2020年5月11日放送の【行列の女神~らーめん才遊記~】4話のネタバレです。
らーめん才遊記はテレビ東京で放送しているドラマです。
現在は(2020年5月現在)Paraviでも視聴可能です。
テレビまたはParaviが見れない方やこのドラマに興味のある方はこの記事をご覧になってください。
あらすじ
ラーメンオタクの須田(前野朋哉)は、芹沢(鈴木京香)から説教をくらう。能力はあるのに上から目線の言動が災いし、依頼人からクレームが入ったのだ。そんな中、須田はゆとり(黒島結菜)を誘いラーメン店へ。こだわりの味を堪能していると、突然「作り方を教えろ」と訴える青年(堀井新太)と店主(芹澤興人)が店で口論を始め、2人は騒動に巻き込まれてしまう。しかもゆとりは、またもや勝手に青年の依頼を引き受けて……。
4話ネタバレ
今や世界の誇る大人気国民食ラーメン。そのラーメン業界をけん引する伝説のラーメン職人にして一流のフードコンサルタント・芹沢達美。そしてそのすぐそばには名もなき一人のラオタ・ラーメンオタクも居た!
須田正史「えっ?僕?」
芹沢達美「何やらかしてくれてんのよ須田!」
汐見ゆとり「ラーメン♪ラーメン♪あ~ごのだ~しをと~るわ~。い~つ~い~つ出~来~る~夜泣~き~の~屋~台~つ~ると麺~を~啜~た~♪」
芹沢達美「暗い!替え歌のクオリティも低い。景気の悪い声で歌わないでくれる?こっちまでどんよりしてきちゃうから!」
白坂隼人「まだ引きづってますからね。この間のコンペにこと」
夏川彩「社長から厳しい一言も頂いたしね」
芹沢達美「半人前のくせして一つのミスに拘ってるんじゃないわよ」
白坂隼人「何事も経験ですからね」
芹沢達美「大体やる気と料理だけが取り柄なのにやる気がなくなっちゃったらどうしようもないでしょう?」
夏川彩「ほら、社長もこうやって励ましてくれてんだから。」
芹沢達美「あなたはラーメンで言ったらまだスープでもない、麺でも具でもない、もちろんサイドメニューの餃子でもない古いラーメン屋のカウンターの下に置いてあるヨレヨレになった雑誌みたいなもんなんだから!」
河上堅吾「社長!それはもう励ましではなく罵倒です」
芹沢達美「とにかく、さっさと元の状態に戻りなさい。須田!頼んだわよ!」
須田正史「はい」
芹沢達美「行ってきます」
汐見ゆとり「ヨレヨレの雑誌・・・」
河上堅吾「忘れましょう、それは」
社長に須田が怒られていたのは、「上から目線でラーメンのウンチクを語り倒してクライアントから担当を変えてくれ」と言われたためであった。
ゆとりにスマホの画面を見せる須田
汐見ゆとり「なんですか?」
須田正史「「あご」って九州や日本海側トビウオの呼び方だよね。感想させた「あご干し」からとるのが「あごだし」さっき歌ってたでしょ。だから・・・」
汐見ゆとり「だから?」
須田正史「ここ、八丁堀にある「とび屋」っていう店。アゴダシラーメンが有名なとこ」
汐見ゆとり「もしかして?連れてってくれるんですか?」
須田正史「まあ」
汐見ゆとり「ごちそうしてくれるんですか?今日ですか?」
須田正史「今日は多分定休日じゃないハズだから」
汐見ゆとり「行きます!ありがとうございます!」
八丁堀の「とび屋」
汐見ゆとり「広島県の尾道ラーメンも美味しそうですね」
須田正史「それね、スープが特徴的で動物系と魚介系を合わせて背脂のミンチをアクセントに加えててね」
とび屋の店主「おまちどう、「あごだしラーメン」です」
とび屋の店主「須田さん珍しいよね?いつも一人なのにさ、こんなカワイイ彼女連れてきて」
汐見ゆとり「彼女じゃないです。ただの会社の後輩なので!じゃあいただきます!」
須田正史「ここはね、アゴダシの他に隠し味があってね」
汐見ゆとり「甘栗ですね!美味しいです!」
須田正史「うん、そう・・・いただきます」
とび屋の店主「またあんたか!しつこいな。だから内は今バイトの募集なんかしてないんだっつうの」
相川鉄也「だから、俺はここで雇ってくれなんて言ってねんだよ。ここのラーメンが美味いから作り方の」
とび屋の店主「だから、それがふざけんなっつうの。あんましつこいと警察呼ぶぞ?」
相川鉄也「なんだ客に向かってその言い方はよ?」
汐見ゆとり「ちょっとあれ、まずくないですか?」
早く食べて帰ろう!
