あの恵里が、おばあが、ゴーヤーマンが、お茶の間に戻ってくる!好評を博した連続テレビ小説「ちゅらさん」の続編!
1話ネタバレ
月曜ドラマシリーズ 「ちゅらさん2」1話ネタバレ
お久しぶりでございますねえ。 いよいよ 待ちに待った『ちゅらさん2』が始まるよ。 あれから 1年ぐらい たったけねえ。 恵理も 文也君も 元気にやっているようだねえ
恵理「『ちゅらさん2』!」
の 始まりさぁ!
エリィ事 古波蔵恵理は 運命の人 上村文也君に出会いました。 亡くなった 文也君の兄・和也君の 木の下で幼い2人は 将来を誓い合ったのです。
やがて 2人は 東京で再会しました。
そして 和也君の木の下で 結ばれることになったのです
文也「恵理 結婚しよう。」
湘南の和也も生まれ
幸せいっぱいの2人でしたが 和也が 心の病に… そして 恵理も 重い病気に かかってしまいました。
文也君の手術で 一命を 取り留めた恵理は
ふるさと 小浜島で 新しい生活を始めたのです
こはぐら壮
♪~(『小浜節』)
恵理「みんな ご飯ですよ! 起きて!」
文也「はい…。」
恵理「和也! 和也 早く起きなさい!」
文也「…あ。 フッ…。 ん?」
恵理「なんか 後ろ姿が お父さんみたいだったよ。」
文也「え? …あ そう。」
恵理「うん。」
文也「俺も 大分 沖縄の 男みたいになってきたかねえ。」
恵理「うん。 なってきた なってきた。 あ。 でも ダメなところは 似たら ダメだよ。」
文也「何『ダメなところ』って?」
恵理「浮気するとことか 働かないところとかさ…。」
古波蔵家
恵文「(くしゃみ3回)」
恵達「(くしゃみ)」
ハナ「何してるか?!」
勝子「文ちゃん 仕事 休むのは ダメだよ!」
恵文「何も言ってないさ まだ そんな事…。」
祥子「『まだ』?」
恵文「え… ヘッヘヘヘ…。 誰かが 噂してた 今…。 絶対していたね。」
ハナ「『あんなふうになるな』とか 言ってるに 決まってるさ。」
恵文「何で 何で そうなる訳?」
恵達「俺は 1回(くしゃみ)しか してないからよ。」
恵文「裏切り者 恵達。」
恵達「何でよ?」
勝子「でも 最近の恵達は 何か 文ちゃんに似てきたよね。」
祥子「えっ?」
恵達「何 言ってる訳? そんな事ないよ。」
恵文「なに ムキになって 否定してるか 恵達?」
こはぐら壮
恵理「本当に 毎朝毎朝 起きないんだから この子は…。」
和也「お母さんも そうだった…。 全然 起きなかったって。 那覇の ちっちゃい おばぁが言ってたさ。」
恵理「…お母さん。」
文也「ハッハハハ…。」
文也「恵理もさ 本当 沖縄の女って 感じになってきたよなあ。」
恵理「え? 褒めてるんだよね それ?」
文也「…え?」
古波蔵家
勝子「(くしゃみ)」
祥子「お母さん 大丈夫ですか?」
勝子「噂してるのかね…『勝子さんは いつまでも きれいだねえ』とかって…。」
恵文「『勝子さんは 怒ると 怖いからねえ』とか 言っていたんじゃないかね。 ねえ祥子ちゃん?」
祥子「え? いいえ そんな 私… とんでもないです。」
勝子「そうだよね。 優しいよねえ。」
祥子「はい。」
勝子「いい噂に決まってるさぁ。 文ちゃんとは 違うよねえ。」
祥子「え? …いえ それも なかなか『はい』とは 嫁としては 言えないですね…。」
