ドラマダイジェスト

連続テレビ小説「カーネーション」第84回「愛する力」【第15週】

あらすじ

周防(綾野剛)はオハラ洋装店で、順調に紳士服の仕事をしている。千代(麻生祐未)は周防に妻子があると知って残念がる。一方、糸子(尾野真千子)は木之元(甲本雅裕)たちから、借金苦で夜逃げした奈津(栗山千明)について思いがけない話を聞く。パンパンと呼ばれる女になっているというのだ。糸子は周防とともに奈津の居所を突き止める。思わず奈津をどなりつけた糸子だが、誇りを傷つけられた奈津に追い返される。

84ネタバレ

小原家

玄関前

縫い子達「おはようさんです!」

周防「おはよう!」

オハラ洋装店

千代「おはようございます。」

松田「おはようさん!」

周防「おはようございます。」

千代「あ… どうぞ。 はあ! ほんま 嫌みのない ええ人やなあ。」

2階 仕事場

(せみの鳴き声)

周防「う~! あ~!」

玄関前

糸子「お帰り!」

木之元「ああ! 今日も ごっつい人やったで!」

糸子「ほんま? おっちゃん 泣かされへんかったけ?」

木之元「泣いてたで。」

木岡「泣いてへんわ お前!」

木之元「泣いてたやんか お前!」

木岡「アホか お前。」

木之元電キ店

糸子「え? いや そら 見間違え 違うん?」

木之元「あ~!」

木岡「いいや。」

木之元「間違いないな。 いや あんな別嬪 そう おらんよって。 まず 見間違えへんで。」

木岡「うん 間違いないて。」

木之元「吉田屋の若女将 パンパンなってるて。」

小原家

オハラ洋装店

(ミシンの音)

周防「小原さん…。 小原さん?」

糸子「はい。」

周防「あの~ ボタンの事ばってん。」

糸子「はあ?」

周防「背広に付くボタン。」

糸子「はあ ボタン。」

周防「ちょっと2階には ちょうどよかとが なかごたるけん 買いに行きたかとですけど。 ここんに来やったら どこに売っとっとですかね?」

糸子「はあ?」

周防「あ…。 ボタン どこに 売っとっとですか?」

糸子「ああ それやったら 闇市ですわ。」

周防「闇市?」

糸子「うん。」

(せみの鳴き声)

闇市

(闇市の売り声)

<おっちゃんらの言う事なんか アテにならんけど 絶対ありえんとも言えん>

(売り声)

<そいつが 男前なんが 気になりました 奈津のアホは 救いようのない 面食いやったからです>

周防「小原さん?」

小屋

女「ええかげんにしいや! この ごくつぶしが!」

糸子「あ…。 すんません。 あの ボタン買うて 先 帰っといて下さい。」

周防「どげんしたとですか?」

糸子「あの…。 もし うちが 飛び出して行きそうになったら 止めてもらえませんか。」

周防「飛び出す?」

糸子「はあ。 その…。 そこから出て来る 相手によっては うち 飛び出してまうかも しれへんのやけど その 今日は やめといた方が ええと思うんです。 前も うち そんで 失敗してるよって。 うちが 頭に血ぃ上ってしもて どなりまくってしもたよって 相手 逃げてしもて。 そやさかい…。」

(戸の開く音)

糸子「奈津?! あんた…。 何してんや? あんた 一体 何してんや? 借金残して 夜逃げして 何やってんや? 何や この格好! 言うてみい! 言うてみい!」

周防「小原さん!」

糸子「ああ~!」

奈津「関係ないやろ あんたに。 あんたになんか 何も関係ない! 関係ない! 関係ない! 関係ない! 二度と来んな! あんたなんか あんたなんか 何も関係ないんや!」

小原家

オハラ洋装店

周防「おはようございま~す!」

昌子「おはようございます。」

糸子「昨日は すんませんでした。」

2階 仕事場

(せみの鳴き声)

<結局 ボタンは 家に手持ちのもんが あったそうで。 周防さんは 何事もなかったように 仕事を続けてくれました>

(せみの鳴き声)

オハラ洋装店

サエ「こんにちは!」

昌子「サエさん! あ~ いらっしゃい! 先生! サエさんですよ~!」

サエ「チラチラ 見てるわ~とは 思てたんやし。 ほしたら 信号 変わった途端に にゅ~って こっち 近づいてきて『僕 お宅の出てる映画 見た事あります』やて。 もう 誰と勘違いしてんかしらん! 嫌やわ~! なあ 糸ちゃん聞いてよ!」

糸子「うち 忙しいんやて。」

周防「あの~ ちょっと 手洗いば お借りしますけん。」

サエ「ちょっと! ちょっと あれ 誰?」

糸子「職人さんや。」

サエ「職人さん? 職人さんて?」

糸子「うるさい! 黙っとって。」

(せみの鳴き声)

<周防さん お宅が思てくれたとおりです。 うちは 夢を作りたかったんです。 戦争で受けた傷を忘れて 新しく生まれ変わる。 そうゆう夢です>

玄関前

昌子「はあ また。」

「格好ええ!」

<服に託した うちの夢は 女の人らに届いたと思てます ほんでも 服は服です。 知れてます ほんまに どん底におる人を 助けたいと思たら 服とちゃう。 この 自分の手ぇしかないんや>

2階 仕事場

回想

奈津「あんたなんか 何も関係ないんや!」

回想終了

<力を下さい。 怖いけど…>

糸子「頑張りますよって。」

安岡家

居間

糸子「こんにちは。」

八重子「ああ! どないしたん?」

糸子「あんなあ おばちゃん いてるけ?」

八重子「えっ?」

糸子「話があるんや。」

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