汐見ゆとり「そうじゃなくて!止めた方が!」
止めに入るゆとりと須田だったが、何故かコケて頭をイスに強打して倒れる須田
そこに有栖も来店する
清流企画
芹沢達美「相川鉄也、25歳。随分若いわね」
河上堅吾「それでこの方の依頼を引き受けたわけですか」
汐見ゆとり「はい」
須田正史「いや反対したんですよ僕は、なのに汐見さんが」
回想
汐見ゆとり「ラーメン屋を開きたい?」
相川鉄也「そのためにコツコツバイトして金貯めてきたんだ」
とび屋の店主「だからっていきなり人の店の味パクろうとすんなよな」
相川鉄也「すんません。俺、思い立ったらなんでもすぐ動く体質ですんで」
汐見ゆとり「わかります!」
須田正史「いやわかんなくていいから」
相川鉄也「俺さ高校卒業してから、やりたいこととか何もなくて、とりあえずフリーターやってたんですよね。そんで前にテレビでラーメンドリームっていう特集やってて」
汐見ゆとり「ラーメンドリーム?」
相川鉄也「一軒のラーメン屋さんからスタートしたおっさんがその店繁盛させて支店増やして今じゃ年商50億だって」
相川鉄也「見た瞬間これだって思ったんですよね。俺もラーメンドリーム目指すって!」
須田正史「ラーメン屋を成功させるっていうのは、そんな簡単なことじゃないんだって」
有栖涼「じゃあ清流企画さんで面倒見てあげたらいいんじゃないの?物件探しから、店のコンセプト決めメニュー作り。コンサルタントとしては一番やりがいのある仕事なんじゃないの?」
とび屋の店主「確かにそうだな!おい若いの、この人達こう見えてもラーメン専門のコンサルタントさんなんだよ」
相川鉄也「マジっすか?!」
汐見ゆとり「マジです!じゃあ、こちらの依頼書にご記入をお願いします」
回想終了
芹沢達美「ふーん、いいんじゃないの。引き受けても?」
須田正史「無理ですって!そこの開業資金みてください」
河上堅吾「46万7321円!」
夏川彩「都内でこん金額はかなりハードですよ」
白坂隼人「それなりの店やるならまあ1000万はかけないと」
須田正史「だろ?なのに汐見さんが安請け合いしちゃって」
汐見ゆとり「大丈夫ですよ、私がなんとかしますから。今日相川さんが目星つけている物件を見にいく約束もしましたし」
芹沢達美「随分イキのいいクライアントみたいね?いいわ、行ってきなさい」
汐見ゆとり「ありがとうございます!じゃあ担当は私で」
芹沢達美「あなたはサポート!メインの担当は須田!よろしくね」
須田正史「どうして僕が?」
汐見ゆとり「そうですよ、須田さん全然乗り気じゃないんですし」
芹沢達美「ヨレヨレ雑誌は黙ってなさい!」
汐見ゆとり「その呼び方止めてください!もう!」
河上堅吾「相手は未経験、資金不足、難しい案件ですからね。頼みますよ須田君」
須田正史「わかりましたよ」
不動産屋にて
相川鉄也「これだよ賃料8万の奴」
不動産屋「これは予算オーバーですよ保障金6ヶ月分で48万円ですから」
汐見ゆとり「保証金?」
不動産屋「所謂敷金のことですけど、店舗物件の場合居住物件より多めに取るもんなんですよ」
相川鉄也「他に安い物件ないんですか?」
須田正史「立地の悪いボロ物件ならあるだろうけど普通は平均して10ヶ月、立地の良い駅前の繁華街だと20ヶ月、30ヶ月分なんて物件なんてのもあるくらいだから」
不動産屋「それに合わせて、礼金2ヶ月分、仲介手数料1ヶ月分、前家賃1ヶ月分、あと火災保険なんかも必要になってきます」