島袋「おはようございます! 島袋です! 朝ご飯 いただきにきました!」
一同「(笑い)」
島袋「あれ? 何か いい事でも あったんですかねえ…。」
ハナ「相変わらず 間の悪い男だね。」
こはぐら壮
文也「和也 いっぱい 食べていけよ。」
恵理「ねえ 褒めてるんだよね 文也君?」
文也「いや… 褒めてるっていうか 恵理も いつか おばぁみたいに なるのかなあと 思うんだよね 最近…。」
古波蔵家
くしゃみをこらえるハナw
一同「(感嘆の声)」
一風館
柴田「(くしゃみ)」
容子「大丈夫?」
柴田「ええ 何とか…。 似ている…。」
容子「時間ないよ。」
柴田「はい…。」
みづえ「でも あれね 恵尚君と奈々ちゃんが そろってるのも 久しぶりよね。」
島田「いや~… そうだよねえ。」
恵尚「皆さんも ご存じかと思いますが 私 古波蔵恵尚『旅を追い求める男』と 申しましょうか『夢追い人』とでも言いましょうか。」
奈々子「こらえ性がないんです。」
恵尚「はい そのとおりです。」
奈々子「でも 夫婦だからって ずっと 一緒にいなくちゃ いけない訳じゃない…。」
容子「分かる!」
奈々子「ありがとうございます。 それに この人 ずっと 一緒にいるには ちょっと 顔が濃すぎる…。」
恵尚「ん?」
容子「あ それも分かる。」
柴田「…え?」
容子「あ 島田さん。」
島田「ん?」
容子「ヨーロッパ もうすぐだね。」
島田「うん。」
みづえ「そうねえ。」
島田「いやいや 真理亜ちゃんのお陰でね 敬愛する指揮者のコンサートに くっついて ヨーロッパを回れるなんてね…。」
容子「あんた 偉いねえ。」
真理亜「いやいや…。」
容子「でも 人に仕事を紹介したり できる割には 自分の仕事は サッパリだね。」
真理亜「う…。」
容子「長いスランプだねえ。」
真理亜「うるさい!」
奈々子「あ~ また こぼして もう…。 はい ああ~ん。」
真理亜「ちょっと! 何なのよ! このアパートは 一体 どうなってんの!」
容子「まだ 言ってるの! いいかげん 慣れなさいよ!」
真理亜「鳴れないわよ! 大体ね 管理人さん! 私が ここに入居した時には『独身者のみ』って…。 そういう契約じゃ なかったっけ?」
みづえ「あら そうだったかしら…。」
真理亜「…あ~ もう~『そうだったかしら』って…。 あ~ あいつのせいだ。」
容子「『あいつ』って… 恵理ちゃん?」
真理亜「そうよ。あの笑顔の悪魔。 またの名を『宇宙人』」
こはぐら壮
恵理「(くしゃみ)」
文也「大丈夫か?」
恵理「うん…。 何かねえ…。」
和也「いってきます!」
文也「あ いってらっしゃい!」
恵理「いってらっしゃい! 気をつけてね!」
和也「分かってるさ!」
恵理「いってらっしゃい!」
文也「気をつけてな! 和也も 島の子になってきたよなぁ。」
恵理「うん…。 よかった。」
文也「…うん。」
道中
和也「あ 宮良のおあばぁ! おはよう!」
宮良のおばぁ「はい おはよう 和也君。」
和也「宮良のおばぁは 何歳?」
宮良のおばぁ「ん… そうだねぇ…。 80歳から先の事は 忘れてしまったさ。」
和也「ふ~ん。 じゃ いってきます!」
宮良のおばぁ「はい いってらっしゃい! 恵理ちゃんの 文也先生に よろしくの!」
和也「は~い! じゃあね!」
こはぐら壮
恵理「今日も 頑張るぞ!」
恵理「血圧 測ろうね。 すぐ 終わるからね。 食欲は 最近 どんな?」
