閉店後
木下「『ご… ご… 碁』って。」
保「そんなに簡単に 人は変われませんよ。」
木下「いいの? このままで。 一生 ここで 1人で 本だけが友達でいいの?」
保「何で 彼女 この店に来たんだろう? あ~ まあ ともかく 今は碁だ。 碁を習得せねば。」
木下「おい… 今日は おとなしいな。 どうした?」
久志「お2人は鈍いな。 僕は彼女が帰る時に気付いたんですよ。 左の薬指。」
当時 日本では婚約指輪の慣習は まだありませんでした… が。
久志「外国では 婚約の時に男性から女性に指輪を贈る慣習があります。 おそらく 恵さんは外国人の男性から 求婚されてるかと。」
保「あっ… そういえば 話の端々で外国人の…。」
回想
恵「『竹取物語』を外国の人に読んでもらったら 『これは宇宙人の話?』って。 1000年以上も昔に こんな話考えるなんて アメージングだって。」
回想終了
久志「彼女 このまま 月に行ってしましますよ。 行動するなら今しかない。」
保「でも もう… 婚約者がいるわけだし。」
木下「駄目もとでも やってみればいいじゃない。」
保「駄目だと分かってて やる必要ないでしょう?」
久志「あります。」
保「どうして?」
久志「あなたが この店を1歩出れば 全てが変わります。」
保「変わらないよ。」
久志「変わります! 言ったでしょ? 全ては行動です。 結果は変わらないかもしれない。 恵さんは得られないかもしれない。」
久志「しかし あなたは変わります。 人生の分かれ道は 突然 やって来ます。 そこで行動すれば 全てが変わります。」
保「久志… 君 何者だ?」
木下「議員の息子とはいえ…。」
久志「僕も いろいろありました。 僕は行動しました。 あなたにも行動してほしい。」
木下「保君 行け。 店の外には君の未来がある!」
保「ずっと 1人で生きてるつもりだったけど 間違ってました。 木下さん 久志君 ありがとう。 月から かぐや姫を奪ってきます。」
ガッツポーズする久志と木下
現在 バンブー
裕一「それで どうなったの?」
恵「はい! 私 やってみるね。」
恵「彼と2人で歩いてたら 突然 目の前にやって来て…。」
恵「ぼ… ぼ… 僕は あなたのことが 全身全霊で好きです! 僕は今まで 過去に生きてきました。」
恵「でも あなたと出会って 初めて 未来をみることができたんです! 失礼ですが 彼より 僕は あなたのことを幸せにできます! ぼ… ぼ… 僕と結婚して下さ~い!」
恵「アハッ… って叫んだの いきなり。」
音「かっこいい!」
裕一「えっ それで… 恵さん 何て言ったの?」
恵「それがね 左手の薬指に そういう意味が あるなんて 私 知らなかったの。 ただのファッションで つけてただけ。」
裕一「久志 ミラクルだな~。」
恵「外国人の彼も 学生時代のただの友達。 その彼が もう感動してて。 『これが日本の武士道か』って。」
音「バンブーって名前も そこから?」
保「そう。 2人でお店やろうってなった時に 彼女が考えたんだ。」
恵「ほら 竹って 根がすごいでしょ? 私 もうずっと こうやって ふわふわして生きてきたから しっかり 地に足つけなきゃって思って そういう意味も含めてね。」
音「へえ~ 久志さんって すご~い。」
そこへ久志降臨
恵「あっ!」
裕一「うわっ!」
久志「えっ 何 何? どうしたの?」