須田正史「手持ちがなければ融資を申し込むって手もあるけど、相川さんの年齢と経歴を考えたら難しいだろうし」
汐見ゆとり「そんな」
須田正史「とりあえず予算内の物件全部見せてもらえますか?この二人に現実を知ってもらういい機会なんで」
物件を見学する一行
不動産屋「ここがラストですよ」
相川鉄也「探せばあるじゃないですか?」
不動産屋「このスケルトン物件が賃料7万、保証金2、礼金2、前家賃1、仲介手数料1、で7万×6ヶ月分で42万です」
相川鉄也「イエーイ」
汐見ゆとり「いやスケルトン物件っていうのは、つまり中に何もないから1からお店を作るってことですよね?」
須田正史「そうだよだからつまり?」
汐見ゆとり「相川さん、ここを借りてもお店は開けません」
相川鉄也「なんで?」
汐見ゆとり「設備を整える予算がないんです。厨房設備の他にテーブルやイス、あとラーメン作る食材費なんかも合せて計算すると不可能です」
相川鉄也「でもさ、そういうのが全部揃った物件っていうのがあるんだろ?居合い抜きとかいうさ」
須田正史「居抜き物件ね!まあ確かに設備は整ってるけど」
須田正史「そのためには造作設備譲渡金ってのが別途必要になるんだよ!いい条件の店だとそれなりに高額だし」
汐見ゆとり「じゃあ相川さんの予算50万弱で借りられる物件は」
須田正史「ない、そんなものはないんだよ」
清流企画
須田正史「昨日預かった着手金3万交通費以外は返しますよ。最初から無理だってちゃんと説明すれば一日無駄にすることはなかったわけだし」
汐見ゆとり「すいません」
須田正史「どこかのお店でちゃんと修業して資金が貯まったらもう一度来てください。じゃあ書類取ってきます」
芹沢達美「相川鉄也さん?あなたラーメン屋を開きたくて内に依頼したのよね?」
相川鉄也「そうっスけど」
芹沢達美「じゃあ聞くけど、あなたラーメン屋をやりたいの?それともラーメン屋を持ちたいの?どっち?」
相川鉄也「は?」
汐見ゆとり「どういう意味ですか?それ?」
芹沢達美「ラーメン屋をやりたい・・・だったら50弱でも打つ手はあるってこと」
相川鉄也「本当っスか?!」
さかな居酒屋ほんだ
芹沢達美「こちらのご主人・本多さんは毎日夕方4時から店で仕込みをして6時から11時まで営業なさってます。つまり日中このお店は空いているってわけ」
汐見ゆとり「じゃあ、その日中だけお店を貸して頂いてラーメン屋さんを開けばいいってことですか?」
芹沢達美「そう!こういう店の間借りは最近増えているの、そうよね?須田?」
須田正史「居酒屋さんがお弁当屋さんに貸すとかバーが古着屋さんに貸すとか、それに同じ店舗でも昼と夜で別々のラーメン屋さんが営業しているってケースも・・・」
相川鉄也「なんだよ?最初からそういうの知ってたんなら真っ先に教えてくれよ?」
須田正史「僕には伝手がなかったから・・・」
本多信和「まあ内もな不景気で売上落ちてるしよ、少しでも収入の足しになればと思ってな」
汐見ゆとり「だから社長は店をやりたいのか、持ちたいのかって聞いたんですね」
芹沢達美「このお店はあくまでも本多さんの持ち物だけど昼だけならラーメン屋をやれるわ。どうする相川君?」
相川鉄也「あの家賃は?」
本多信和「光熱費込みで7万ポッキリだよ」
相川鉄也「7万!」
本多信和「権利金とかめんどくせーことは言わねーよ」
芹沢社長本当にありがとうございます!