道中
恵理「おじぃ こんにちは!」
男達「恵理ちゃん こんにちは!」
小学校
恵理「あ…。」
こはぐら壮
恵理「ただいま! あれ…?」
和也の木
こはぐら壮
恵理「『キジムナーの姿は どこにもない。 でも キジムナーと見た あの夢は アンディの空へのあこがれを ますます かきたてるものとなった。 夜 キジムナーは やってきた。「よう 兄弟! また 空の散歩といこうぜ」。「ありがとう 兄弟。 でも 本当の事を言う」…』」
文也「寝た?」
恵理「うん。」
文也「ホント お父さんみたいには 全然 うまくなんないや。」
恵理「だって お父さんは そればっかり やってるのに…。」
文也「あ そうか…。」
恵理「うん。 ねえ 文也君。」
文也「ん?」
恵理「何か 隠してる?」
文也「…え?」
恵理「あ… 何か 悩んでる? 沖縄の女は 勘が いいんだよ。」
文也「俺… 実はさ… 好きな女の人がいてさ。」
恵理「…え? ウソ…?」
文也「その人は 子供の頃にした 結婚の約束を 大人になっても ず~っと 信じてるような人でさ。」
恵理「…え?」
文也「…ハッハハハ。」
恵理「は~…。 もう~ ひどい! もう… 今 いろんな事を 考えてしまったさ 私…。」
文也「ごめん。 …信じた?」
恵理「だってさ…。」
文也「ごめん。 あ~ぁ…。 何か考えてること バレちゃうんだよなあ。」
恵理「今日… 文也君 ガジュマルの所に居たさぁ。 何か いつもと違ってて 話しかけられなかった。」
文也「うん…。 兄貴と話してたんだ。」
恵理「和也君と…?」
文也「うん…。 あのさ… 恵理。」
恵理「…はい。」
文也「俺ね… この島が好きだ。 この島 大好き…。 本当に 好きなんだ。」
恵理「…ありがとう。」
文也「でもね… ちょっとだけ 後悔してる…。 ちょっとだけね。」
恵理「…この島に来たことを?」
文也「うん…。 あ そういう意味じゃなくて 保健室…。 島の保健室。 今になって言うのは あれなんだけど… 最近 感じるんだ。 俺… おじぃや おばぁ達の 力に なれてるのかなあって…。」
恵理「なれてるさ もちろん。」
文也「あぁ…。 でも もっと なれるはずだって 思うんだよね。 力 足りないなあって… 勉強 足りないなあってさ。 やっぱり 何か もっと できるはずだと思うとさ もう1回 勉強するべきなんじゃ ないかなって 思うんだよね。 だから いったん 東京戻って 勉強したいなあって… そんな事を 考えてました。」
恵理「ありがとう。」
文也「…え?」
恵理「ありがとう 文也君。」
文也「…何で?」
恵理「だって『島 好きだ』って 言ってくれて うれしかったからさ。 どっかで思ってたから 私は 文也君に対して わがままだったんじゃないかって この島に 来たのだって 確かに 私にとっては 生まれた島だけど 文也君にとっては…。」
文也「やめろ バカ…。」
恵理「でも うれしかったから…。 東京で 勉強すれば いいさ。 文也君が そうしたいと思うなら そうすれば いいよ。 私は…。」
文也「そう簡単には いかないよ。」
恵理「なんで?」
文也「和也の事だってあるし…。 こいつ この島に居るから 今じゃ 全然 気持 強くなったけど…。 東京戻って どうか分からないし…。 みんな 顔見知りみたいな この島だから 大丈夫だけど…。]
