現在 バンブー
裕一「た… 保さん… その子 あの 蝶ネクタイしてなかった?」
保「あ~ してた してた。」
裕一「ほら 佐藤久志だよ! 音の先輩の ほら。 そこで 劇やったでしょ? 一緒に。 『ヴィオレッタ~!』って。」
回想
保「ヴィオレッタ~!」
久志「カ~ット!」
回想終了
保「あ~!」
音「すごい! 保さんと久志さんが 昔 出会ってただなんて。」
裕一「ねえ!」
保「そう… しかも 彼が 恋のキューピッドなんだ。」
音 裕一「えっ? えっ?」
10年ほど前 神田
久志「なぜ行動に出ないのですか? 彼女のこと 好きなんでしょ?」
保「はい。」
木下「えっ?」
保「子どもには うそはつけない。」
久志「あなたは ずっと 自分をごまかして生きてきた。」
保「ちょっと はっきり 言い過ぎだぞ~。」
久志「1人でいるのは好きだが 彼女のことも好きだ。 自分の中で どちらも欲しい。」
保「この子 何者?」
木下「議員の息子。」
久志「これまでの関係が気まずくなるのも嫌。 自分が傷つくのも嫌。」
保「ああ… この子としゃべってると 自分が 愚かで どうしようもない存在に思えてくる。」
久志「ある本に書いてありました。 人は行動することで自分を変えられると。」
久志「言いかえれば 人は考えてても 自分を 変えることはできないということです。 全ては行動です。 まずは食事に誘ってみましょう。」
そして数日後。
恵「こんにちは。」
保「はい。 い… いらっしゃいませ。」
恵「どうしたんですか?」
保「いえ 何も。」
恵「今日…ちょっと変ですよ。」
保「あっ… そうだ! コーヒー飲みます?」
恵「あっ… ありがとうございます。」
台所
保「大丈夫。やれる… やれる。」
書店
保「め… 恵さん どうぞ。」
恵「ありがとうございます。」
恵「保さんのコーヒー おいしい。」
保「ありがとう。」
保「あ… あの~…。」
恵「はい。」
保「あの… 今度よかったら…。 ご… ご… 碁でも やりませんか?」
恵「碁?」
保「碁。」
恵「教えて下さい!」
保「はい。」