相川鉄也「本多さん、このお店をお借りします。そして今日からよろしくお願いします!」
本多信和「おいおいお前準備もしないでいきなり今日からかよ?」
相川鉄也「急がないとほら!もらって下さい!」
相川鉄也「お店が決まったから次はラーメンの作り方一からお願いします」
汐見ゆとり「作り方を一からって、それも全く経験ないんですか?」
相川鉄也「インスタントくらいなら作ったことあるよ。でも俺アイディアなら色々考えてるから!」
須田正史「君ねー」
芹沢達美「須田、いいから教えてあげなさい。それから汐見も」
汐見ゆとり「いいんですか?私もラーメン作りに参加して?」
芹沢達美「いつまでもウジウジしてないで思いっきり腕を振るいなさい。料理教室の教えるのと同じでしょ?」
汐見ゆとり「でも?」
芹沢達美「大丈夫よ、彼ならちょうどつり合いがとれてるから」
汐見ゆとり「つり合い?」
清流企画の調理室
相川のアイディアを基に味噌を焼いて試作ラーメンを作るゆとり
「カレー味のタンメン」や「さっぱり系のつけ麺」を提案する相川
できないと否定する須田だったが
汐見ゆとり「出来ますよ!両方」
相川・須田「そんな簡単に?!」
汐見ゆとり「どうぞ試食してみてください!」
ズッキーニの入った味噌を焼いたラーメン
キーマカレーのタンメン
冷やしつけ麺とゆずポン酢とカツオジュレ
どの料理も好評だったのだが、須田が相川を怒らせてしまう
須田とゆとりに呆れる芹沢
芹沢達美「本当にあなた達はまだまだ何も分かってないのね。そのままじゃ「ただのラオタ」「ただのヨレヨレ雑誌」で終わるわよ!」
須田正史「ただのラオタって」
汐見ゆとり「ヨレヨレはまだ良いですけど、雑誌って、せめて人間扱いしてください!」
芹沢達美「うるさい!とにかく今日はもう帰りなさい!」
帰宅途中の相川の携帯に清流企画から着信が入る
翌日、相川と連絡がつかなくて悩むゆとりと須田だったが、相川からメッセージが入る。
須田正史「ラーメン相川って!」
須田正史「お客さんも結構入っている」
相川鉄也「ラーメン二丁お待ちどう!」
汐見ゆとり「いただきます!」
相川鉄也「麺はさ、スーパーの市販の生麺なんだけど。スープはなかなかの出来でしょ?」
汐見ゆとり「ねっとりして、こってりしてるのにさっぱりしてる、独特だけど凄くワクワクする味です!」
相川鉄也「昨日お宅の会社飛び出して家に帰ってる途中でね。河上さんって方から電話もらってさ」
相川の下にアフターケアで河上が訪れていたとのこと。
そして独学の一夜漬けでベジポタスープを完成させた相川だった。
清流企画
芹沢達美「理解出来た?昨日私があなた達に何も分かってないって言った意味?」
須田正史「社長には彼があれだけのことが出来るって分かってたってことですか?」
芹沢達美「そうねやる気があったから」
汐見ゆとり「でも、上手くいかなかったかも知れないのに」
芹沢達美「そうね、でもやる気があればまた頑張るでしょ?」
須田正史「そんな、やる気があればなんでも出来るわけじゃ」
芹沢達美「確かに彼は無知で無計画で無鉄砲だった。でもね、中途半端に自分の実力を知っている人間より、その方がチャレンジ出来るって場合もあるのよ?」
汐見ゆとり「あっ」(3話の安西の言葉を思い出す)
安西徳之「こんなつけ麺私の腕では作れませんよ」
河上堅吾「須田君、飲食業、特にラーメンは高い調理技術や豊富な知識があって慎重に準備を重ねて開業したからといって成功するとは限りません」