文也「東京戻って また あんなふうに ならないとは かぎらないんだ。 それに 君も大病して 死にかけたことあるのを 忘れてない? 恵理のためにもさ この島に暮らすのが いいんだよ。」
恵理「忘れてた。」
文也「忘れるな。 …だから 俺1人 東京に行ったほうが いいんじゃないかなって… そう思ったんだよね。」
恵理「そんなの ダメさ。 家族は… 家族は 一緒にいないと ダメ。 ダメだよ。 和也の事は 和也に聞いてみよう 東京に行きたいか どうか…。」
文也「え? むちゃ言うなって。 それは ダメだよ。」
恵理「なんで?」
文也「子供に 何でも話すってのは いいと思うけど…。大事なことは 親が 決めてあげないと…。 俺は そう思うけどさ。」
恵理「…うん。」
文也「…別に 今すぐ 決めなきゃ いけない訳じゃないから 考えよう。」
恵理「…うん。」
文也「ごめん 黙ってて…。」
恵理「ううん。 …ありがとう。」
業連市場
勝子「はい ゴーヤね。 シマラッキョウも おいしいよ。 持っていきなさいね。 入れておくわね。 はい 1,200円。」
恵文のタクシー
(無線)「84号車 どうぞ」
(ノック)
恵文「ウェルカムです。」
島袋製作所
2人「(ため息)」
恵達「休みますか…。」
島袋「休みますかね。」
恵達「休みましょうかね。」
島袋「休みましょうねえ。」
2人「あ~ぁ…。」
祥子「(ため息)」
2人「あ~ぁ…。」
こはぐら壮
(電話の呼び鈴)
文也「そんな 赤くないですね。 あ ちょっと待って下さい。」
恵理「大丈夫だよ。 私が出る。」
文也「あ ホント? ありがとうね。」
恵理「お茶 飲んでてね。」
恵理「もしもし? …あ 祥子ちゃん。」
古波蔵家
祥子「姉え姉え。 お願い 那覇に来て!」
こはぐら壮
恵理「どうしたの 祥子ちゃん?」
古波蔵家
祥子「お願い お願い 恵理! 話があるのね みんなに…。 恵理にも居てほしいの。 助けて!」
そして
恵文「和也… 明日 おじぃと 遊びに行こうか? どこでも 連れてって あげるさ…。」
勝子「文ちゃん 明日 仕事でしょ。」
恵文「仕事してる場合じゃないさ。」
恵達「ただいま!」
恵理「あ…。」
和也「恵達!」
恵達「…和也!」
恵理「和也… あんたの名前 決める時に どっか行ってた 恵達叔父ちゃんが 帰ってきたねえ。」
恵達「…まだ それを言うか。」
恵文「ここへ おいで。」
恵達「で… 何? どうしたの?」
恵理「え?」
勝子「あ そうそう。 どうしたの? 恵理…。 何か 那覇に 用事でも あったわけ?」
恵理「ん? …ううん。 …うん。 何となく。」
勝子「あ そう…。」
恵文「そうか 和也が『どうしても おじぃに会いたい』と 言った訳か。」
和也「僕 そんな事 言ってないさ。」
恵文「…ん?」
恵理「ねえ…。」
勝子「バカだねえ。」
恵文「楽しいねえ。 ハッハハハ…。」
恵理「…恵達 あんた なんか さえない顔してるけど 大丈夫ね? どんな ロックのほうは?」
恵達「今 充電中。」
恵理「なに それは? しっかりしなさいよ! 祥子ちゃん 泣かしたら 姉え姉えが承知しないからね。 何かあったら 姉え姉えに 相談しなさい。」
恵達「誰がよ…。」
恵理「何?」
恵達「こっちのセリフさ。 文也君 困らせてないか 姉え姉え?」
