演奏会の打ち上げ
吟「いや~ 感動した! 私の隣の人 感動して泣いとったわ。」
光子「先生は大号泣。 何か… 少し怖くなるくらい感動しとったわ。」
回想
回想終了
音「梅 ありがとう。」
梅「すっごくよかった。 お姉ちゃん うまいんだね。」
音「今更? プロの音楽家 目指しとるのよ。」
光子「フフフ… 裕一さんも立派だったわね。 音楽離れると… あんな感じだけど。」
裕一「やっぱ 僕 真ん中 駄目です。」
関内家
音「大変 大変!」
吟「何ぃ!? 何があったの?」
音「鶴亀が… 鶴亀が 金 持ち逃げした~!」
光子「だから言ったでしょう。 いい薬になったわね。」
音「悔しい! 警察行く! それとも 自分で捕まえる!」
吟「明日 東京行くのよ!?」
音「だけど あのお金があれば お母さんに迷惑かけずに済むと思っとったのに!」
光子「最初から出すつもりだったから。」
音「裕一さん 悔しいよね?」
裕一「えっ? いや… いや… 音さんと舞台立てたし 音楽仲間にも出会えたし 楽しかったから いいんじゃない? ねえ? うんうん…。」
吟「あっ…ねえ 海 行かない? 明日 出てくし お父さんに挨拶しときたい。」
音「私 もう お墓で したよ。」
吟「いいじゃん! 行こうよ! ねっ?」
裕一「行こう! 行きましょう。 行こう。」
吟「行こう。」
海
吟「お父さ~ん! 東京で いい人見つけるからね~!」
光子「じゃあ 音の番。」
音「私は この前 いっぱい お願いしたからいい。」
光子「梅。」
梅「いい いい… いい 私は。」
光子「てれんで やって。 ほら。」
梅「必ず 絶対 作家になりま~す!」
光子「う~ん! あっ そうだ 音。 歌 お父さんに聴かせてあげたら?」
裕一「あ~ それ いいです!」
吟「さすが お母さん。」
光子「フフッ。 どう? 音。」
音「うん。」
音♬「暮れゆく 暮れゆく 夕焼けの空」
「あかねや 金色 落ち葉の道 あるけき旅は いつかみた雲 こえたなら 会えるだろうか」
「過ぎし日はせつな 懐かしき小道 やさし面影 こころに灯して」
光子「お父さんも きっと喜んどるわ。」
音「裕一さんも 何か言って。」
裕一「えっ? 僕ですか?」
音「お父さん 裕一さんの言葉 聞きたがってると思う。」
裕一「えっ じゃあ… えっ? 音さんを産んでくれて ありがとうございま~す!」
梅「フフフフ…。」
光子「えっ?」
裕一「うん? ど… どうしました?」
光子「産んだのは 私。 えっ? あの人は ただ おろおろしとっただけ。」
裕一「あ~ いやいや… 違います。 あの… 広い意味で… あの その…。」
光子「分かっとる。」
音「お父さんから産まれたのか~。」
吟と音は東京へ。
裕一は福島に帰りました。
小山田耕三登場
猿橋「先生 こちらの記事 お読みになりましたか?」
小山田「どれが どうした?」
猿橋「経歴 見て下さい。 国際作曲コンクールで2等とあります。 ご存じでしたか?」
この男 小山田耕三。 日本作曲界の重鎮である。
猿橋「ストラヴィンスキー…。 『新世代の音楽。 先生の後継者が ようやく現れた』。 大絶賛ですね。 よかったですね。 いつも 若い人たちが出てこないと 先生嘆いてらっしゃったので。」
小山田「本物か まがい物か… 楽しみだね。」
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