須田正史「でも、その方が成功する確率は上がるハズです」
河上堅吾「あくまで確率の話しです。だから逆に無謀としか言えない形で店を開いても、必ず失敗するとは限らないでしょ?」
須田正史「それは・・・」
芹沢達美「私達は神様じゃない、誰が成功して誰が失敗するかなんて事前に予測するのは不可能よ。でもだからこそフードコンサルティングビジネスに携わるものは「やる」と言っているクライアントに「やるな」という助言だけは絶対にしてはならない」
汐見ゆとり「それってどんなに失敗しそうでもですか?」
芹沢達美「当然よ。私達はやるといった人間に採算の取れる範囲内でベストな助力をするだけ。やることのリスクはそのクライアントに背負ってもらうしかないんだから」
河上堅吾「まあスープが美味く出来たのは偶々今日だけだったという可能性もありますからね。今後もコンスタントに出来るようにフォローの方はしてくださいね」
汐見ゆとり「分かりました」
電話が鳴り夏川が電話に出る
夏川彩「はい清流企画です。はい?少々お待ちください。」
夏川彩「社長、さかな居酒屋ほんだのご主人からです。なんだか凄くご立腹で」
さかな居酒屋ほんだ
相川鉄也「遅くなってすいません」
本多信和「来たか兄ちゃん、清流企画さんも今来たところだ。ちょった厨房見てみろ!」
須田正史「これって・・・」
本多信和「4時に来て仕込み始めてちょっと水使ったらこの有様だ。店開けて初日に何してくれたんだ一体?」
芹沢達美「グリストラップが詰まったのよ・・・」
相川鉄也「グリストラップ?」
須田正史「そこの鉄の蓋の下にある、油水分離阻集器のことだよ。業務用の厨房には設置が義務付けられてるんだ」
汐見ゆとり「飲食店では一般家庭なんかよりずっと油分や残飯を含んだ排水が出ます」
芹沢達美「こちらみたいに魚料理中心の店ではラーメンみたいに油を大量に使うことはないもの」
相川鉄也「じゃあ詰まったのって、俺が昨日スープの試作ドバドバ捨てたから・・・」
芹沢達美「本多さん、これは私どもがクライアントをしっかりアシスト出来なかったことが原因です。大至急清掃した上で損害分を保証させていただきますので」
本多信和「いや、ちゃんとやってくれりゃ、それでいいからさ」
芹沢達美「須田、汐見手伝って」
相川鉄也「あの俺のせいでこうなったんだから、俺が自分で」
芹沢達美「これはあなたのミスじゃない。私達のサポートが行き届かなかったのが原因よ」
すっかり日も暮れ清掃終了
芹沢達美「清掃終了しました」
本多信和「ご苦労さん、一服してくれ。その兄ちゃんもよ」
汐見ゆとり「相川さん?」
本多信和「おいおい何泣いてんだよ?兄ちゃん?」
相川鉄也「俺・・・情けなくて、須田さんの言ってた通りだから」
須田正史「え?僕?」
相川鉄也「華やかなとこしか見てなくて職人の苦労も知らない、店の借り方も、ラーメンの作り方も知らなくて、挙句の果てにみんなに迷惑をかけちゃった」
汐見ゆとり「そんな」
相川鉄也「本当すいませんでした。俺が店やるなんて10年早いって思い知りました。昨日の7万は迷惑かけたお詫びに置いていきますから」
本多信和「兄ちゃん待てよ!お前まさかラーメン屋辞めるとか言い出すんじゃないだろうな?」
相川鉄也「いや、でも」
馬鹿野郎!おまえ一回失敗したぐらいで簡単に物事投げ出すんじゃねーよ!