恵理「何で 私が困らせる訳?」
(誠 流美子)「こんばんは!」
恵理「ん?」
恵文「ん?」
恵理「…あっ!」
玄関
恵理「あ~ぁ…。」
誠「えりぃ マイラブ。」
恵理「はぁ?」
こはぐら壮
文也「は~。 はぁ~ 静かだな…。 ま たまには 悪くないかもな…。」
(男達)「こんばんは! 文也先生 こんばんは!」
文也「皆さん どうしたんですか?」
男A「恵理ちゃんと和也君が 船で那覇に行ったっていうからさ。」
男B「1人じゃ 寂しいだろうと 思って みんなで来た訳さ。」
(男達)「飲もう! 文也先生!」
文也「ありがとうございます。 でも 皆さん 飲み比べは ダメですよ。 体に悪いですからね。」
(男達)「は~い! 分かりました。」
ゆがふ
真理亜「まったくさ 冗談じゃないわよ…。」
遥「そうですよね…。」
真理亜「そうよ。 くっつきゃ いいってもんじゃ ないわよ。」
遥「そうです。 先輩の おっしゃるとおりです。」
真理亜「おお 飲め。」
遥「はい いただきます。」
静子「そりゃね 会社は うまく いってるし 仕事は楽しいし それは それで 楽しいのよね。」
兼城「え?」
静子「でも 恋は したいな。」
兼城「…ですねえ。」
静子「であるよ。」
遥「でありますね…。」
真理亜「ん? 何か言った?」
遥「え? あ いえ… 私は 先輩に付いていきますから。」
真理亜「ハッハハハ…。 よし 付いてこい!」
遥「はい…!」
古波蔵家
居間
勝子「東京か…。」
恵理「うん…。 でも すぐって訳じゃ ないけどさぁ。」
恵文「ふ~ん。 なんで また 東京。 遠いねえ…。」
恵理「でも まだ 決まった訳じゃないよ。 和也の事もあるし…。」
恵理「私が『和也に聞いてみれば いいさあ』って言ったら 文也君に『それは違う』って 怒られてさ…。『親が考えてやらなきゃ いけないんじゃないか』って…。」
勝子「そう。 お母さんも 文也君が正しいと思うな。」
恵理「そう?」
恵文「うん。 お父さんも そう思うさ。『子供が『そうしたい』って 言ったから そうしようっていうのは 親が逃げているだけさ。 特に 小さいうちはね 親が考えるべきよ。 もう 無い頭 しぼってさ 頭痛くなるぐらい 子供の事 考えて それで いい訳。」
恵文「それで結果が悪くたって いいさ。 大事なのは 頭が痛くなるぐらい 考えることさ…。 そうすれば 子供は いつか 分かってくれるよ。」
恵理「うん 分かった。」
流美子「いい話だね。」
誠「うん。」
恵文「であるか?」
誠「はい。」
恵文「であるか?!」
誠「はい!」
恵文「いや~ こりゃ まいったな…。 ふだん ダメな振りをしてる事 バレてしまったかね…。」
ハナ「全然 バレては いないさ。」
恵文「おばぁ…。」
勝子「ホント… 文ちゃんはダメな振りは 天下一品だよねえ。」
恵文「ウッハハハ…。 であるか? ウッハハハ…。 ん?」
玄関前
誠「あ 痛い 痛い 痛い…。」
誠「痛い… 流美子。 あのな 流美子… これはよ 俺の 流美子への愛情表現なんだよ。 恵理の事は とても好きだけど それでも 俺は 最後に お前を選んだっていう 愛情表現なんだ。 分かる?」
流美子「分かってるさ。 バカ…。」
誠「すみません。」
居間
恵文「恵理…。」
恵理「何?」
恵文「ありがとう。 その事を話すために 帰ってきてくれたんでしょう?
