連続テレビ小説「花子とアン」第3回「花子と呼んでくりょう!」【第1週】

朝市「はなは 怒ると おっかねえからな!」

はな「おっかねえだと?」

朝市「行くじゃん!」

はな「うん。」

安東家

玄関

朝市「はな。 あんまし学校休むと せっかく覚えた仮名や漢字 忘れちもうら?」

はな「大丈夫さ 本なら 毎日読んでるだよ。 こうして 目ぇつぶると 本で いっぺえの部屋へ行けるさ。」

朝市「また 夢の話け。」

はな「夢じゃねえさ! この間 中へ入っただよ。 村の教会の本の部屋じゃん!」

朝市「へえ~ 教会?」

はな「ほうさ。 あんなとこに 一生住めたら 最高じゃんね。」

道中

はな「違うなあ…。 あっ! 地主様。 ちょっくら教えてくれろし。 籠の問屋さんは どこずらか?」

徳丸「こん先 曲がったとこずら。」

はな「ありがとうごいす。」

徳丸「おまん 確か ふじのとこのボコけ。」

はな「はい。 花子でごいす。 本当は はなだけんど 花子と呼んでくりょうし。」

徳丸「どっちなんずら?」

はな「あっ! もう一個 教えてくれるし。」

三郎「まだ あるだけ。」

はな「地主様。 おらのようなボコでも 雇ってくれる人は いるずらか。」

徳丸「ほりゃあ ねえ事は ねえら。」

はな「ご無心でごいす。 口利いてくれろし。」

<それから程なく 徳丸家の使いがやって来て…。>

安東家

居間

ふじ「何ずら?」

三郎「給金の前払いずら。 奉公先は 長野の材木問屋だ。」

ふじ「待ってくりょう。 奉公って何の話ずら?」

三郎「花子だか はなとかいうボコに 頼まれて 徳丸様が手を尽くして下さっただ。」

周造「はなが!?」

ふじ「本当に はなが お願えしたですか!?」

三郎「ほうさよ! 近えうちに迎えのもんが来るずら。」

ふじ「てっ!」

道中

ふじ「どいてくれちゃ! どいてくれちゃ!」

徳丸家

玄関

ふじ「徳丸さん。 ご無心ですから 奉公の話 なかった事にしてくれろし。」

徳丸「なんぼ 幼なじみのふじちゃんの 頼みでも ほりゃできん。」

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