東京
町民「おい! ぼけって歩いてるな!」
裕一「すいません…。 東京 怖いな…。」
裕一「音さん。」
音「裕一さん…。」
音「一緒に住む?」
吟「ええ~っ!? 困る! だ… だって 新婚でしょう?」
裕一「ああ… いや…。 でも… あっ…。」
吟「音? 音… 駄目よ。 ねえ 待って… 待って!」
コロンブスレコード
契約を交わすために レコード会社を訪ねました。
廿日市「1年3500円。 結構なもんでしょう? まあ… 僕の年収に比べれば 少し落ちるんだけど。」
裕一「ああ…。」
廿日市「この意味 分かる?」
裕一「あっ…はい。」
廿日市「月に2曲は作曲してもらう。 基本は 毎日レコード会社に来て 仕事なんだけど まあ それは適当でいいから。」
裕一「はあ。」
廿日市「このお金に 言っちゃえば 君に お金貸してるのと同じなんだよ。」
裕一「はあ。」
廿日市「早くヒット曲出して 会社にお金返そうね。」
裕一「はい。」
廿日市「言ってる意味… 分かるよね?」
裕一「はい はい…。」
廿日市「よし。 じゃあ ここに住所と名前書いて。」
契約後の裕一と音
裕一「いや~ ヒット曲なんて書けっかな?」
音「裕一さんなら大丈夫!」
裕一「うん…。 大丈夫かな~?」
契約後の廿日市
杉山「廿日市さん レコーディングが始まります。」
廿日市「大御所だから使ってるけど つまんねえ曲だよね~。 やめた! 行かない。」
杉山「『つまらないから行かない』と伝えます。」
廿日市「おい! おい ちょっと… ちょっと待て! 君はバカなのかな?」
杉山「冗談です。」
廿日市「分かりづらいよ。」
杉山「新入りの作曲家は いかがでした?」
廿日市「頼りねえな~。 まっ 木枯とあいつ どっちかは1年でクビだな。」
杉山「小山田先生の推薦ですが。」
廿日市「そう それ。 それが謎なのよ。」
新居探しは 音の音楽学校の近くで始めました。
しかし なかなか いい物件が見つかりませんでした。
音「うん? 喫茶店?」
裕一「バ… バンブー?」
『竹取物語』の『竹』ですから 入らないわけにはいきません。
保「いらっしゃいませ~。」
恵「お好きな席へ どうぞ。 ご注文は何にいたしましょう?」
裕一「あっ コーヒーで。」
音「私 ミルクティーで。」
恵「かしこまりました。」
恵「コーヒーとミルクティーね。」
保「はいよ~。」
裕一「いや~ 疲れたね。」
音「うん。」
裕一「どうする? 明日にする?」
音「でも お姉ちゃんが あのあとも…。」
回想
吟「絶対 いかんからね。 嫁入り前に… わ… 若い男の人と 床を共にするなんて。」
回想終了
裕一「じゃ… じゃあ 僕 どこで寝ればいいの?」
音「庭で寝ろって。」
裕一「吟さん 優しそうなのに 結構きついね。」
音「真面目なの。 どっかないかな~?」
恵「あるわよ。 裏の家。」
バンブーで紹介された部屋を早速見てみることに
不動産屋「どうぞ。」
裕一・音「お邪魔します。」
裕一「広いな~!」
音「うん!」
裕一「はあ~… あっ! こっちは台所だ~。」
音「フフッ ちゃんと使い切れるかな?」
裕一「ハハハ…。」
裕一「あっ… ここ 寝室かな?」
音「そうね!」
音「うわ~! ここは… 仕事部屋ね。」
裕一「うん! この広さなら… ピアノ置けっかな~?」
裕一「いいよね。」
音「うん。いい。 ここにする?」
裕一「予算 少し超えてっけど。」
音「なら やめる?」
裕一「う~ん… ここだ! うん。 ここにしよう!」
音「裏の喫茶店の名前もいいしね。」
裕一「『バンブー』っていいよね!」
音「最高だね。」
裕一「うん。」
音「ずっと こうしていたい。」
裕一「うん… 僕も。」
こうして 2人の結婚生活が始まりました。
全ての人に歓迎されたわけではなく 結婚式もありませんでしたが 幸せでした。
不動産屋「あの~… いかがいたしましょう? お借りになりますか?」
2人「はい!」
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