汐見ゆとり「じゃあこれからも相川さんにはこちらのお店を?」
本多信和「当たり前だろ?あんたらがしっかりとフォローしてもうこんなことが起こらないようにしてやってくれよ」
須田正史「ありがとうございます!」
相川鉄也「須田さん」
帰路で作戦会議する一行
芹沢達美「まず別のラーメンを用意するしかないわね」
相川鉄也「えっ?別のラーメンって?」
須田正史「確かに同じことが起きないよう、ベジポタスープはもう使わない方が良いと思います」
汐見ゆとり「じゃあ具体的にはどういう?」
芹沢達美「条件は4つ!「あの厨房の設備に負担をかけないこと」「調理にあまり手間がかからないこと」「原価率を低く抑えること」そして「インパクトと満足感」そういうラーメンをあなた達でしっかり考えなさい」
汐見ゆとり「どれぐらいの期間でですか?」
芹沢達美「三日以内!」
須田正史「みっ三日!」
芹沢達美「あら?素人の相川君が一晩でお店に出せるレベルのスープ作ったのよ?自信ないわけ?」
清流企画の調理室
須田正史「改めて考えるとかなり難しいよ。原価率を抑えて相川君に作れる物となると凝ったスープは無理だから」
汐見ゆとり「一番シンプルなのは、やっぱり「しょうゆラーメン」ですかね」
相川鉄也「でも、それでインパクトと満足感ってでるか?」
須田正史「できないね、せめて油をたっぷり使えればやりようはあるかも知れないけど」
汐見ゆとり「グリストラップがまた詰まりますよ」
相川鉄也「それじゃあ八方塞がりじゃんよー」
須田正史「大丈夫このメニューに僕の約20年のラオタ知識を注ぎ込む!ただのラオタで終わりたくないから」
汐見ゆとり「そうですよ!私だってヨレヨレの雑誌じゃありません!」
相川鉄也「え?ヨレヨレの雑誌?」
汐見ゆとり「相川さんも一緒に頑張りましょう!これがクリア出来なかったら、無知で無計画で無鉄砲で無謀なただのバカで終わっちゃいますよ!」
相川鉄也「え?俺そんな酷い言われようだったの?」
そして試作を繰り返す3人
そして3日目
汐見ゆとり「油・・お手軽に・・・節約・・強烈」
夏川彩「来てるね」
白坂隼人「大分来てますね」
芹沢達美「どうだった様子は?」
夏川彩「なんか黒魔術みたいな感じでした」
白坂隼人「男性陣の方が屍になってましたよ」
芹沢達美「ラオタも料理バカも案外、頭が固いみたいね」
河上堅吾「ヒントを与えてあげますか?」
芹沢達美「仕方ないでしょうタイムリミットが近いんだから」
須田のブログの7年前の記事にに河上が「いいね!」をする。
そのラーメンは作り方が独特なことからヒントを得た須田
今度は社長から3年前に行った店の記事に「いいね!」をされる。
この店のトマトラーメンから更にヒントを得ることに
須田正史「行けるかも」
汐見ゆとり「これ行けますね」
相川鉄也「どこに?」
さかな居酒屋ほんだ
芹沢達美「有栖さん!」
有栖涼「芹沢さん」
芹沢達美「どうしたのこんな店の真ん中で?」
有栖涼「いや、ご存じの通り、僕美味しいラーメンの気配にセンサーが反応して足が向いちゃう体でしょ?」
芹沢達美「いや知らないけど」
有栖涼「それで今日はどういうわけか、こっちに足が向いちゃって来ちゃってみたものの、ここにあるのは、ただの居酒屋でして?」
芹沢達美「そのセンサー正確よ。良かったら食べてかない?」
有栖涼「へ?」
相川鉄也「お待たせしました」
本多信和「このスープ黒いな!」
汐見ゆとり「まずは召し上がってみてください」
有栖涼「まずは一口」
本多信和「美味いじゃねーかよ、このスープ。しょうゆの味が強烈に立ってんな」
