こさえんやさかい。」

澄子の母「もう どれ 着ても ばばあや。」

糸子「そら ばばあが 乙女には ならんけどやな 娘さんらが こんなけ きれえな お母ちゃん 見たがってんや な!」

澄子「せやで お母ちゃん。」

糸子「お母ちゃんは きれえにして 笑てんのが仕事や。 そう思わへんか?」

澄子「えらい仕事やな。」

糸子「そらせや。 仕事やさかい。 お互い頑張ろよ。 ね!」

孝枝「はい こっち 持ちますよ。 せ~の よいしょ!」

糸子「あ~ フフフ! よし ええで!」

澄子「ほんまかいな もう。」

孝枝「ほな 座りましょ。 はい!」

澄子「これで ええんやったら うちも 作らせてほしいわ。」

糸子「ハハハ なあ!」

玄関前

澄子「先生 ほんまに おおきになあ。」

糸子「こっちこそ おおきに。 ま 任しとき。 絶対 ええのん dけるで。」

澄子の母「おおきに。」

糸子「気ぃ付けてな。」

澄子「さいなら!」

孝枝「おおきに ありがとうございました!」

糸子「ありがとう!」

澄子「お母ちゃん よかったなあ。」

孝枝「先生 やっぱし オーダーメードて ええもんですねえ。」

糸子「嫌な事 思い出してしもた。」

孝枝「何ですか?」

糸子「あ~ どないしよう。」

孝枝「何ですのん?」

岸和田商店街

(自転車のベル)

正志「おう!」

里香「おう!」

♬~(クリスマスソング)

正志「ん。 荷物 載せえよ。」

♬~(クリスマスソング)

正志「クリスマスイブ 自分 どっか行くんけ?」

里香「行かないよ。」

正志「東京とか帰らへんけ?」

里香「帰んない。」

正志「ほな ケーキ 食いに行かへんけ?」

小原家

寝室

(カラスの鳴き声)

オハラ洋装店

「もう この年にして 恥ずかしい話ですわ~!」

孝枝「ええやないですか! 年なんか 関係ありませんよ! すてきですわ 人生初のクリスマスデートやて。」

糸子「ええなあ フミちゃん 頑張りや。 天国のお母ちゃんかて きっと 応援してるわ。」

孝枝「ほんまに 幸せになって下さいね。」

玄関前

孝枝「ほな 先生 失礼します。」

糸子「お疲れさん。」

浩二「ほな 失礼します。」

糸子「お疲れさん また明日。」

リビング

糸子「せやけど ほんま 里香のアホ どこ行ったんや。 はれ 帰って来た。」

里香「ただいま。」

糸子「あんた どこ行ってたんや? 黙って おらんようになったら 心配するやろ?」

里香「うん。」

糸子「何や?」

里香「クリスマスケーキ。」

糸子「へえ 買うて来てくれたんけ?」

里香「うん。」

糸子「はれ まあ ほうけ。 へえ~ エヘヘ! へえ? 何や? あんたのんは。」

里香「私は もう食べてきたから。」

糸子「食べてきた? どこで。」

糸子「里香が うちに クリスマスケーキ 買うてきてくれてんで。 ありがたいこっちゃでなあ。 ほな よばれよか。」

(バイクの音)

糸子「何や?」

(派手なクラクション)

(エンジンを吹かす音)

(ガラスの割れる音)

糸子「うわ~!」

少女1「なめちゃあったら いてまうど!」

少女2「東京 帰れ 不細工!」

糸子「あかん! 行きな!」

玄関前

(派手なクラクションと エンジンの音)

(走り去るバイクの音)

「何や何や どないしてん?」

「うわ~!」

「うわ~! こら やられたのう!」

「えらいこっちゃ…。」

「ばあちゃん 腰抜かしてん ちゃうけ?」

「ほんまや。 はよ 見てきちゃり! 早う!」

リビング

里香「食べなくていいよ そんなの。」

糸子「あんな 里香。」

里香「え?」

糸子「ここが あんたの観念どこやな。 あんたが決め。 東京 帰るか。 それか そのジャージー脱ぐか。」

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