連続テレビ小説「カーネーション」第140回「奇跡」【第25週】

院長室

龍村「よっしゃあ~ ハハハ!」

香川「失礼します。」

龍村「ああ どうぞ。」

香川「小原先生 お連れしました。」

龍村「あ~ これは どうもどうも。」

糸子「こんにちは。」

龍村「院長の龍村です。 すいません お忙しいとこ お呼び止めしまして。 まあ どうぞ。 あ 糸子先生 ハーブティー お好きです?」

糸子「ハーブティー。」

龍村「ええ ペパーミントとカモミール。 もしもし うん ハーブティー 3つ 頼むわ。 すぐな よろしく。 いやいやいや どうもどうも。 ご活躍は よく存じ上げております。 でもね パーティーとかで お見かけしてるんですよ。 ほら あの 確か 難波のプラザホールの 竣工記念パーティーとか。」

糸子「ああ 去年の。」

龍村「はい。 ほんま 忙しい先生 つかまえて こんな事 言うのは 厚かましいと 重々 承知してますが ちょっと ご相談したい事が ありまして。」

糸子「はあ。」

龍村「実はね うちの病院で 毎年 患者さん向けのイベント やってるんですよ。 例えば 音楽のコンサートやら 講演やら やるんですけど うちの…。 何してんの? ちょっと座りい。 この事務長の香川がね『いっぺん ファッションショーなんか どうですやろ』ちゅう 提案がありまして。」

糸子「はあ。」

香川「いや すんません。 先生を うちの病院でちょくちょく お見かけしたよって いつか そんなん でけたらな思て 院長に 言うてみたんですわ。」

龍村「けど 僕もね 確かに 面白いな思いましてね。 そらまあ 先生も お忙しいしね。 でも ひょっとしたら 興味 持ってもらえるかも しれへんな 思いまして『駄目もとで 言うてみようか』ちゅうて ハハハハ!」

糸子「ファッションショーて つまり うちが ショーをやって 患者さんらが それを見るちゅう事ですか?」

香川「いや 僕が思たんは うちの職員らが モデルになったら ええんちゃうかなって。」

糸子「職員? 看護婦さんら ちゅう事ですか?」

香川「はあ。 実は 僕の死んだおふくろが 昔 先生のお店のショーを よう見に行ってたんですわ。」

糸子「ああ! ハッハハハ!」

香川「誰々が どんな服 着てたやら うれしそうに よう言うてて 子供心に『は~ やっぱし 女ちゅうのは こんなんが よっぽど 好きなんやな』思たんです。 患者さんらも なじみの看護婦なんかが きれいにして歩いたら 楽しんでくれるんやないかと思て。」

糸子「なるほど。」

龍村「どうですやろ? まあ もちろん 予算やら…。」

糸子「いや やりますわ。」

龍村「え?!」

香川「やってもらえますか?!」

糸子「はい。」

龍村「そら まあ でもね スケジュールとか予算のご都合も…。」

糸子「そら あります。 けど やらせてもらいますわ。 こっちかて こちらのお母さんに 昔 ごひいきに してもろてたんやさかい。」

香川「ありがとうございます!」

糸子「いつごろの予定ですか?」

龍村「10月です。」

糸子「10月…。」

龍村「ええ。」

糸子「分かりました。 まあ スケジュールは どないでもなります。 予算は まあ でける範囲で やりますよって。 まあ 大丈夫。 任せといて下さい。」

龍村「は~ そら ほんまに ありがとうございます! よかったなあ。」

香川「いや~ うれしいなあ。」

『失礼します。』

龍村「ああ。 いや えらい 話 早う 終わってしまいましたけど ハーブティー 召し上がって下さい。」

糸子「ああ ほな よばれます。」

龍村「これねえ オリジナルブレンドで 結構 おいしいんですよ。」

糸子「珍しなあ。」

龍村「どうぞどうぞ。」

香川「ありがとう。」

龍村「あ そうそうそう。 糸子先生 あの 桜井さんて ご存じですか?」

糸子「桜井さん?」

龍村「ええ。 桜井… 何やったかなあ? うちの内科に入院してる 患者さんなんですけど。」

糸子「どこの桜井さんやろ?」

香川「その桜井さんが どないかしたんですか?」

龍村「いや 何か糸子先生の同級生やった ゆう話を聞きまして。」

糸子「桜井…?」

龍村「ええ。」

糸子「さあ うちは 女学校 途中でやめたよって 同級生の名前も顔も よう覚えてないんですわ ハハハハ!」

香川「僕も いろんな人から よう聞きますわ。『先生と同級生やった』やら『チビの頃 掃除のおっちゃんに 頭突きして 気絶させた』やら。」

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