あらすじ
将来どんな道に進むべきかに悩んでいたひなた(川栄李奈)は、通い慣れた条映映画村でミスコン大会のポスターをみつけ、「これだ!」と意気込みます。なんとかるい(深津絵里)とジョー(オダギリジョー)の許しをもらったひなたは、着々と準備を進めていきます。書類審査に通り、いよいよ迎えた本番当日。緊張するひなたでしたが、お芝居の相手はなんとあの回転焼きを買いに来た無愛想な男(本郷奏多)で…。
74話ネタバレ
太秦映画村
アシスタント「続いて エントリーナンバー 10番のお姫様です。 どうぞ。」
ひなた「あ… 大月ひなた 18歳です。 家は 回転焼き屋です。 あかね通り商店街の『大月』いう店です。 あ… えっと… あの…。」
司会者「大月さんは どうして このコンテストに応募しようと 思ったんですか?」
ひなた「それは もちろん… 大好きやからです。 時代劇も 映画村も。」
(拍手)
司会者「ありがとうございました。」
アシスタント「ありがとうございました。 続いて エントリーナンバー…。」
司会者「それでは 次に 演技審査に移ります。 皆さんたちは 茶屋の娘です。 悪漢たちに囲まれる娘。 …と そこへ 侍の進之介が あなたを助け出します。」
ひなた「憧れの場面や…。」
司会者「更に 進之介は あなたに愛の告白をします。」
ひなた「えっ…。」
司会者「皆さんは 皆さんの気持ちで返事をしてください。」
一恵「何や 強引な展開やな。」
小夜子「審査やから いろんな表情を見たいんやない?」
(拍手)
アシスタント「それでは エントリーナンバー 1番のお姫様 お願いします。」
「ハッハッハッハッ…。 かわいい。」
「何ですか? あなたたち。」
「上物じゃねえか。 こりゃあ 高く売れるぜ。」
「ハハッ 連れてけ。」
「おう。」
「おやめください! 誰か! 誰か~!」
「よさぬか! 娘を離せ。」
回想
「ふ~ん。 引き算はできるんだ。 引き算はできるんだ。」
回想終了
ひなた「な… 何で あいつが…。」
「娘を離せ。」
「進之介様。 お助けください。」
「何だ? おめえは。」
「うらあ!」
「たあ~!」
「やあ! うあ~!」
「うあ~。」
ひなた「何で あの感じの悪いやつが侍の役を…。」
「けがはなかったか?」
「はい。 ありがとうございます。」
「おすず。 拙者 家禄も僅か。 主君の覚えも めでたからず。 されど… そなたを幸せにしたい。」
轟「ええせりふや… わしが書いたんすわ。 ええ。 ヘヘッ。」
「おすず。 ついてきてくれるか。」
「はい。 進之介様。」
「うれしゅうございます! すずは 日本一の果報者でございます!」
高山「ごめんなさい 進之介様。 だけど 私 病気のおとっつぁんを置いて お嫁に行けません。」
ひなた「(心の声)『何で? ホンマに何で? 何で あいつに こんなとこで会わなあかんの。 あの 人を見下したような あの無愛想な男と…。』はあ…。」
司会者「続きまして エントリーナンバー10番 大月ひなたさんです! 大月ひなたさ~ん。」
ひなた「あっ はい! (心の声)『いかんいかん。 コンテストに集中せんと。』」
(拍手)
小夜子「へえ~。 ちゃんとお芝居してる。」
一恵「だてに 『ガラスの仮面』読んでへんな。」
「ホッホッホッホッ… かわいい。」
ひなた「なっ 何ですか。 あなたたち。」
「うん? 上玉じゃねえか。」
「こりゃあ 高く売れるぜ。」
「ハッハッ 連れてけ。」
2人「へい。」
ひなた「えっ…。」
「ほら。」
ひなた「キャ~! 嫌~!」
「よさぬか。 娘を離せ。」
「何だ? おめえは。」
ひなた「(心の声)『あかん。 あいつの顔 見てたら 集中できひん。』」
桃太郎「上手やな お姉ちゃん。」
錠一郎「だてに 『黍之丞』シリーズ見続けてへん。」
「おら~! おっ…。」
「おお…。」
「だあ~!」
「あ~!」
「たあ!」
「くっ…。」
「うわあ… がっ…。」
「けがはなかったか?」
