作業場から光子が様子を見ている
光子「どう思う? 怪しくない? 音のことが心配なの。」
岩城「裕一君… でしたかね。 いい目をしとります。」
光子「そう? 私には とぼけた顔に見えるけど。」
岩城「極める目です。 私には分かります。」
光子「岩城さんも そういう目よね。」
岩城「いや… 俺なんて 安隆さんに比べたら。」
光子「あの人 忙しい時以外 作業しなくなったでしょう。 何でだか分かる?」
岩城「いや…。」
光子「岩城さんの腕見て かなわないって。 自分が最高だと思っとったけど 上には上がいるって。 だから 会社の経営に専念したんだけどね。」
光子「おかげで 商売は広がったけど…。 大阪になんか行かなきゃよかったのに。」
岩城「寂しいんですか?」
光子「あの子たちとも あと少しでし… どうしよう。どうしたらいい?」
音「行ってくるね。」
光子「あんまり遅くならんでね。」
音「は~い。」
光子「さっき言ったこと 忘れんでね。」
道中
裕一「花火見たことないから 楽しみです。」
音「本当に?」
裕一「うん! 夜空に パ~ンって こう 広がるのは知ってるんですけど…。」
音「バ~ン!」
裕一「わっ!」
裕一「とりだ~!」
音「あ~ おいしそう!」
屋台「さあ いらっしゃい いらっしゃい!」
音「食べとる 食べとる。 きれいね。」
裕一「いいねえ。」
音「あっ 金魚すくい!」
裕一「おっ。」
金魚すくい
裕一「頑張れ! あ~ いいよ いいよ! いいよ いいよ ほれ… あ~難しい。」
音「よっしゃ!」
裕一「お~!」
射的
2人「あ~!」
屋台「狙って 狙って…。」
音「あ~!」
裕一「あ~ 惜しい!」
音「行くよ…。」
2人「あっ… おっ!? おっ おお~!」
お化け屋敷
音「ギャ~! わっ! ああ~!」
裕一「お… 音さん 音さん。 さすけねえから。 さすけねえから…。 怖くねえから ほら。」
音「ガッ! うわっ!」
裕一「行くよ 行くよ。 どうも。」
手筒花火
裕一「ねえ あれ 持つの?」
音「そうなの。 すごいでしょう?」
裕一「へえ~。」
豊橋発祥の 手筒花火は 昔から たくさんの人に親しまれてきました。 花火を自ら作り あげるのが この地域の伝統です。
裕一「おおっ! おお~!」
裕一「おなかすいた。」
音「焼き鳥食べたい。」
裕一「あ~ いいね!」
帰宅
裕一「わ~ すごかった!」
音「アハハ!」
裕一「あ~ ここにも手筒花火あったんだ! 気付かなかった。」
音「そうなの。」
裕一「えっ? と… と… 父さん?」
三郎「裕一… お か え り。」
裕一「いや…。」