小しず「ホンマに 幸せな一日じゃった。」
金太「ただいま~!」
(足音)
安子「お父さん。」
るい「(泣き声)」
安子「今日も工場動員じゃなかったんかな?」
金太「昼休憩じゃ。 飛んで…。 るい~!」
安子「びっくりしたなあ。」
金太「大きゅうなったのう るい。」
るい「(泣き声)」
安子「びっくりした…。」
小しず「ほら びっくりしょうる。」
金太「るい。」
るい「(泣き声)」
小しず「おじいちゃんじゃ。」
金太「うれし泣きをしょうんか おめえは。」
玄関前
小しず「はい それじゃあ 気を付けて帰られえよ。」
安子「うん ありがとう。」
ひさ「るいちゃん。 また来られえ。」
小しず「ほんなら またね。」
ひさ「またね。」
安子「またねって。」
(笑い声)
安子「ありがとう。」
小しず「ほんならね。」
安子「うん ほんなら。 またね。」
道中
安子「きぬちゃん。」
きぬ「あ… 安子ちゃん!」
安子「久しぶりじゃなあ!」
きぬ「本当に! るいちゃん?」
安子「うん。」
きぬ「あ~ かうぇえらしいなあ。 あ~! ハハハハッ。 安子ちゃんに よう似とる。」
安子「そうじゃろか 私ゃあ 稔さんに似とる思ようるけど。 ねえ。」
きぬ「るいちゃん。 よかった 会えて。」
安子「うん。 女子挺身隊のおつとめで忙しいと 聞いとった。」
きぬ「ああ… そうじゃのうて… うち 疎開することになったんじゃ。」
安子「えっ…。 上のお姉ちゃんの嫁ぎ先が農家でな お父ちゃんとお母ちゃんと3人 そこで ごやっかいになることにしたんじゃ。」
安子「きぬちゃん。 体に気を付けられえよ。」
きぬ「うん。 安子ちゃんも。」
安子「うん。」
きぬ「るいちゃん。」