ひなた「あ… はい。 ありがとうございます。」
「おすず。 もう心配はいらぬ。」
ひなた「あっ はい。 (心の声)『あかん。 芝居せんと。』」
「おすず。 拙者 家禄も僅か。 主君の覚えも めでたからず されど…。」
回想
「焼いて。」
ひなた「えっ?」
「回転焼き。 新しいの焼いて。」
回想終了
「そなたを幸せにしたい。」
回想
「もしかして 焼いたことないの? ハッ うそだろ。」
回想終了
「おすず。 ついてきてくれるか。」
回想
「ふ~ん。 引き算はできるんだ。」
回想終了
ひなた「誰が… 誰が お前なんかについていくかあ! たあ!」
「うおっ! うっ…。 ぐわあっ!」
(笑い声)
ひなた「あ…。 あっ。 し… 進之介様! 進之介様!」
(笑い声)
ひなた「進之介様~! 進之介様? 進之介様~。 やってしもた…。」
(笑い声)
ひなた「進之介様~。 進之介様~!」
司会者「発表します!」
(ドラムロール)
司会者「ミス映画村 条映城のお姫様に選ばれたのは… エントリーナンバー9番 高山理恵さんで~す!」
(拍手)
アシスタント「高山さん どうぞ 前へお越しください。」
司会者「おめでとうございま~す!」
アシスタント「ミス条映に選ばれた高山さんには 優勝賞金50万とともに 『黍之丞』シリーズにも ご出演いただきます。」
司会者「おめでとうございます。 それでは 高山さん 選ばれた今のお気持ち ひと言お願いします。」
高山「ありがとうございます。 夢みたいです。 条映の時代劇は 誰もが一度は見た事のある名作で 私自身 大好きな作品が たくさんあります。 これから 私も その作品の一つに参加できると思うと…。」
ひなた「おめでとうさん。 あの! すいませんでした。 変なお芝居につきあわせてしもて…。」
「そのばか面。」
ひなた「(心の声)『ばか面?』」
「どっかで見たことあると思ったら 回転焼き屋の娘か。 どうりで。」
ひなた「どうりで?」
「ばかだと思った。」
大月家
居間
錠一郎「落ち込むことないで ひなた。 あんなに会場沸かせたん ひなただけやねんから。」
るい「そうなん?」
錠一郎「うん。」
一恵「ホンマ 大した舞台度胸やわ。」
小夜子「感心したえ。」
ひなた「そういうコンテストやあらへんし…。」
一恵「けど きれいやったな。 あの優勝した子。」
小夜子「ホンマ。」
桃太郎「小夜ちゃんも出ればよかったのに。」
小夜子「えっ?」
桃太郎「会場で一番 小夜ちゃんが べっぴんさんやったもん。」
るい「何やの 桃太郎。 えらい ませたこと言うて。」
小夜子「フフッ ありがとう。 桃ちゃん。 フフフッ。」
るい「食べて 食べて。」
一恵「頂きます。」
ベランダ
<コンテストで落選したことが ショックだったのではなく あまりショックではないことが ショックでした>
ひなた「その程度の覚悟やったんやな… 私。」
回転焼き屋・大月
♬~(ラジオ)
るい「あっ おいでやす。 すいません。 ちょっと用事してたもんやさかい。 何個しましょ?」
るい「あの…。 何個しましょか?」
「(せきばらい)」
るい「1つですね。 はいはい。 100円です。 ありがとうございました。 あの…?」
「拙者 伴 虚無蔵と申す。」
るい「バンキョムゾー…?」
「ひなた殿はご在宅か。」
るい「ひなた… ひなたのお知り合いですか?」
「いや さにあらず。」
ひなた「お母ちゃん? どないしたん。」
るい「ひなた…。」
「ひなた殿。 明朝9時 条映太秦映画村の橋へ参れ。」
ひなた「えっ? そうかて 映画村が開くのは 10時ですよね?」
「門番へは話を通しておく。」
ひなた「門番…?」
るい「守衛さんのことと違う?」
ひなた「ああ…。」
「御免。」
<これが ひなたの運命を動かす男 虚無蔵との出会いでした。 That was how Hinata met kyomuzo, the man who would change her destiny>