あらすじ
平成13年、88歳になる糸子(夏木マリ)の生活は仕事と友人たちとの遊びで充実しているが、病院にも毎週のように通っている。行きつけの病院の事務長(蟷螂襲)に声をかけられ、院長・龍村(辰巳琢郎)の所に案内される。龍村は、病院のイベントで職員をモデルとしたファッションショーを開いて患者に見せたいと言う。喜んで受ける糸子。ふと龍村から聞きなれない名字の入院患者について尋ねられる。その名前は「奈津」だった。
140回ネタバレ
岸和田商店街
孝枝「あ 浩ちゃん 今 お会いできたよって。 うん これから 店に お連れするから。 うん 先生に そない言うといてな。 はい ほなね。 いや~ ほんま 遅なって ごめんなさいね。」
「ああ いえいえ。 やっぱり 先生 お忙しそうやな。」
孝枝「もう 大変ですわ。 とにかく 仕事でも遊びでも セーブするちゅう事を 知らん人やさかい。」
「こないだ テレビで見ましたよ。」
孝枝「あ そう。 テレビも ラジオも 講演も どんどん受けてしまうんですわ。 もうスケジュール回すだけでも 大仕事や。」
小原家
オハラ洋装店
孝枝「あ ただいま。」
フミ子「お帰んなさ~い。」
糸子「いらっしゃい。 悪かったな 待たせて。」
「ああ 先生! お久しぶりです。」
糸子「元気してたかいな?」
「はい おかげさんで。」
糸子「まあ 上がり上がり。」
孝枝「ちょっと すんませんけど 先生 この次 4時には また ここ 出んと あかんので。」
「あ~ ほうですか。」
糸子「また ほんな! 急かしな 失礼やろ。 たった今 着いたお客に。 な~あ?」
孝枝「いいえ! きっちり言うとかんと また どんどん 遅くなるんですから 先生は!」
糸子「気にせんでええ。 おいでおいで。」
孝枝「いえいえ 気にしといて下さい。 あの すんませんけどな 3時50分までには お話 終わらせて下さいね ね?! よろしゅうお願いします。 3時50分ですからね。 はあ 忙しい忙しい。」
糸子「せやけど あんた もう うちも 88やよって。」
「はあ?! もう そない なられますか?」
糸子「年取るんも 85くらいまでは 嫌やったけど それ越えたら 何や そんなんも のうなってしもてなあ。」
「はあ そんなもんですか?」
糸子「それより 何しろ 死んでもしもたら できんこっちゃろ。 今まで 興味なかった事でも とりあえず やっとかな思うし 一生懸命 やるやんか。 ほしたら 楽しいでなあ。 アッハッハ…。 ほんで 何でもかんでも 手ぇ出すさかい 今度は 忙しいて 死ぬ暇も 無くなってしもて!」
(笑い声)
孝枝「3時50分です!」
「ああ じゃ… ほな 失礼します。」
「お邪魔しました。」
孝枝「ご苦労さんでしたな。」
孝枝「来週の月曜は 新潟のホテルで講演会。 そのまま 福岡 行って ブランドの展示会が 火曜日の13時から。 そこから 一旦 岸和田 帰って 作曲家の大森先生のオペラコンサート。 え~ これが 大阪文化会館で 水曜日の18時から。 ああ ほんで 土曜日 心斎橋百貨店の会長から お相撲 誘われてますけど あれ どないします?」
糸子「は~あ… 忙しなあ!」
孝枝「全部 先生が入れたんですからね。」
糸子「う~ん… 行くわ。」
孝枝「い 行くんですか? お相撲?!」
糸子「うん。 そら 相撲は 見とかな。 なあ?」
孝枝「働くわ 遊ぶわ…。」
糸子「結構なこっちゃんか。 なあ?」
孝枝「はあ~。 あ せや タクシーは?」
浩二「知りません。」
孝枝「え? タクシー 遅いな。」
<このごろの うちの一週間は 仕事と仕事 遊びと仕事 それから… 病気>