連続テレビ小説「花子とアン」第32回「腹心の友」【第6週】

修和女学校

談話室

茂木「あの方が 離婚なさっていたなんて 分からないものね。」

富山「今更 そんな事を言われても どうしたらいいのか…。」

蓮子「私は 富山先生を見直しました。 いつぞやは 恋愛経験が乏しいなどと 失礼な事を申し上げて すみませんでした。」

富山「あなたは 失礼な事しか 言わないじゃありませんか。」

茂木「蓮子さんも お茶をいかが? スコット先生の焼いたクッキーも ありますのよ。」

蓮子「恐れ入ります。 富山先生。 私は 愛のない結婚をして こんなに ひねくれた女に なってしまいました。 ですから 失礼ながら言わせて頂きます。 本当に その方が好きなら 過去にこだわらず 愛を貫くべきです。」

向学館

編集部

はな「出来ました!」

梶原「村岡君!」

英治「はい。」

梶原「どう?」

英治「拝読します。」

梶原「あのね 翻訳とは 原文との距離感が大事なんだ。 原文に引きずられて 直訳や不自然な日本語になっても いかんし 読みやすさを重視して はしょり過ぎても いかん。 その制約の中の勝負なんだ。」

はな「はい。」

梶原「…で 君の翻訳だけど どう?」

英治「これは バカが読んでも分かりますね。」

はな「えっ バカ?」

英治「あっ いや あなたがバカだと 言ってる訳じゃないんです。 褒めたんです。」

梶原「最上級の褒め言葉だね。」

英治「言いかえると とても素直で きれいで 読みやすい翻訳だと思います。」

梶原「小間使い君 本気で やってみないか?」

はな「えっ?」

梶原「これを たたき台にして 手を入れれば使い物になりそうだ。」

はな「こぴっと頑張ります!」

英治「『こぴっと』?」

梶原「それ どこの国の言葉?」

修和女学校

校庭

蓮子「小間使いから翻訳者に昇格ね。 おめでとう。」

はな「ありがとう。」

蓮子「でも 忘れないで。 最初に あなたの才能を認めたのは 私よ。」

はな「ええ。 もちろん 忘れませんとも。」

回想

蓮子「率直に感動致しました。 あなた やっぱり 翻訳力だけは 大したものだわ。」

はな「蓮子さん…。」

回想終了

蓮子「これからは 女も自分の才能を伸ばして 仕事をして 男の人や権力に寄りかからずに 自分の足で歩いていける時代が 来ると思うの。」

はな「それって… 仕事一筋で生きるっていう事? ブラックバーン校長や富山先生のように。 私は 仕事はしたいけれど 一人で生きていく覚悟はないの。 結婚もしたいし 子どもも欲しいわ。 うちのおかあみたいに」

蓮子「両方やればいいじゃないの。」

はな「えっ?」

蓮子「与謝野晶子をご覧なさい。 鉄幹と結婚して 精力的に仕事を続けながら 子どもを何人も産んでるのよ。」

はな「へえ~!」

蓮子「そういえば はなちゃんは 花子と呼ばれたいって 言ってたわよね。」

はな「ええ。」

蓮子「世に自分の作品を出す時に その名前を使えばいいじゃないの。」

はな「ペンネームね!」

蓮子「うん。 悪くないわ。」

はな「こぴっと やる気が出てきたわ。」

蓮子「頑張って。」

はな「連様の夢は 燃えるような本物の恋ですよね。」

蓮子「ええ。 そして 恋の歌をたくさん作るの。 これが 私のペンネーム。」

はな「白蓮? すてき!」

<蓮子は はなと過ごしながら 失われた青春の時間を 取り戻していました。 そして このキラキラした時間が ず~っと続いてほしいと 蓮子も はなも 思っておりました。>

廊下

はな「これにて。」

蓮子「花子先生。 では ごきげんよう。」

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