庭
朝市「笑えば 涙の池が小さくなるなんて はならしいじゃんね。 はなだって… 本当は 泣きてえ気持ちだろうに。 かよちゃん。 うちのおかあが いつか言ってただ。 おとうが死んじまった時 ここが ギュ~ッて 締めつけられるみてえで 苦しくて たまらなんだって。 明けても暮れても ただ 寂しくて苦しくて…。」
朝市「腹もすかんし… もう二度と笑えんて思っただとう。 ふんだけんど 人っちゅうのは やっぱり 腹はすくし 楽しい事がありゃあ 笑っちもう生き物だ。 けがが治るみてえに 自然と… 心のつらさも よくなる。 ふんだから かよちゃんも… きっと大丈夫だ!」
玄関前
醍醐「ほうとう まだありますから お代わりして下さいね。」
「ありがとうございます。」
蓮子「私にも ほうとうを頂けるかしら。」
花子「はい。 蓮様…。」
英治「龍一君!」
蓮子「はなちゃんも皆さんも よく ご無事で。」
龍一「その節は お世話になりました。」
花子「蓮様 もう 葉山様のお屋敷からは 解放されたのね。」
蓮子「龍一さんが 純平と私を 救い出しに来てくれたの。 想像の翼を広げて この日が来るのを待っていたのよ。」
<その日の夜の事でした>
玄関
「あの… こちらに うちの子たちが いるっていうのは 本当でしょうか!?」
かよ「はい。」
正男「父ちゃん!」
「正男! フミ! 無事でよかった…。」
フミ「父ちゃん 父ちゃん!」
「2人とも 遅くなってごめんな。 さみしかったろう?」
正男「さみしくなかったよ。 『ナミダさん』のお話 聞いてたから。」
かよ「よかった。」