恵理「え… あ… いや…。」
恵文「ん?」
恵理「いや…。 ううん。」
祥子「私が呼んだんです…。 姉え姉えに来てもらったんです。」
恵達「何で?」
恵理「どうした訳 祥子ちゃん?」
恵達「何 話って… 祥子?」
祥子「…うん。」
勝子「何でも言って いいよ 祥子ちゃん。」
ハナ「そうよ。 勝子さんは 遠慮なんか したことなかったよ。」
勝子「そうだよ…。 おばぁ…。」
ハナ「フッフフフ…。」
恵理「祥子ちゃん。」
祥子「…うん。 あの~。 あの… 私…。 恵達と東京に帰りたいんです。」
恵達「はぁ?!」
恵理「祥子ちゃん…?」
恵達「何で 急に? どうした訳? 帰りたくなった訳… 東京に? 沖縄 嫌になった?」
祥子「ううん。 そうじゃない。 沖縄も このうちも大好き。 ホームシックとかじゃないの。」
恵達「じゃ 何でよ? 何で 東京なわけ?」
祥子「恵達が このままだと ダメになるから…。」
恵達「何か それ? どういう意味よ? 意味 分からんよ。」
祥子「ウソ…。 分かってるくせに…。 だって 私が好きになった恵達と 違うんだもん。 音楽に取り組んでる恵達を 好きになったんだもん。 そりゃ うまくばっかりは いかないの 分かってるし 私には 分からない つらさあると思うけど でも このまま やめちゃうの 嫌なの。」
恵達「そんな事 言ってないだろ。 もう やめれよ!」
恵理「恵達! ちゃんと 話 聞かないと ダメだよ。 座りなさい! 恵達!」
祥子「沖縄に来てから 最初は 順調だったけど 恵達が どんどん 悩んでいくのが 分かった。 でもね 私は 何も 助けてあげられなくて…。 でも 沖縄に居て よかったって 思った。」
祥子「みんな 温かいし 恵達の事 追い込んだりしないし よかったって思ったのね。 恵達が『島袋製作所』で 働くようになったのも 金銭的に 私に負担かけたくないからだというのも 分かった。 でも… 恵達 そこから 変わった。 考えなくなったでしょう… 音楽の事…。 もう いいやって思ってる。」
祥子「お酒も 飲むようになった。それに ギターを触ろうともしない。 もう ずっと 見てない…。 成功なんか しなくたって いいの。 恵達は 私にとって スターだもん。 でも やめて ほしくない。 音楽の話 してる恵達が 大好きだったし…。 この中で 沖縄の人間じゃないの 私だけだから 言いにくいけど…。」
ハナ「いいさ。 言いなさい。」
恵理「そうだよ 祥子ちゃん。」
祥子「『それでも いいか』って そういう 気持になっちゃうところが 少しだけ沖縄の嫌なとこなんです …ごめんなさい。」
恵理「そんな… 謝ることないさ。 ねえ?」
ハナ「うん…。」
恵達「何でよ…? そんなの 俺と祥子の話だろう。 何で みんなの前でする訳? 姉え姉えまで呼んでからに…。 まったく もう…。」
祥子「だって… 家族だって思ったから…。」
勝子「そうだねえ。 確かに 最近の 恵達は ダメでさるさ うん。」
恵達「何か それは?」
勝子「文ちゃんに 似てきたし…。」
ハナ「であるねえ。」
恵文「…何か それは?」
勝子「うん それじゃ ダメである。 文ちゃんになったら ダメだよ 恵達!」
恵達「はぁ?」
祥子「いや 私 言ったのは そういう意味じゃ…。」
勝子「いいの いいの。 分かってる。 祥子ちゃんは 黙ってなさい。」
恵理「祥子ちゃんが言ってるのは そういう事じゃないと思うけど。」
勝子「恵理も 黙ってて。 恵文さんには 私も言いたい事あるんだから…。」
恵文「…何?」
恵理「お母さん…。」
勝子「だから『黙ってなさい』って 言ってるでしょう。 …恵理 あなただってあるでしょう? 文也君に言いたい事 言いなさい。」
恵理「…『言いなさい』って居ないし。 それに 別に 無いのに…。」
祥子「無いの?」
恵理「無いさ…。 変?」
勝子「無くても 何か見つけなさい。」
恵理「『見つけなさい』ってメチャクチャ…。」
恵文「そうだよ メチャクチャさ。」
勝子「恵文さんは 黙ってなさい!」
