「うれしゅうございます! すずは 日本一の果報者でございます!」
高山「ごめんなさい 進之介様。 だけど 私 病気のおとっつぁんを置いて お嫁に行けません。」
ひなた「(心の声)『何で? ホンマに何で? 何で あいつに こんなとこで会わなあかんの。 あの 人を見下したような あの無愛想な男と…。』はあ…。」
司会者「続きまして エントリーナンバー10番 大月ひなたさんです! 大月ひなたさ~ん。」
ひなた「あっ はい! (心の声)『いかんいかん。 コンテストに集中せんと。』」
(拍手)
小夜子「へえ~。 ちゃんとお芝居してる。」
一恵「だてに 『ガラスの仮面』読んでへんな。」
「ホッホッホッホッ… かわいい。」
ひなた「なっ 何ですか。 あなたたち。」
「うん? 上玉じゃねえか。」
「こりゃあ 高く売れるぜ。」
「ハッハッ 連れてけ。」
2人「へい。」
ひなた「えっ…。」
「ほら。」
ひなた「キャ~! 嫌~!」
「よさぬか。 娘を離せ。」
「何だ? おめえは。」
ひなた「(心の声)『あかん。 あいつの顔 見てたら 集中できひん。』」
桃太郎「上手やな お姉ちゃん。」
錠一郎「だてに 『黍之丞』シリーズ見続けてへん。」
「おら~! おっ…。」
「おお…。」
「だあ~!」
「あ~!」
「たあ!」
「くっ…。」
「うわあ… がっ…。」
「けがはなかったか?」
ひなた「あ… はい。 ありがとうございます。」
「おすず。 もう心配はいらぬ。」
ひなた「あっ はい。 (心の声)『あかん。 芝居せんと。』」
「おすず。 拙者 家禄も僅か。 主君の覚えも めでたからず されど…。」
回想
「焼いて。」
ひなた「えっ?」
「回転焼き。 新しいの焼いて。」
回想終了