有栖涼「このスープに玉ねぎの微塵切り、これは竹岡式ラーメンがベースか!」
汐見ゆとり「流石有栖さん」
本多信和「なんだいその竹岡式ってのは?」
芹沢達美「千葉県富津の港町竹岡が発症で内房地方を中心に根付いた地ラーメンです」
有栖涼「作り方がちょっと特殊なんですよ。まずは乾麺を茹でて、茹で上がったらしょうゆだれの入った」
有栖涼「丼に茹で湯ごと入れちゃうんです」
本多信和「乾麺の茹で湯でタレを割ったスープ、それじゃあインスタントラーメンと一緒じゃねーか」
有栖涼「いや、なのに不思議とスッキリしつつ力強う味になるんです。もちろんこのスープはそれだけじゃないみたいですけど?」
本多信和「そうなんだよな、これ凄い凝ったスープだよな?醤油以外のうま味もあるし、酸味がいいアクセント出してるな」
相川鉄也「いやスープを良い風味を立たせるのが目的なんで鰹節と煮干しと昆布でささっと取りました」
須田正史「油は殆どないのでもうグリストラップを詰まらせることもありません」
有栖涼「となるとポイントは醤油ダレだな、醤油と味醂でチャーシューを煮ることで豚肉のうま味を引き出し」
有栖涼「そこに更に加えたのは・・・トマト!それもドライトマトを加えて煮詰めたんだ」
汐見ゆとり「正解です、よくわかりましたね」
本多信和「ドライトマト?それでこんなにうま味が出るのか?」
芹沢達美「トマトはグルタミン酸が豊富で乾燥させると煮干しや鰹節に負けないうま味の塊なの、豚肉のイノシン酸の相乗効果も加わって更に醤油ダレを通常の倍、入れることによって見た目も味も強烈なインパクトを与えるラーメンに仕上がってる」
社長と河上部長がくれたヒントのおかげです」
芹沢達美「で?このラーメン幾らで出すつもり?」
相川鉄也「500円です!」
本多信和「500円?このボリュームでそれは安すぎだろ?」
須田正史「チャーシューの煮汁を醤油ダレに転用して原価率を抑えてますし500円という価格は強い引きになるハズです!居酒屋で昼だけやってるラーメン屋だけど低価格ボリューム満点のラーメンが食べられるっていい」
有栖涼「良い狙いだよ、ワンコインでお腹いっぱいっていうのは」
芹沢達美「私の出した条件全てをクリアしてる。これなら合格よ!」
須田正史「相川君、いい勉強になったよ。コンサルタントとして、一人のラーメンオタクとして、僕は君を誇りに思います」
相川鉄也「須田しゃん!」
汐見ゆとり「ラブだ!ラーメンラブだ!」
芹沢達美「参加する?私は帰るけど」
汐見ゆとり「いえ、じゃあ私も、アイラブラーメン!!」
汐見ゆとり「社長今回はありがとうございました」
芹沢達美「何が?」
汐見ゆとり「私調理技術だけじゃダメだって言われて自分を全否定されたような気になっていたんです。でも、それ以上に大事なのはやる気なんだってことがわかりましたから」
芹沢達美「そうよ、例え調理技術が未熟でも、経験が不足でも、やる気があるのが一番なんだから」
汐見ゆとり「社長」
芹沢達美「だってシャカリキにやる気のある社員の方が使い勝手がいいでしょ?空回りして失敗しても心の底から笑えるし」
汐見ゆとり「は?」
芹沢達美「それとクライアントもみんながみんな慎重で利口になっちゃうと内が損するから、よく覚えておきなさい。一番効率よくコンサルティング料をむしり取れるのは「やる気だけはバカ」だって」
汐見ゆとり「なんですかそれ?真面目に聞いていたら社長は結局ギトギトでゲバゲバじゃないですか」
芹沢達美「うるさいこのヨレヨレの雑誌!」
汐見ゆとり「ヨレヨレの雑誌?私もう人間ですからね?雑誌じゃありませんよ?いい加減人間扱いしないとまた歌いますよ!」