あらすじ
糸子(夏木マリ)のブランド「オハライトコ」の発表は大成功。糸子は三姉妹と写真に収まり感慨深く思う。里香(小島藤子)は優子(新山千春)に、東京の高校へ戻る決意を伝える。東京へたつ日、礼を言う里香に涙を見せようとしない糸子。里香はだんじり祭のころにまた来ると告げる。その夜、糸子は独りの寂しさをかみ締める。だが9月のだんじり祭には、小原家は優子や直子(川崎亜沙美)、孫たち、大勢の来客でにぎわうのだった。
139回ネタバレ
オハライトコ ブランド発表会
<ブランド発表会当日は 朝から晩まで てんやわんやでした>
「こちら もう一枚!」
「はい 笑って!」
「明日の見出し文 頂きます はい!」
(拍手)
糸子「皆さん 今日は ほんまに ありがとうございました。 おかげさまで オハライトコ ブランド発表会 大盛況のうちに 終わらせる事ができました。 ささやかな用意しか ありませんけれども どうぞ 楽しんでいって下さい。 ほな 乾杯!」
一同「乾杯!」
譲の父「いや 先生 この度は 譲が えらい世話になりまして。」
糸子「やめて下さい 世話になってんのは こっちですわ。」
譲の父「先生に しごいて頂いてるおかげで あいつも この辺が やっと 締まってきました。」
糸子「ああ そうですか。 ハハハ。」
優子「里香。」
里香「私… 帰るよ。」
優子「え?」
里香「帰って… 高校 行きます。」
優子「そう…。」
糸子「何や あんたら もう へたってんけ?」
譲「ああ 先生。 いや~ 疲れました。」
栄之助「もう へっとへとですわ。」
糸子「ご苦労さんやったな。」
高山「いや~ けど 先生 こりゃ いけましたよ。 オハライトコ・ブランド ひとまず 成功です。」
糸子「う~ん。」
高山「お客さんの数 報道陣の数 見たでしょ? 明日の朝刊に バ~ンって 載りますよ。 他の よっぽど でかいネタに 押されない限り。」
糸子「う~ん…。」
<ちゅうて 守るが言うたよって。 ドキドキしながら 翌朝の朝刊を開きました>
小原家
リビング
糸子「う~ ああ ハハハハ…。 う~ うん くっそ~! 春太郎~!」
オハラ洋装店
<そんでも おかげさんで ブランド・オハライトコは 快調な滑り出しで 店にも 新しいお客さんが どんどん 来てくれるようになりました>
「こんにちは!」
糸子「いらっしゃい! 採寸して。 今 混んでるさかい ちょっと待っとって。」
「うん。」
浩二「先生… 先生。 ほな そろそろ… 里香ちゃん 送ってきます。」
糸子「うん…。」
リビング
糸子「行くか? 悪いけど うちは 見送り 行かんよってな。 忙しいさかい。」
里香「うん。」
糸子「駅で 浩ちゃんに お弁当 買うてもらい。 東京は 優子が迎えに来んやろ?」
里香「うん。」
糸子「気ぃ付けや。 優子に よろしゅう言うといて。 ほなな。」
里香「おばあちゃん! ありがとう… ございました。 また来ます。」
糸子「うん。 …ほなな!」
糸子「ごちそうさん。 テレビでも 見よけ。」
(電話の呼び鈴)
糸子「はい オハラ洋装店です。」
里香『もしもし おばあちゃん?』
糸子「はあ 里香か。 今 どこや 東京か?」
里香『うん 今 東京駅。 あのさ おばあちゃん。』
糸子「うん?」
里香『私 9月のだんじり 行くから。』
糸子「はあ~。 うん 分かった。」
里香『そんだけ じゃあね。』
<東京へ… 帰ってしもたから なんや あっちへ 行ってしもたから なんや。 寂しいんは うちが ほんなけ 相手を好きなせいやないか>
糸子「うちの人生 フフフ… もう 好きな人だらけで 困るちゅうこっちゃないか ヘヘヘヘヘ。 ああ~ 結構な話や。 ヘヘヘ。 いや あんたん事 違うや!」
(チャイム)
糸子「はい。 ああ~。」
玄関
糸子「はれ。」
篠山「すんません。 おばあちゃん たい焼き 食べますか?」
糸子「たい焼き? 食べる 食べる。」
篠山「さっき お客に もろたんやけど 僕 こんな 食べきれへんし。」
糸子「ヘヘヘヘヘ おおきに。 せや あんた 御飯 食べたか?」
篠山「いや まだやけど。」
リビング
篠山「うまいっすわ。」
糸子「食べ いわし。」
篠山「ああ いわし? うん これ うまいっすわ。」
糸子「うちは ず~っと食べてんのや。」
篠山「ふ~ん。」
糸子「しょうがと炊いて。」
<今年も ちゃあんと やって来ました。 祭りです>
優子「これ 入れとこか?」
糸子「うん。」
直子「お母ちゃん うちわ どこ?」
糸子「うちわ? そこに あるで。」
優子「あれが そうや。」
里香「おはよう~!」
3人「おはようさん。」
直子「あれ あんた ええのん着てるやん。」
里香「聡子叔母ちゃんが 送ってくれた。」
糸子「へえ~ このごろの子ぉは シュッとしてるよって こんなん よう似合うでなあ。」
優子「あんたな 聡子のばっかし着んと ママのも 着いよ。」
里香「ママのは 嫌だ。」
優子「何で?」
里香「聡ちゃんのセンスの方が 好き。」
優子「は~ 生意気!」
里恵「おはよ~! 修ちゃんが起きましたよ~。」
糸子「はれ~ 修ちゃん おはようさん。 だんじりやでえ。 イ~ ヒヒヒヒ。 男前 起きたん? だんじりや だんじり」
ベランダ
♬~(お囃子)
『ソーリャ ソーリャ ソーリャ ソーリャ!』
糸子「来た来た~。」
「うわ~。」
(拍手と歓声)
糸子「ええなあ。」
優子「うん ええなあ。」
里恵「里香 どうしたの?」
里香「だんじりって こんな格好よかったっけ…。」
直子「何を言うてんや 今頃。」
里恵「でも この子 小さい頃 見たっきりだから。」
里香「怖いだけかと思ってた… こんな 格好よかったんだ。」
リビング
譲の父「先生 こないだ テレビで えらい別嬪に映ってましたで。」
糸子「ひゃ~ ほんまですか?!」
「僕も 見ましたわ。 いや~ 堂々として とても 初めてには 見えませんでしたわ。」
糸子「いや もう あない緊張すると 思てませんでした。 もう 二度と嫌ですわ。」
「いや そら もったいない。 どんどん 出て下さい。」
「そうや! おもろかったわ。」
優子「里香! あんた 氷 買ってきて。」
里香「ああ うん。」
優子「そこのコンビニ 分かるよね?」
里香「うん。」
優子「行ってきて。」
里香「行ってきま~す。」
優子「行ってらっしゃい。」
玄関前
リビング
糸子「あんたらの おかげやな。」
譲「いや~ そんなん 先生に言われたら 僕 うれしいわ~。」
栄之助「アホやからこそ 思いつく 新しい事があったちゅう事ですね。」
糸子「ハハハハ 調子に乗ったら あかんでえ。 土台が アホやねんから 油断しとったら すぐ あかんようなるで。」
栄之助「そんな怖い事 言わんといて下さいよ 先生。」