恵文「なんで?」
恵文「ねえ ちょっと 待って! 俺の話は…。」
勝子「うるさい!」
恵達「うるさくないさ。」
勝子「あんたは お父さんみたいに なったら ダメだよ…。 恵文さんは こういう人だったんだから…。」
恵文「いやいや ちょっと…。」
勝子「恵達は 祥子ちゃんと 東京に行きなさい。」
祥子「え?」
恵達「やだよ。」
恵文「そうだよ。 いいさ。 沖縄で のんびりして ゆっくり生きて 何が 悪い訳? 祥子ちゃんの言う事も 分かるけど 恵達にとって 今は そういう時期な訳よ。 人生の中で お休みする時期というのも ある訳さ。」
(うなずく恵達)
ハナ「ずっと お休みしてる人に 言われてもねえ。」
(テーブルに頭をぶつける恵達)
恵文「おばぁ!」
恵理「もしもし 皆さん ちょっと 落ち着いて…。」
勝子「分かりました。」
恵理「え?」
恵文「何が?」
勝子「私は 祥子ちゃんの味方ですから 男と女で 闘わせていただけいます。」
恵理「はぁ?」
恵文「何だ それは?」
恵達「闘うって 何を?」
勝子「祥子ちゃん。」
祥子「はい…。」
勝子「恵理も おばぁも あっちに行きましょう!」
(祥子 恵理)「はぁ?」
ハナ「2人とも 行こうか!」
恵文「いいさ 行きなさいよ! 女は あっちへ! なあ 恵達…。」
恵達「え? …あぁ。」
恵文「飲もうよ 恵達。 冗談じゃないさ。 なあ! …あらっ。」
台所
勝子「あ~ あ~っ。」
祥子「お母さん。」
勝子「…何?」
祥子「わざとですよね 私だけ 悪者っていうか 文句 言ってるように 見えないように わざとですよね?」
恵理「そうなの? そうか…。 うまくいってるんだ 祥子ちゃん お嫁さんとして…。」
勝子「ダメなところも 気に入らないところも たくさんあるよ 祥子ちゃんは。」
祥子「え?」
勝子「当たり前さ そんなの…。」
祥子「はい…。」
勝子「でもね 苦しい時は 私は 祥子ちゃんの味方になる。 私も おばぁに そうしてもらったから…。 どんなに それが うれしかったか…。 だから 同じように しようと思ってた訳…。」
祥子「お母さん。」
勝子「…うん。 でもね あいつら 調子に乗ってるのも 確かさ。 少し 反省させたほうが いいよ…。 うん。 沖縄の男はね 甘ったれさ…。」
ハナ「だからよね。」
勝子「うん。」
恵理「ま… 文也君は 沖縄の男じゃないし…。」
勝子「裏切る訳?」
恵理「え? 裏切るとか そんな…。」
(笑い声)
恵理「飲んで。 乾杯しよう!」
4人「乾杯!」
居間
(女達の笑い声)
台所
勝子「は~っ。 そうさ…。 もう少し 分からせたほうが いいよ。 うん。 よし…!決めたあ!」
恵理「え 何を?!」
翌朝
(ラジオ体)「操第一! ♪~手を前から 上にあげて 背伸びの運動から はい 1 2 3 4 5 6 手足の運動!」
こはぐら壮
文也「はい もしもし? …あ 恵理。 …あぁ。 はぁ?」
古波蔵家
恵理「いや 何か分からないけど そういう事になってしまったから。」
勝子「恵理!」
恵理「はい。」
文也☎「なってしまったから」って?」
こはぐら壮
文也「…『はい』?」
古波蔵家
恵理「とにかく ごめんね。 ごめんね じゃあね。」
祥子「何で こんな事に なってしまうの 恵理?」
恵理「私も分からんさ。」
勝子「グジュグジュ 言わない!」
(祥子 恵理)「はい。」
一風館
グアテマラ
真理亜「あ~ぁ…。 書けない…。 あ~ あ~。」
真理亜「(悪寒)えっ…? 」
真理亜「(息遣い) この感じ… ひょっとして…。」
古波蔵家
2人「はあ…?」
ハナ「おばぁは 行かなかったさ。 なぜかというとね 大事な用事があるからさ。」
ハナ「ちょっと 出かけてくるねえ。」
一風館
サロン
容子「ど… どうしたの?」
真理亜「いや… 何か 嫌な予感が…。」
柴田「『…嫌な予感』?」
真理亜「そう。 …あいつが。 あいつが…。」
恵理「こんにちは!」
一同「え~っ!」
恵理「あ~っ! どうも 皆さん お久しぶりです! どうも! お~ 懐かしいさあ!」